半世紀を経てマーヴィン・ゲイ「What’s Going On」MVが初公開
マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」は、発売から半世紀近く経った今尚、人々の心に訴えかける不朽のアンセムとして知られているが、この度モータウン・レコーズは、サバナ・リーフ監督による初のミュージック・ビデオを公開した。
同ビデオは、今年設立60周年を迎えたモータウン・レコーズのアニバーサリー企画の一環として、ワシントンD.C.にて開催された連邦議会
サバナ・リーフは、マーヴィン・ゲイによる時宜を得たプロテスト・アンセム「What’s Going On」 に米フリント市の水道水汚染問題をはじめ、学校での銃乱射事件、万国共通のヘルスケア、そして警察による残虐行為など、現代における社会問題を投影させている。
「この絶望的な世界を一体誰が本気で救おうとしているのか?」とマーヴィン・ゲイは、同ビデオでオープンングを飾るライヴ映像の中で私たちに問いかける。
ミシガン州のデトロイトやフリントで4日間かけて撮影されたこの映像について、サバナ・リーフは、曲が持つオリジナルのメッセージはそのまま残しつつ、そこにモータウンが誕生した土地を関連づけることの重要性について力説していた。
サバナ・リーフはこう語っている。「このミュージック・ビデオには、社会政治問題と共に、曲そのものやモータウンの歴史を映し出す場所が必要でした。役者に何か演じてもらうよりも、物語に関わっている実在の人々の姿を記録することがとても重要だったんです」。
この映像には、フリント市の市長であるカレン・ウィーバー、地元の活動家として知られるアリアナ・ホーク(水道危機の真っ最中にタイム誌の表紙に登場した)、モータウンで「What’s Going On」のレコーディング・エンジニアを務めたスティーヴ・スミスといった功労者らなどが出演している。
過去にコモンやゲイリー・クラーク・ジュニアなどのビデオを手掛けているサバナ・リーフは、2011年以来モータウンの代表を務めるエチオピア・ハブテマリアムによって監督に抜擢された。
サバナ・リーフはワシントンD.C.で行われたパネル・ディスカッションにもパネラーとして参加し、マーヴィン・ゲイが残した不朽の名曲の新たなミュージック・ビデオ制作への意気込みを語っていた。
「この曲は歴史に刻まれる重大な瞬間について歌ったもので、そこに込められたメッセージが時代を超越し、普遍的であるというのは素晴らしいことです。そこには人の感情があり、人々の繋がりがあり、それが一丸となっているんです。このミュージック・ビデオが1971年当時にマーヴィン・ゲイが問いかけていたことを人々に呼び覚ますきっかけになれば嬉しいです」。
この「What’s Going On」は、これまでミュージック・ビデオが存在していなかった過去の名曲を、それぞれの作品が持つメッセージと共に映像化していくユニバーサル・ミュージックによる、“Never Made”プロジェクトの第一弾として公開されたものだ。
モータウンのソングライター、アル・クリーヴランド、マーヴィン・ゲイ、そしてフォー・トップスのメンバーだったレナルド・ベンソンが共作した「What’s Going On」は、1965年のワッツ暴動や、レナルド・ベンソンが実際に目撃したという1969年のカリフォルニア州バークレー、ピープルズパークでの学生運動への弾圧“ブラッディ・チューズデー”など、社会的事件への“プロテスト・ソング”として生まれた。
自身でプロデューサーも務めたマーヴィン・ゲイは、1971年1月20日にこの曲をシングルをリリースし、直後に全米シングル・チャート2位を獲得している。
Written By Laura Stavropoulos
マーヴィン・ゲイ『What’s Going On Live』
2019年10月18日発売
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