ザ・スペシャルズのヴォーカリスト、テリー・ホールが逝去。その功績を辿る
スカのパイオニア的バンド、ザ・スペシャルズ（The Specials）のリードシンガー、テリー・ホール（Terry Hall）が2022年12月18日に63歳で逝去した。闘病生活の末に亡くなったと、ザ・スペシャルズは声明で述べている。
「テリーは素晴らしい夫であり、父親であり、最も親切で、最も愉快で、最も純粋な魂を持つ人物でした。彼の音楽と彼のパフォーマンスは、人生の本質が凝縮されています…喜び、痛み、ユーモア、正義のための戦い、しかしながら主にそれは愛でした。テリーは、彼を知り、彼を愛したすべての人々から深く惜しまれ、彼の素晴らしい音楽と深い人間性という贈り物を後に残すでしょう」
ザ・スペシャルズのネヴィル・ステイプルは、BBCに寄せた別の文章で、この喪失を次のように振り返った。
「本当に辛い。私たちはザ・スペシャルズとファン・ボーイ・スリーを一緒にリードし、歴史を作ってきました。テリー、彼はきっと惜しまれるでしょう」
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その生涯
テリー・ホールは1959年に生まれ、英コヴェントリーで育ち、彼の家族の大半は当時活況を呈していた自動車産業で働いていた。テリーは15歳の誕生日を前に学校を辞め、レンガ職人、測量技師、美容師見習いなど、様々な短期間の仕事に就きながら、1970年代後半に急成長した地元の音楽シーンで活躍し、地元のパンクバンド、スクワッドで活動していた。そしてのちにザ・スペシャルズとなるThe Coventry Automaticsが1977年に結成された。
70年代後半に登場したザ・スペシャルズは、まさにシャープに着飾ったクールの典型で、英国の2トーン・ムーブメントの先頭に立ち、「Rat Race」「Stereotypes」「Ghost Town」といった彼らの代表曲は、人種差別から警察の嫌がらせ、大量失業まで、社会政治的な問題に対して怒鳴り散らしていた。uDiscoverMusicのスタッフライター、ティム・ピーコックが2021年に書いたようにテリー・ホールにとって「自分の権利のために立ち上がることが、ザ・スペシャルズにとって常に最重要課題だった」のだ。
ザ・スペシャルズは、2トーンの先駆者であり、レゲエ、スカ、パンクを融合した爽快なサウンドは大きな成功を収めた。バンドの最初の2枚のアルバム『The Specials』と『More Specials』はともにゴールド・ディスクを獲得し、7曲連続で全英トップ10ヒットを放ち、EP『Too Much Too Young』とシングル「Ghost Town」の2曲はチャートのトップを飾った。後者「Ghost Town」は、サッチャー政権下の英国における失業に対する悲痛な賛歌であり、今でもザ・スペシャルズの代表曲として知られている。
生前の言葉
過去のインタビューでテリー・ホールは、ザ・スペシャルズが現在も生き残っていることについて、次のように語っていた。
「最初の2枚のアルバムの曲が、今でも（その怒りや歌詞が）通用してしまうのが悲しいよ。最初の頃は子供だったから不正について叫んでいたけど、今はもっと成熟した見方をするようになったよ。とはいえ、音楽が古くなっていない気がするから、それもまた刺激的だね。傲慢に聞こえるかもしれないけど、俺たちは重要な音楽を作ってきたと思うし、そこには時代を超越したものがあるから、新しい世代のファンもそれにひっかかり続けてくれるといいなと思っているよ」
Written By Sam Armstrong
ザ・スペシャルズ『Protest Songs –1924 -2012』
2021年10月1日発売
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