マックス・リヒターの1曲8時間の楽曲「Sleep」が世界睡眠デーに初配信開始
マックス・リヒターの8時間に及ぶ大作「Sleep」が3月16日の世界睡眠デーを記念して、初めてすべてストリーミングされることが決定した。
「Sleep」がストリーミング可能になるのは初めてのことであり、これにより、マックス・リヒターが意図したとおりリスナーは眠っている時間に何の邪魔も入らずに体験することが可能になる。
マックス・リヒターは言う、彼の創造性とは一つの明らかに社会的な目的として表現することで、幅広い注意をひくと感じるコンセプトから彼の楽曲は生み出される傾向があると。それは聴く人に旅をさせ、対話し、質問を投げかけるような物語を伝えるのが目的だ。「私は、自分の意識が休んでいるときに、脳には音楽のためにどんなスペースが残されているのかを探求したいと目指しています」
「『Sleep』は音程が高い音の使用を避けていますし、100ヘルツ以上のものはありません。これは子宮内の胎児の聴覚環境を反映させているんです」とマックス・リヒターはドイツのメディアZEITの編集者にこう説明している。「1分間に約40回のビートがあります。これは非常に穏やかな休息の波長です」。この楽曲で響く残響は、我々が深い眠りについている時に音楽がどのように響くかを連想させる。「ゆっくりと下降する音階のスケールは、私達をアルファ波、デルタ波、シータ波の領域へと緩やかに導きます。30種類以上のヴァリエーションを含む作品が、躊躇なく音のベットへといざなうのです」。マックス・リヒターは、1741年 に不眠症に悩む伯爵のためにバッハが書いたゴルトベルク変奏曲の跡をついだのだ。
この非常にユニークで風変わりな一連の作品は、‘睡眠補助’のために作成されたのではなく、睡眠の準備と目覚め、そしてその間にある全体の儀式に伴って使用されることを意図している。「音楽はあなたがリラックスした状態へと落ちていくのを止められないほど、寛容でトランス的な状態を呼び起こすんです」と一般的紙ウォール・ストリート・ジャーナルにコメントしている。
この春、マックス・リヒターは、アメリカの観衆を彼のピアノ、ストリング・カルテット、エレクトロニクス、そしてヴォーカルによる8時間の子守唄で魅了することだろう。ベルリン、ロンドン、シドニー、アムステルダム、チューリッヒ、マドリッド、パリでの公演に続いて、3月12日には、オースティンのサウス・バイ・サウスウエストにて夜通しの公演が行なわれ、その後ニュージーランドのオークランド・フェスティヴァルでも3月16日に夜通しの公演が行なわれる。
今まで行われた「Sleep」のライヴ・パフォーマンスと同様に、上記2か所の観客は彼の音楽をコンサート席ではなく、ベッドで体験することになる。パジャマと寝袋を除き、その大変は観客とメディアの双方が信じられないほど感銘を受けることだろう。マックス・リヒター、ソプラノ(グレース・デヴィッドソン)、小さなバンド(アメリカン・コンテンポラリー・ミュージック・アンサンブル)はこの8時間の演奏に挑戦する。元はドイツ・グラモフォンで「Sleep」をニュー・ヨークのアヴァター・スタジオで制作したことがあるアメリカン・コンテンポラリー・ミュージック・アンサンブルのブライアン・スノウはこう語る。「これは非常に長く、持続性のある音楽なんです。そして、誰も逃れることはできません、完璧なものになるにちがいありません」
Written by Tim Peacock
マックス・リヒター『Sleep』