ザ・バンドやソロなど、ロビー・ロバートソンのキャリアを包括する『Testimony』
ロビー・ロバートソンは誰もが知る有名人ではないかもしれない。しかし彼は、その驚くべきキャリアの中で、少なくとも2回は革命的変化をロック・ミュージックの世界にもたらした。
60年代にロバートソンとその仲間たちは有名ロック歌手ロニー・ホーキンスのバック・バンドで腕を磨き、その後レヴォン&ザ・ホークスを結成(この名前はドラマーのレヴォン・ヘルムから採られた)。このバンドは短命に終わったが、彼らはやがてボブ・ディランの1966年のワールド・ツアーでバック・バンドを務めることになった。
そうして行われたディランのエレクトリック・ツアーでロバートソンと仲間たちが披露したサウンドはロックン・ロールの未来の青写真となるものだった。しかしディランが”エレキに走った”ことに立腹したファンからは、ブーイングを浴びせられ、このツアーで疲弊した一同は、地元で再集結し、ディランと密かにレコーディングを行った。そうしてできたのがあの『The Basement Tapes』である。
その後ディランのバックバンドはザ・バンドと改名し、画期的なデビュー・アルバム『Music From Big Pink』を発表する。現在”アメリカーナ”として知られるジャンルを作り出したこのアルバムは、60年代末期のルーツ回帰の風潮を先取りしていた。これを聴いたエリック・クラプトンはクリームの解散を決め、ブラインド・フェイスの結成に向かったほどだ。
ロバートソンがそのキャリア全体から自ら選曲したアンソロジー『Testimony』は、同名の自伝の音楽編と言える。ここには、ロニー・ホーキンスやボブ・ディランと録音した音源に加えて、ザ・バンドの名曲の数々(ライヴ録音とスタジオ録音の両方)が並んでいる。さらにはアルバム・タイトル曲「Testimony」のこれまで未発表だったミックスも収録された。このアンソロジーを聴けば、ロバートソンが間違いなく重要なミュージシャンであったことが確認できるはずだ。
「人生はカーニバル / Life Is A Carnival」とザ・バンドはかつて歌った。その舞台脇から、ロビー・ロバートソンはようやく表舞台に出てきたのである。
『Testimony』の収録曲は以下の通り。
「Testimony (Unity Mix)」ロビー・ロバートソン
「Bessie Smith」ザ・バンド
「Rainy Day Women #12 & 35」ボブ・ディラン
「The Night They Drove Old Dixie Down’ (Live At The Academy Of Music, 1971) ザ・バンド
「He Don’t Love You (And He’ll Break Your Heart)」レヴォン&ザ・ホークス
「Somewhere Down The Crazy River」ロビー・ロバートソン
「Life Is A Carnival (Live At The Academy Of Music, 1971) ザ・バンド
「It Makes No Difference」ザ・バンド
「The Weight’ (Live At The Academy Of Music, 1971)ザ・バンド
「Out Of The Blue」ザ・バンド
「I’m Gonna Play The Honky Tonks」レヴォン&ザ・ホークス
「Obviously 5 Believers」ボブ・ディラン
「Soap Box Preacher」ロビー・ロバートソン
「Twilight (Song Sketch)」ザ・バンド
「Come Love」ロニー・ホーキンス&ザ・ホークス
「When The Night Was Young」ロビー・ロバートソン
「The Shape I’m In’ (Live At The Academy Of Music, 1971)ザ・バンド
「Unbound」ロビー・ロバートソン
Written By Sam Armstrong
ロビー・ロバートソン『Testimony』