スティーヴィー・ワンダーがジェフ・ベックとの思い出を振り返るインタビューが公開
スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)が、今年1月10日に78歳で急逝したジェフ・ベック(Jeff Beck)との音楽的コラボレーションについて語るインタビューがデトロイト・フリー・プレス紙で公開された。
スティーヴィー・ワンダーが“偉大なる魂”と呼ぶジェフ・ベックに初めて出会ったのは、ニューヨークのスタジオで、プロデューサーのロバート・マーゴレフとマルコム・セシルと共に1972年の傑作アルバム『Talking Book』の制作中だったという。
「当時の私は彼のことをあまりよく知りませんでした。でも、ニューヨークで彼の演奏を聴いたんです。それで、“Lookin’ for Another Pure Love”を作っている時に、彼に“この曲で演奏してみませんか?”と言ったら、彼は喜んで引き受けてくれました。まず1つのパートを録音して、次のパート、また次のパートと録音していったんですが、とにかく素晴らしかった。本当に全てが素晴らしい演奏でした。私が作ったコード構成から彼が引き出してくれたものには、ジャズっぽい感じだったり、ブルージーな感じが混在していました。彼が独自のタッチを加えてくれて、それがただただ本当にかっこよかったんです」
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ベックへの追悼の言葉
スティーヴィー・ワンダーはこのインタビューの中で、息子のマンドラ(17歳)と共にジェフ・ベックの昔の作品をよく聴いており、ベックの訃報を知った直後には、「Lookin’ for Another Pure Love」を聴いたことを明かしている。
「今聴くと、当時のことが思い出されて感慨深かったです。音楽には、何かがあるんです。ファンである皆さんにとって、曲というものは皆さんをあの時代のあの場所に連れ戻し、その場にいるような感覚にしてくれるでしょう。同じことが、私たち作曲家やシンガーにも起こります」
2つの「Superstition」
1972年の出会いから、スティーヴィー・ワンダーはジェフ・ベックを招き、彼の新曲「Superstition」をレコーディングを行った。この曲は当時未録音で、ジェフ・ベックのために書かれた曲だったという噂が長い間流れていたが、スティーヴィーはこの新たなインタビューの中で、この曲をジェフ・ベックに初めて聴かせた時、すでにラフ・トラックは完成済みだったと語っている。
そうして、スティーヴィーに後押しされたジェフ・ベックは、この曲をレコーディングすることを決意し、彼の新しいトリオ、ベック・ボガート & アピスで録音した、よりロック色の強いヴァージョンは、エピックからリリースした彼らのデビュー・アルバムに収録された。
一方で、同曲は1972年10月にアルバムと同週にリリースされたスティーヴィー・ワンダーの『Talking Book』のファースト・シングルとなったが、この決定はスティーヴィーの意向に反していたという。
「モータウンには、“聞いてくれ、これはジェフ・ベックのために書いたんだ”と伝えました。彼はこの曲を気に入っていましたし、私は、“You Are The Sunshine of My Life”をファースト・シングルにすべきだと思っていました。でも彼らには“それは絶対にダメだ。ファースト・シングルは“Superstition”にすべきだ”と言われました。ですから、ジェフのもとに戻って、その話し合いをしました」
最後に彼はジェフ・ベックについてこう締めくくっている。
「彼は偉大な音楽を奏でた偉大な魂でした。彼と出会えて、私の人生の中に彼が存在し、私の音楽に彼の才能の一部を与えてくれたことを嬉しく思います」
Written By Paul Sexton
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