トム・モレロ、イマジン・ドラゴンズのダンらによるBlack Lives Matterに応える新曲「Stand Up」緊急配信
グラミー賞を受賞したミュージシャンであり、活動家でもあるレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ(Tom Morello)は、警察の残虐行為や人種差別に対する国民の怒りと連帯感に応えるべく、イマジン・ドラゴンズのダン・レイノルズ(Dan Reynolds)、プロデューサーのザ・ブラッディ・ビートルーツ(The Bloody Beetroots )、アーティスト/活動家のシーア・ダイアモンド(Shea Diamond)といった仲間のアーティストたちに協力を仰いだ。その結果、生み出された楽曲が「Stand Up」だ。人種差別に反対して団結する人々の多様性を反映したこの曲は、2020年7月2日にリリースとなった。
4組のアーティスト全員が「Stand Up」で得る全ての収益を以下の差別や貧困と戦う団体に寄付することを表明している。NAACP(全米黒人地位向上協会)、Know Your Rights Camp、Southern Poverty Law Center(南部貧困法律センター)、Marsha P. Johnson Institute。また、発売元であるKIDinaKORNER/Interscopeはさらに、アーティストが得る印税と同額を3年間にわたって寄付することを発表した。
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この楽曲について参加メンバーがそれぞれコメント発表している
トム・モレロ
「私はイリノイ州のリバティビルという小さな保守的な町で育ちました。子供の頃、誰かが私の家のガレージに縄を吊るしていた時もありました、時折Nワードでの罵声の電話もありました。今年の6月6日には、その町でブラック・ライブス・マターの集会と行進があり、1,000人以上が集まりました。時代は変わってきているようです。その夜、私はとても刺激を受け、イマジン・ドラゴンズのダンに連絡を取ったんです。ブラッディ・ビートルーツと私は激しいトラックを思いつき、24時間もたたない間にダンは完璧なヴォーカルを送り返してくれました。長い活動歴を持つ黒人トランスジェンダーの女性、シーア・ダイアモンドも参加してくれて、この連帯は完成したんです」
ダン・レイノルズ
「トムがこの曲でシーア・ダイアモンドとザ・ブラッディ・ビートルーツと一緒に仕事をしたいと言ってきた時、私はすぐに自分の部屋に入り、その日のうちにコーラスとヴァースを書きあげて歌っていました。この国は間違いなく修復が必要で、それをするためにはあらゆる思想、あらゆる人種の人々の力が必要だと信じています」
ザ・ブラッディ・ビートルーツのボブ・リフォ
「トムから“Stand Up”を一緒にやらないかと誘われた時、私は3ヶ月目の自粛生活を送っていて、世界に再接続するための適切な機会が現れるのを待ってたところでした。混乱と激動の時代だからこそ、私たちミュージシャンは、より良い現在と未来のために、声高らかに強いメッセージを発信して変化を加速させる責任があります。今、私たちはこの地球を変えることができる。今は、私たちの時代です。次は、私たちの番なのです」
シーア・ダイヤモンド
「LGBTQ+コミュニティ、主に黒人やトランスジェンダーのコミュニティの味方になると話している人たちの話を聞くと、ほとんど笑い話です。そういう人たちが私たちの痛みから利益を得て、表面的な連帯の投稿をしているのを私たちは見ていますから、特に音楽の世界で。Black Lives MatterやTrans Lives Matterについて考えてみると、コラボレーションの表現を目にすることはありません。多くの人は、一緒に曲を作ることはおろか、投稿をシェアすることもないでしょう。だから、ダン・レイノルズが自分の曲に私を参加させたいと言っているのを聞いたとき、私は本当に動転しそうになりましたが、驚くことはありませんでした。彼は意図的に投稿をシェアしてくれて、私たちのコミュニティの中で資金を集めることを手助けしてくれていたので。彼は本当に最高の人物を味方につけることができましたね! 今という時代の中、この時代の中でこのような重要な曲に参加できて光栄に思います。音楽コミュニティの中でみんながどこに立っているかを知る必要があるんです、音楽は多くの人の心を変えることができる不可欠なツールなのですから」
トム・モレロ、シーア・ダイアモンド、ダン・レイノルズ、ザ・ブラッド・ビートルーツ
「Stand Up」
2020年7月2日配信
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