ザ・フーの長年の友人で、写真家のトム・ライトが逝去。公式サイトで追悼声明を発表
ザ・フー(The Who)の長年の友人であり、写真家、ツアー・マネージャーとして親交のあったトム・ライトが亡くなったことがザ・フーの公式サイトで発表された。
アラバマ州に生まれ、その後アメリカ空軍将校の継息子となったトム・ライトは、1960年代初頭に英ロンドンのイーリング・アートカレッジで写真を学び、そこでピート・タウンゼントと彼の同居人だったリチャード・バーンズに出会った。
ザ・フーの声明の中で、彼は、ジミー・リード、ライトニン・ホプキンス、ハウリン・ウルフ、ジョン・リー・フッカー、リトル・ウォルター、スヌークス・イーグリンなどのアーティストや、ジョーン・バエズ、レイ・チャールズ、ボ・ディドリー、ジュリー・ロンドン、モーズ・アリソンらの音楽を通して、ブルースやロックの幅広い知識を若き日のピート・タウンゼントに教えた人物として、クレジットされている。
実際、ピート・タウンゼントが自身の回顧録『Who I Am』の中で記しているように、トム・ライトが麻薬所持によりUKからアメリカへ強制送還されることになった時、ピートは彼の全レコード・コレクションを受け継ぎ、それがザ・フーの共同創設者である彼のソングライターとしての将来的な方向性を形成する助けになったという。
<関連記事>
・ザ・フー最高傑作『Tommy』解説
・13年ぶりの新作『WHO』:ピート・タウンゼントによる全曲解説
・ザ・フーのベスト・ソング20選【動画付】
公式声明は次のように記されている。
「1967年夏にザ・フーがハーマンズ・ハーミッツのサポート・アクトとして全米ツアーを行った際、トムはツアー・マネージャー兼フォトグラファーとして同行し、バンドのキャリア初期における最も決定的な写真のいくつかを撮影しています。翌1968年にもザ・フーの2度の全米ツアーに同行するなど、頻繁にバンドを撮影した後、ラス・ギブが経営するデトロイトの名門ライヴハウス、グランド ボールルームのマネージャーを数年間務めました」
「その後35年間、トムはロッド・スチュワートやフェイセズ、ザ・ローリング・ストーンズ、イーグルス、ジョー・ウォルシュ&ジェイムス・ギャング、エルヴィス・コステロなど、多くのバンドのツアーに同行し、バンド、クルー、彼らのライヴやツアー中のオフショットなどを写真に収めてきました」
「2007年、スーザン・ヴァンヘッケ協力のもと、彼が執筆した『Roadwork: Rock and Roll Turned Inside Out』は、アメリカでのロード・ライフにまつわるエピソードや逸話、多くの素晴らしいモノクロ写真で構成されています。この本は、アメリカではHal Leonard社から、英国ではOmnibus社から出版されました。この写真集の前書きでピート・タウンゼントはこう記しています」
『ひとつだけ確かなことは、トム・ライトに出会わなかったら、ザ・フーの成功はなかっただろう、ということです。我々は、同時期に他の何百ものバンドがやっていたことをやっていた、堅実で小さなポップ・バンド、ザ・ディトゥアーズ(ザ・フーの前身バンド)のままだったでしょう』
「ドルフ・ブリスコー・アメリカ史センターが、トム・ライトが出身地であるテキサス州オースティンのダウンタウンにあるヘッドライナーズ・クラブで開催した同書の出版記念イベントには、司会とスピーチを務めたピート・タウンゼントをはじめ、ジョー・ウォルシュ、イアン・マクレガンなど、彼の友人、家族、彼のファンが集まり、彼のロック史への多大な貢献を讃えました」
トム・ライトは、ザ・フーをはじめ、前述のミュージシャンやバンドの他にも、J.D.サウザー、サンダーバーズ、ボブ・シーガーなど、多くのアーティストを撮影してきた。1993年、テキサス大学オースティン校のドルフ・ブリスコー・アメリカ史センターは、12万点を超える写真と数千もの録音物から成る彼のアーカイヴを継承している。
ザ・フーによる声明の最後には、トム・ライトについての2人のミュージシャンの言葉が引用されている。
「ロックンロール写真界のジャック・ケルアック」(ジョー・ウォルシュ)
「特別なタッチを持った傑出した写真家」(キース・リチャーズ)
Written By Paul Sexton