「Mr. Bojangles」で知られるジェリー・ジェフ・ウォーカー が78歳で逝去。その功績を辿る
ヒット曲「Mr. Bojangles」の作者として知られ、テキサス州オースティンを「ライヴミュージックの聖地」として確立させたシンガーソングライター、ジェリー・ジェフ・ウォーカー(Jerry Jeff Walker)が78歳で逝去した。彼の親族の代表者によると、彼は2020年10月23日に、他の健康上の問題を抱えながら長く闘病していた咽頭癌のため亡くなったという。
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1942年にニューヨークのオネオンタで生まれたジェリー・ジェフ・ウォーカーこと本名ロナルド・クライド・クロスビーは、グリニッジ・ヴィレッジのフォーク・ミュージック・シーンから頭角を現し、サーカス・マキシマスというバンドで2作のアルバムを発表後、ソロ・アーティストとして活動を始める。
1968年に発表したアルバム『Mr. Bojangles』からのタイトル曲が全米シングル・チャート入りするヒットを記録した一方で、その僅か2年後にニッティー・グリッティー・ダート・バンドがリリースしたカヴァーは全米TOP10入りを果たした。以降、「Mr. Bojangles」はスタンダードとして、サミー・デイヴィスJr. をはじめ、ニーナ・シモン、ハリー・ニルソン、ニール・ダイアモンド、ハリー・ベラフォンテなど、多くのアーティストによってカヴァーされている。
70年代初頭、保守的なカントリー音楽に反旗を掲げる“アウトロー・カントリー・シーン”が形成され始めていたテキサス州オースティンに移住したジェリー・ジェフ・ウォーカーは、その後20年間、毎年ほぼ1作(時には1年に2作)ペースで新作をレコーディングするほどの精力的な制作活動に乗り出し、自身の代表作ともなる1973年のライヴ・アルバム『¡Viva Terlingua!』をはじめとする多くの作品を生んでいく。
長年彼のバックを務めたロストー・ゴンゾ・バンド( Lost Gonzo Band)と共にレコーディングした、この軽快で親密なセッションは、ジェリー・ジェフ・ウォーカーのオリジナル楽曲(「Sangria Wine」「Little Bird」「Gettin’ By」)に加え、ゲイリー・P・ナンの「London Homesick Blues」やガイ・クラークの「Desperados Waiting for the Train」などのカヴァーも収録したアウトロー・カントリーの不朽の名盤として知られている。
ジェリー・ジェフ・ウォーカーは地元オースティンの音楽シーンで愛された人物であり、自ら運転してフロリダ州のキー・ウェストまで連れて行ったという若き日のジミー・バフェットなど、当時の新進気鋭のアーティストたちへの寛大な態度でも知られていた。また彼は定期的に新人ソングライターたちによる楽曲をカヴァーし、中でも最も知られているのは1972年にヒットを記録したガイ・クラークの「L.A. Freeway」カヴァーだろう。
地元紙テネシアンの取材に応じたアスリープ・アット・ザ・ホイールのフロントマン、レイ・ベンソンは、ジェリー・ジェフ・ウォーカーについて次のように語っている。
「ウィリー(・ネルソン)以外にも、ジェリー・ジェフはテキサス州オースティンに根ざした最も重要なミュージシャンです。テキサスでフォーク・シンガーソングライターの全盛を極め、今日の若いミュージシャンたちがその形を受け継いでいるという点において、彼の功績は永遠のものと言えるでしょう」
1986年に自身のインディペンデント・レーベル“Tried & True Music”を立ち上げたジェリー・ジェフ・ウォーカーは、2000年代までレコーディングを続け、2018年には遺作となった『It’s About Time』をリリースした。
彼は妻のスーザン、息子のジャンゴ(ミュージシャンでもある)、娘のジェシー・ジェーンを後に残した。
Written by Sophie Smith
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