全編クイーンの音楽を使ったミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』を振り返る
クイーン(Queen)の結成50周年を記念してYouTubeの公式チャンネルで毎週公開されている「Queen The Greatest」の最新エピソードでは、世界的現象を巻き起こしたミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』が開幕し、ロンドンのウェスト・エンドに衝撃を走らせた当時の思い出を振り返っている。
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2002年5月、ロンドンの ドミニオン劇場で、全編クイーンの楽曲のみで構成されたまったく新しいロック・ミュージカルが初めて上演された。ブライアン・メイとロジャー・テイラーの見守る中、愛情を持って命を吹き込まれたミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』は、ベネチア映画祭での偶然の出会いをきっかけに、クイーンとハリウッドの伝説的な人物との意外な組み合わせによって実現した。
ロジャー・テイラー:「何本も脚本を渡されたんですが、不思議なことにまったく畑違いのロバート・デ・ニーロが興味を持ってくれた。彼の会社であるトライベッカの劇場部門を始めるから、その最初の作品として私たちの、つまりこのミュージカルを上演したいと言ってきたんだ。そうして私たちは共同プロデューサーを務めることになりました」
さらに、もうひとつの重要なパートナーシップとして、彼らのヒット曲が織り込まれた今作の脚本を手掛けたコメディ作家のベン・エルトンの存在がある。
ロジャー・テイラー:「この作品は、ベンが日頃からやっていることが随所に織り込まれていて、とても面白い作品に仕上がっている。伝えるべきメッセージや、ちょっとマヌケな出来事もありながら、とても可笑しくて、それでいて元気がもらえるストーリーになっていて、そこにこれでもかというヒット曲がとてもいい具合に盛り込まれていると思います」
ブライアン・メイ:「面白くもあり、真面目な部分もあり、そこには伝えるべき、おそらく伝わるだろうメッセージがあると思う。ハンカチもあったほうがいいです。悲しみや、個人的な感情を抱いたりするシーンもあると思いますよ」
「歌詞に小さな変更を加えることはよくありますし、まったく加えないこともある。でも、どういうわけか、これらの楽曲が(このミュージカルの)ストーリーに驚くほどぴったり合っているように思えたんです。それは偶然ではない。私たちがこれらの楽曲に中心に作り上げたストーリーであり、このストーリーに合わせて構成した楽曲ですから。ストーリーにただ楽曲をはめ込もうとしたわけで全くありません。私たちが常に自分たちの仕事にとても真剣に取り組んできたということだと思います。ですから、これはミュージカル作品として後世に残るものを作りたいという真の試みであり、もしかしたら将来的には、これらの楽曲が別の場所で生まれたことすら忘れられてしまうかもしれません」
予想していた通り、公開当初の一部のマスメディア評は厳しいものだったが、そんなことはお構いなしに、満員御礼の劇場に足を運んだ観客は毎晩スタンディングオベーションを送り、ついにはドミニオン劇場で最も長く上演される作品となった。2012年には、このショーの10周年を記念したガラ公演が開催され、スターたちが一堂に会し、その偉業を称えた。
サム・フォックス: 「10年も続いているなんて、ロックンロールの人気の高さがうかがえますね」
クリス・タラント:「上演初日に観に行きましたが、最高の作品です」
エマ・トンプソン: 「17回は観に行きました」
アーリーン・フィリップス:「10年後を楽しみにしています」
アルド・ジリー:「これからもずっと続いていくと思います。10年なんてあっという間です」
ティム・ミンチン: 「クイーンの曲ですから、永遠に続きますよね」
ベン・エルトン:「僕たちは10年間笑い続けてきて、観客もそうでしょうから、感動しています、感動しかありません」
ブライアン・メイ:「この10年間、600万人もの観客がこのショーを観るためにこの会場に足を運んでくれました。私たちは、このショーを存続させ人々に感動してもらうために、常に新たなことを取り入れながら進化させてきました」
2002年5月14日のドミニオン劇場での初演以来、ミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』は瞬く間にイギリス国内外の人々が足を運ぶミュージカルとして圧倒的な人気を博した。ドミニオン劇場での上演2年目には、ワッツオンステージ賞(TheatreGoers’ Choice Awardsとして知られていた)で“ベスト・ニュー・ミュージカル”を含む5部門受賞した他、2011年には、初演から9年目にして、一般投票によって選出される唯一のアワード、ローレンス・オリヴィエ賞の観客賞に輝いた。その後も、世界中で上演されたこのミュージカルは、数々の国際的なアワードを受賞している。
通算4,600回という驚異的な上演回数を記録した『ウィ・ウィル・ロック・ユー』は2014年5月31日にドミニオン劇場で閉幕し、同劇場で上映された他の作品に9年以上の差をつけて、歴代TOP10に入るロングラン公演としてウェストエンドの歴史にその名を刻んだ。
また、このミュージカルは世界的現象となり、20カ国以上で上演され、1,500万人以上の観客をを楽しませてきた。そして、初演の夜から20年が経つ今、イギリスでの新たなツアーが始まろうとしている。ミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』の人気はいまだ世界中で健在で、クイーンはこの先もミュージカル界を揺るがし続けることになるだろう。
Written By Tim Peacock
クイーン『Greatest Hits』
1981年11月2日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
ロジャー・テイラー『Outsider』
2021年10月1日発売
日本盤CD / 輸入盤CD&LP / iTunes Store
ブライアン・メイ『Back To The Light』
2021年8月6日発売
(国内盤CD発売は8月11日に変更)
国内盤2CD / 国内盤1CD / 2CD+1LP / LP
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