サム&デイヴのサム・ムーアが89歳で逝去。その功績を辿る

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Photo: Charlie Gillett Collection/Redferns

「Soul Man」「Hold On, I’m Comin’」などのヒット曲を生んだサム&デイヴ(Sam & Dave)のメンバーとして知られるソウル/R&Bシンガーのサム・ムーアが手術後の合併症により、現地時間1月10日にフロリダ州コーラルゲーブルズで逝去した。享年89だった。

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初期のキャリアとサム&デイヴの結成

1935年、フロリダ州マイアミで生まれたサム・ムーアは、教会でゴスペルを歌い始め、その後地元のR&Bクラブでライヴを行うようになった。同クラブでデイヴ・プラターと出会い、サム&デイヴを結成。サムはテノール・パートを担当した。

1964年にアトランティック・レコードと契約した彼らは、メンフィスのスタックス・レコードに出向し、アイザック・ヘイズとデヴィッド・ポーターのソングライティング・デュオやハウス・バンドのブッカー・T&ザ・MGsらと活動を共にする。1966年、サム&デイヴは、彼らの特徴であるコール&レスポンスのヴォーカル・スタイルを初めて採用した曲「Hold On, I’m Comin’」で全米トップ40入りを記録し、一躍ブレイクを果たした。

「Soul Man」の成功

サム&デイヴの最大のヒット曲で、公民権運動のレジリエンス(回復力)からインスパイアされた1967年の「Soul Man」は、グラミー賞を受賞し、文化的な資金石となった。同曲は1978年のブルース・ブラザーズ(ジョン・ベルーシとダン・エイクロイド)によるカヴァーで再び脚光を浴びた。

 

解散とソロキャリア

サム&デイヴは1970年代初頭に解散したが、その後断続的に再結成している。サム・ムーアは1970年のデビュー・アルバム『Plenty Good Lovin’』でソロキャリアをスタートさせましたが、同アルバムは何らかの理由で当時リリースされず、2002年に発見され初めて日の目を見た。

2006年、サム・ムーアはカムバック・アルバム『Overnight Sensational』を発表。同アルバムには、ジョン・ボン・ジョヴィ、ファンタジア、スティング、シーラ・E、マライア・キャリー、そして彼の最大の音楽的支持者の一人であるブルース・スプリングスティーンが参加した。

90年代初頭、サム・ムーアは他のアーティストとともに、レコード業界が退職金を正当に支払わなかったとして、複数のレコード会社とアメリカ・テレビ・ラジオ・アーティスト連盟を相手取って訴訟を起こした。

当時彼はAP通信に取材に、何百万枚ものレコードを売ったにもかかわらず、自身の年金はわずか2,285ドル(約36万円)だったことを明かし、「生涯で2千ドル?私で儲けているなら、少しは私にも分け前をくれ。コーンブレッドを渡して、ビスケットだと言わないでほしい」と語っていた。

サム・ムーアは、サム&デイヴとソロ活動の両方の功績により、グラミー賞の殿堂、ロックの殿堂、ヴォーカル・グループの殿堂入りを果たしている。

Written By Sam Armstrong




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