クイーンのブライアンとロジャーが語るライヴにおける照明の重要性
50年に及ぶクイーン(Queen)のキャリアから、貴重な蔵出しライヴ映像や、最新パフォーマンス、舞台裏を明かすインタビュー等を50週にわたって紹介していくバンドの最新ウェビソード・シリーズ『Queen the Greatest Live』。
新たに公開された第9話「Under The Lights」では、ブライアン・メイとロジャー・テイラーが、1970年の結成当初から、五感を魅了するクイーンの壮大なライヴにおける照明の重要性、タングステン照明ならではの“ピザの焼き釜”の秘密や照明下での自分たちのお気に入りの瞬間について語っている。
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照明はステージを形成する重要な要素
同エピソードの中でブライアン・メイは次のように語っている。
「ステージに立っている2時間半の間、私たちは環境を完全コントロールしているんだ。つまり音、照明、温度、スモークの量などの全てをね。私たちは常に、照明とはただ単にステージを照らすものではなく、それ自体が環境を形成するオブジェクトであり、環境の一部であると考えているんだ。それは、ある意味ロックンロールだと思う。この考え方は、私たちが子供の頃に楽しんだことから、身についたんじゃないかな」
またロジャー・テイラーは、クイーンがライヴを行ってきた会場で、ロック・コンサートの照明の進化を目の当たりにしたことを振り返り、ピンク・フロイドのようなパイオニアからインスピレーションを得て、さらに彼らがその限界に挑戦することを決意したことを明かしている。
「多彩な何百という光を駆使しても、ただ白っぽく見えてしまうショーをたくさん見てきた。そこで、赤、緑、白の3色で構成することを思いついたんだ。そして、実際それはとても効果的だった」
妥協なき革新的な照明装置の導入
クイーンのステージは、演奏する会場の規模に比例して、ますます野心的になっていった。過去50年以上にわたって、バンドは照明分野において最も先見の明のある才能溢れる技術者たちによる最先端の技術でステージを作り上げてきた。例えば、1982年の“Hot Space”ツアーでは、ロイヤル・アルバート・ホールでの公演を予定していたところ、照明機材があまりにも重く、同会場のドーム型天井がそれを支えられない恐れがあったため、中止せざるを得なかった。
このエピソードの中でロジャー・テイラーは、“クラウン”と呼ばれるロック・コンサートでは前代未聞のライヴ中に昇降する巨大な円形の照明装置や、他のバンドも真似たという“ビッグ・レイザー(大きな剃刀)”と呼ばれる吊り下げ式の照明といった、クイーンが取り入れてきたとりわけ先駆的なものにも言及しているが、同時に彼は、「時に、最も効果的な照明はアリーナ全体をパフォーマーに集中させる、たった一筋の強力なスポットライトであることもあるんだ」と証言する。
ステージ上はまるで“ピザの焼き釜”
ブライアン・メイは、ギターソロに呼応する革新的なポッド照明装置や、“ピザの焼き釜”と彼が呼ぶステージ上のメンバーにとって肉体的な試練となったタングステン照明についても語っている。
「当時の照明は熱かった。全でタングステン製の白熱灯だったからね。そしてステージ上部からそれが降り注ぐと、まるでピザの焼き窯のようだった。ロジャーはよく怯えていた。アンコールの時、彼の椅子から煙が出ていたんだ。よく生き延びたと思うよ」
「ポッドに照明を配置した別のセットもあった。各ポッドにオペレーターが付いて操作することでポッドが呼応するんだ。私がポッドに向かってギターソロを演奏しながら、ポッドを動かしている映像もあるよ。弾いている私にポッドが話しかけて対話しているように見えるんだ。あれはとても楽しかった。マイケル・ジャクソンがそれを見て、“これをやりたい”と言ったんだ。そして、彼は実行したよ」
Written By Paul Sexton
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