クイーンの二人が語るデビュー前の苦労と初めてのデモ・テープ
クイーンのYouTubeで公開されていたミニ・ドキュメンタリー・シリーズ『Queen The Greatest』が、デビューアルバム『QUEEN I』(戦慄の王女)の再発売を記念して、特別限定シリーズとして復活。そのエピソード1が公開された。
YouTubeで公開された今回の映像では、バンドの成長をさまざまな側面から探り、1973年に初めて制作したデモ・テープや、レコード会社への営業、そして彼をサポートしてくれた人をブライアン・メイとロジャー・テイラーの二人が回想している。
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初めてのデモ・テープ
ブライアン・メイはクイーンとして初めてプロのスタジオでデモ・テープを作った時のことをこう説明する。
「ディ・レーン・リー・スタジオは、本当に僕たちの人生を変えたんだ。それは、友人の友人が僕を見つけて、『スタジオに来て音を出してみないか?』と声をかけてくれたからなんだ。当時、その真新しいスタジオは、未検証の機材を試してくれるアーティストを探していた。クイーンは完璧な候補者だったんだ」
「ディ・レーン・リーでの時間は本当に楽しかった。私たちは初めて本当に腕をふるって練習で演奏していた曲のバックトラックをまとめあげた。私たちが思い描いていた通りに多重録音を行い、楽曲を構築していった。“Keep Yourself Alive”で3つのギターソロを試したのは初めてだったよ。長い間 ずっとアイデアとして温めていたんだ。オーケストラのように響く3つのパートのギターソロを聴きたかった。それが初めて実現したんだ」
ロジャーはレコーディングでのフレディの様子を語っている。
「フレディは当時とても素朴だった。情熱と信念、そしてビジョンをすべて持っていたが、まだ機材を持っておらず自分の声をコントロールすることもできなかったんだ。スタジオに入るとすぐに彼は自分のテープを聞き返し“これは気に入らない ダメだ” “もっとうまくできるはずだ” って言い出した。そして 納得のいくまで何度も何度もやり直すんだ」
レコード会社への営業とジョン・アンソニー
そこで制作したデモ・テープを抱え、ロジャー・テイラーは、多くのレコード会社のドアをノックしなければならなかったことを回想する。
「フレディと一緒に延々と列車に乗ってあちこちのレコード会社を回ったことを覚えてるよ。アポを取って、オフィスに座って、レコード会社の人間が曲を再生する。みんな興味は持ってくれたが誰も飛びついてはこなかった。ただただ苦痛だった。でも自信があったから心が折れることはなかった。生まれつきのような、温和な傲慢さがあったんだ。自分たちは素晴らしく他とも違っていると思っていた。心が折れることはあったかもしれないでも あまり落ち込まなかったよ」
そんな彼らはプロデューサー、ジョン・アンソニーの目に留まり、そこからマネージメントとの契約を果たした。ロジャーは彼についてこう語る。
「ジョン・アンソニーは本当に俺達に力を貸してくれた人物だ。彼は本当に優秀で、俺達を信じてくれた。可能性を見出してくれたのは彼だったと思う」
ブライアンはジョンが彼らの成功への第一歩を助けてくれたことを次のように話している。
「ジョンは当時既にTrident Audio Productionsと既に仕事をしててプロデューサーやA&Rとして活動していた。私たちがインペリアル・カレッジでショーケース・ギグを行った際には2回ともジョンを招待して彼は称賛してくれたんだ。私たちがディ・レーン・リーにいたときには様子を見にきてくれた、(同じプロデューサーの)ロイ・ベイカーと一緒にね。録音の進捗状況を見に来たんだけど明らかに感動していたよ。彼は “本当に素晴らしいものになるだろう”、 “僕が契約を取ってこよう” と言ってくれたんだ」
「Queen The Greatest」スペシャルの第2弾は11月1日にプレミア公開される予定だ。ウェブシリーズ「The Greatest Live」のこれまでのエピソードでは、バンドの長い歴史における記念碑的なライブパフォーマンスが紹介され、過去のアーカイブから、アダム・ランバートなどのアーティストとの最近の共演まで幅広く全て字幕付きで公開されている。
Written By Sam Armstrong
2024年10月25日発売
Box Set / 2CD
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