ラヴィ・シャンカールがジョージ・ハリスンにシタールを教える貴重映像が公開
インドが誇る世界的シタール奏者、ラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)の生誕100周年にあわせて、BBCが新たな映像を公開した。ラヴィ・シャンカール財団から提供されたこの貴重な映像には、ラヴィ・シャンカールがザ・ビートルズのジョージ・ハリスン(George Harrison)にシタールを教える親密な瞬間も映し出されている。
1966年にラヴィ・シャンカールに出会ったジョージ・ハリスンは、彼の音楽に深い感銘を受け、そのキャリアを通してインドの古典的な音楽スタイルを自らの作品に融合していった。2人は生涯の友であり、良き共作者でもあった。
ラヴィ・シャンカールは、ザ・ビートルズ以外にも、ジョン・コルトレーン、バーズ、ザ・ローリング・ストーンズ、バイオリニストのユーディ・メニューイン、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドなど、多くの大物ミュージシャンに影響を与えている。またこの映像では、彼の娘であるアヌーシュカ・シャンカールが、BBCの取材に対し、「人々は今まで聴いたことがなかったこの新たな音楽に引き込まれ、それを教え、広めたいと思っていた父はその役割を担うのに最適の人物だったのです」と語っている。
自身もまた優れた音楽家であり、作曲家でもあるアヌーシュカ・シャンカールは、「文化や世代を超えて、今でも多くの人々がシャンカールという名前を知っているように思えます。ラヴィ・シャンカールが文化的にも芸術的にもインドという国を世界に知らせしめた、誰もが知っているインド人だった時代がありました」と付け加えた。
また彼女は、4月7日に生誕100周年を迎えた父親を祝うためのコンサートや祭典など、様々なイベントを計画していたことを明かした。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、これらのイベントの多くは延期されているが、その間もデジタル・プラットフォーム上でトリビュート・コンテンツがファンに向けて公開されていく予定だ。
現在の世界の状況を踏まえて、アヌーシュカ・シャンカールは音楽が持つの“癒しの力”の重要性についても語っている。「世界にはポジティブな気持ちにしてくれるものがたくさんありますし、高揚感や癒しを与えてくれる音楽には大きなパワーがあると思います。多くの人々が音楽によって気持ちを高めたり、希望や平和といったポジティブな思考に波長を合わせることができ、それによって変えられることがあるのだと本気で思っています。どんな芸術でも、そんな風に人々の助けになるものには素晴らしい価値があるのです」
2012年に92歳で亡くなったラヴィ・シャンカールは、その時代において最も高く評価されたミュージシャンの1人だった。「父は史上最も偉大なミュージシャンのひとりだと心から思っています」とアヌーシュカ・シャンカールは語り、彼のラーガの知識は「傑出していました」と付け加えた。2013年にグラミー賞“特別功労賞生涯業績賞”(彼のもう一人の娘であるノラ・ジョーンズが代理で受け取った)を死後に受賞し、1999年にはインドの国民栄誉賞(文民最高勲章)にあたるバーラトラトナを授与されるなど、ラヴィ・シャンカールがその80年に及ぶキャリアを通して残した功績は、多くの賞によって讃えられている。
Written By Sophie Smith
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