リンゴ・スターが語る、最新EPや故チャーリー・ワッツとの想い出、ビートルズの新ドキュメンタリー
リンゴ・スター(Ringo Starr)は、先日行われたZoomでのインタビューにて、2021年9月24日に発売された最新EP『Change The World』に「Rock Around The Clock」のカバーを収録した理由、先日亡くなったチャーリー・ワッツとの思い出、2022年のツアー計画、ピーター・ジャクソンが監督しDisney+で11月末に配信される最新ドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』についての感想を語った。
まずリンゴ・スターは、自身の誕生日の集いや最近ではオンラインでの活動を通じて繰り返し発信している「平和と愛 / peace and love」メッセージの影響について尋ねられ、次のように答えた。
「2008年にシカゴの路上で自分の誕生日にピース&ラブ・モーメントを始めたときは100人くらいだったのに、今では世界28カ国でピース&ラブ・モーメントが行われているんですよ。僕たちは海の中の小石のようなものかもしれないけど、でもそれは波紋のように広がっていく。ゆっくりと、でも確実にね。自分ができる範囲は限られているけど、僕ができることというのは、この“平和と愛”なんです」
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「Rock Around The Clock」の想い出
リンゴは、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツによるロックンロールの名曲「Rock Around The Clock」のカバーを最新EP『Change The World』に収録しようとした動機についてこう語ってくれた。
「EPは(Zoom上で映っている)この部屋で制作していて…ドラムは寝室に置いていて、小さなスタジオなんです。そこでEPに収録したい楽曲について考えていたんです」
「そんな時、昔の想い出が頭を巡りました。(病弱だった)僕は7歳の誕生日を病院で過ごし、14歳の誕生日も病院で過ごしていました。15歳の誕生日が近づいてもまだそこにいて、病院で過ごすのは嫌だったので、母がお医者さんと相談してくれたんです。そして入院して1年以上経ち、調子も良かったので、退院させてくれることになりました。まず、義父と母と一緒にロンドンに行って義父の家族に会い、その後リヴァプールに戻ってきて、祖母ばと祖父がマン島に連れて行ってくれたんです」
「そして『暴力教室』の映画を見に行ったら、“Kiss Me Quick”の帽子をかぶった、ちょっと頭のおかしいイギリス人の旅行者でいっぱいだった。僕は病院に入院していたので、当時何が起こっているのかあまり知らなかったのですが、映画が始まるまで座っていたら、彼らは映画館を引き裂いた。椅子を引き剥がして放り投げてしてて、“うわー、これはすごい!”って思いましたね」
「当時のことは昨日のことのように覚えていたので、“Rock Around The Clock”をやろうって思ったんです。だって、これは僕のEPだから僕の好きなようにできる。最初はオールドスクールのようなブラシのバージョンでやったんだけど、“いや、スティックだ!”と思った。そして、僕がロックして、ジョー・ウォルシュを呼んで、彼がロックして、ソロは別になったんだ。“Rock Around The Clock”のカバー・バージョンを聴くと、みんな同じソロを弾いているんだよね」
「チャーリーがいなくなったのは寂しい」
Zoomでのインタビューでは、リンゴは、8月24日に亡くなったもう一人の愛すべきドラマー、チャーリー・ワッツとの想い出も尋ねられた。
「チャーリーは素晴らしい男で、とても楽しく、そして僕よりもまとめるのが大変なバンドにいた(笑)。僕たちはロンドンの近くに住んでいて、キングス・ロードでばったり会ったり、ディナーやライヴで一緒になったりしていました」
「70年代にパーティーを開いたら、チャーリーも来て、ジョン・ボーナムも来て、3人のドラマーが一緒にいることになった。ボーナムがドラム・キットに座って、ステージのようにキットは地面に固定されていないので、彼の演奏のためにチャーリーと僕がバスドラムを支えてました。その時の写真はさぞかし素晴らしいものだっただろうね」
「でも、70年代の僕には家では写真を撮らせないってポリシーがあったから、写真は見つからないんだ。いつも思うのだけど、あれば素晴らしい写真になっていただろうなって。チャーリーがいなくなったのは寂しい、本当に素晴らしい人でした」
新型コロナウイルス蔓延のために延期となったツアー計画について、リンゴはこう明かしました。
「2020年のツアー、5月、6月の公演を中止しなければならなかったんだけど、僕の見通しが甘くて『来年も全く同じツアーをやるから、チケットを持っていてくれ』と言ってしまったんです。もちろん、そうはしませんでしたが」
「今年はできないけど、来年のツアーは決まっているんです。もう日程も送られてきている。ただ、それが実現するかどうかは、今はまだ言えない。僕は心の中ではできると思っていますが、私たちはどこにいることになるんでしょうね」
最新ドキュメンタリーを見た感想
最後に、今年11月にDisney+で発売されるドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』について、ドラマーは次のように語っている。
「(ドキュメンタリーの中で)僕らは笑っていて、ふざけていて、そしてミュージシャンだった。(1969年)1月5日の“Get Back”から1月末までの1ヶ月の間に、レコードを作って、屋上ライヴを行った。映画の中では、僕にとって素晴らしいシーンがあったよ。ポールが『誰かライヴをやりたい人はいないか』と言うと、その後ろで僕が『やりたい』と言っているのが聞こえたんだ(笑)」
「このドキュメンタリーはみんなが楽しめるものになっていると思います。なぜなら、バンドが一生懸命働いている姿や、感情的なアップダウンを経て現在に至っている姿を、見ることができるから。こうともいえる、一つの部屋に集まった4人の男達の話。多少の浮き沈みはあるだろうけどね。今、僕が言えるのはこれだけ。ピーター・ジャクソンは僕たちのヒーローで、素晴らしい仕事をしてくれました。彼は今もまだドキュメンタリーの手直しや微調整をしてくれているんです」
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リンゴ・スター『Change The World』
2021年9月24日発売
CD&Analog / iTunes / Apple Music / Amazon Music
日本盤のみ:解説・歌詞対訳付/SHM-CD仕様
- Let’s Change The World
- Just That Way
- Coming Undone
- Rock Around The Clock
- リンゴ・スター アーティストページ
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リンゴ・スター『Zoom In』
2021年3月19日発売
CD&Analog / iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music
日本盤のみ:解説・歌詞対訳付/SHM-CD仕様