イギー・ポップやボウイらの作品に参加したギタリスト、リッキー・ガードナーが逝去。その功績を辿る
イギー・ポップやデヴィッド・ボウイらの作品に参加した伝説のギタリスト、リッキー・ガードナー(Ricky Gardiner)が73歳で逝去した。デヴィッド・ボウイのプロデューサーであるトニー・ヴィスコンティは、リッキー・ガードナーの妻ヴァージニアからこの知らせを受け、自身のフェイスブックにこう記している。
「また1人、天才ギタリストで、個人的な友人が昨夜、あの世に旅立ちました」
イギー・ポップも自身のツイッターで次のように追悼を捧げている。
「親愛なるリッキー、本当に愛すべき、裸でオーバーオールを着こなす、ギタリストの中で一番いい奴だった。思い出と曲をありがとう、永遠に安らかに眠れ」
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その生涯
1969年にプログレッシブ・ロック・バンド、ベガーズ・オペラ(Beggar’s Opera)を結成したリッキー・ガードナーは、トニー・ヴィスコンティが共同プロデュースを手掛けたデヴィッド・ボウイの1977年のアルバム『Low』にギターで参加。
また、彼の評価を最も高めたのは、1977年のイギー・ポップのアルバム『Lust For Life』のために、彼とイギーと共作した「The Passenger」で、その張りのある切れ味の良いギターリフ、軽快なビート、そしてイギー・ポップがデヴィッド・ボウイの車に同乗してヨーロッパや北米を夜通し駆け巡っていた70年代半ばの日々にまつわる鮮烈な歌詞がひと際印象的な1曲だ。この曲は当初、名曲と言われながらも、アルバム『Lust For Life』からの唯一のシングル「Success」のB面としてのみ発売されていたが、1998年3月に正式シングルとしてリリースされ、全英チャートで22位を記録している。
リッキー・ガードナーはフランスのエルヴィル城で行われたデヴィッド・ボウイのアルバム『Low』のレコーディングで、初めてイギー・ポップと出会い、その後、彼のデビュー・アルバム『The Idiot』をサポートするために、彼のライヴ・バンドのメンバーになった。
デヴィッド・ボウイとイギー・ポップが活動拠点をベルリンから移すと、リッキー・ガードナーは自身のスタジオを設立し、ソロ・ミュージシャンとして活動を続けながら、アンビエント、クラシック、実験的デスクトップ・ミュージックの領域にも手を広げ、1985年の『The Flood』、1987年の『Precious Life』という2作のソロ・アルバムを制作している。
1990年代半ばなると、電磁波過敏症(コンピュータの電磁波などにさらされることで頭痛や吐き気を感じてしまう症状)を発症し、現代のスタジオ環境でのレコーディングが制限されるようになったが、その後も彼はできる範囲で曲作りとレコーディング活動を続けていた。2015年には『Songs For The Electric』というアルバムをリリースしている。
Written By Sam Armstrong
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