グラム・ロック・バンド、スウィートのベーシスト、スティーヴ・プリーストが逝去
ベーシスト、ボーカリスト、そしてイギリスのグラム・ロック・バンド、スウィート(The Sweet)のオリジナル・メンバーであるスティーヴ・プリースト(Steve Priest)が2020年6月4日に72歳で逝去した。
スウィートは全英シングルチャート2位を記録した「The Ballroom Blitz」「Fox On The Run」「Teenage Rampage」、そして1973年のNo.1ヒット「Block Buster!」などを含み、UKチャートにて13曲ものトップ20ヒットを記録している。
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スティーブ・プリーストは60年代後半、彼らがまだ自分たちのサウンドやラインナップを磨いていた頃にグループに加入した。当時ザ・スウィートショップ(Sweetshop)だったバンド名はスウィートへと変貌を遂げ、1971年にはシングル「Funny Funny」でUK13位のみならずヨーロッパでもヒットを記録し、デンマーク、スウェーデン、オランダでは1位を記録した。
スティーブ・プリースト、ヴォーカルのブライアン・コノリー、ギターのアンディ・スコット、ドラマーのミック・タッカーの4人組は、70年代半ばには、バブルガム・ポップからハード・ロックのサウンドへと進化し、3枚目のスタジオ・アルバム『Desolation Boulevard』でその地位を確立。1974年に発売されたこのアルバムはイギリスとアメリカで2つの異なるエディションがリリースされたが、ギターを多用したフック満載のトラックで多くのファンを魅了した。
1979年には、ブライアン・コノリーの脱退に伴い、スティーヴ・プリーストが数年間ヴォーカルを担当した後、1981年に解散。その後、スティーヴはアメリカに拠点を移し、人生の最後の10年間では、自身のグループでツアーを行いた。1971年から1982年までの間に、スウィートは合計9枚のスタジオ・アルバムをリリースしている。
グループ内では軽快な性格で知られるスティーヴは、ファンからもバンドからも愛されていた。アンディ・スコットはスウィートのFacebookページの声明の中で、スティーヴについてこう語ってる
「私が今まで一緒にプレイした中で最高のベーシストでした。私たちがバンドとして作り上げたサウンドはとてもパワフルでした。1970年の夏、私たちが音楽への旅路に乗り出したその瞬間から、世界が開け、ジェットコースターのような旅が始まったんです!」
世界中の他のミュージシャンもスティーヴに敬意を表しており、メガデスのデヴィッド・エルフソンはソーシャルメディアに、スティーヴについて追悼のコメントを掲載している。
「子供の頃にラジオから流れてきた素晴らしいハード・ロックでした。“Desolation Boulevard”は当時のロックの最高傑作のアルバムの一枚であり続けています。(のちにスティーヴと実際に出会えた時は)私のプロとしてのキャリアのハイライトの一つでした。彼の作曲スタイル、ヴォーカル、ベース、全て他の追随を許さないものでした」
スティーブ・プリーストは、イングランドのミドルセックス州ヘイズで生まれた。80年代半ばからロサンゼルスに移住。スティーヴの遺族には、大手エージェンシーであるRogers & Cowanで長年の広報を担当している妻のモーリーン・オコナー、娘のダニエルとマギー、リサ、そして3人の孫がいる。
Written By Sophie Smith
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