アメリカの象徴的音楽雑誌「ローリング・ストーン」が売却へ

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今年で創刊50年迎え、これまでに音楽とカウンター・カルチャーを題材にしてきたアメリカを象徴する雑誌、ローリング・ストーン誌が、先行きが不透明であるとして、売却先を探すと創設者ヤン・ウェナーが明らかにした。

ローリング・ストーン誌は、1967年にカリフォルニア州のバークレーでヒッピー学生だったヤン・ウェナーによって創刊。現在は息子のガスと共に運営しているが、出版社を家族で経営し続けていくのは難しいとニューヨーク・タイムズ紙に語った。

ガス・ウェナーは「我々だけではどうすることもできない状態になってしまいました」と日曜日に同紙の取材で話し、「積極的に動き、先手を打ちたいと思っています」と説明している。

ローリング・ストーン誌はロック・ミュージックを取り上げる雑誌の中でも最も影響力があり、それだけではなくパスタソースで有名なロイド・グロスマンや、映画『あの頃ペニー・レインと』にも登場する伝説的編集者の故レスター・バングス、型破りなほどに主観的な姿勢のジャーナリストであり「ラスベガスをやっつけろ」の原作者でもあるハンター・S・トンプソンなどの実験的な著者のたちのホームでもあった。

2016年、ローリング・ストーン誌はアジアの大富豪の息子であるメン・ルー・クォックが代表を務めるシンガポールの音楽テクノロジーのベンチャー企業、バンドラブ・テクノロジーズに株式の49%を売却しているが、メン・ルー・クォック氏がローリング・ストーン誌の支配権を望むかどうかは不明である。ウェナー家は、今年に彼らが所有する他の2つの雑誌、セレブ雑誌の「USウィークリー」とライフスタイル月刊誌の「メンズ・ジャーナル」をナショナル・インクワイアラーなどのタブロイド誌を出版するアメリカン・メディア・インクに売却している。

もし、アメリカン・メディア・インクがウェナー家から他の2誌に続いてローリング・ストーン誌も買収するとなると、雑誌のイデオロギーが大きく変わる事になる。タブロイド誌の出版社であるアメリカン・メディア・インクの社長、デヴィッド・ペッカー氏はドナルド・トランプの熱烈な支持者であるが、ローリング・ストーン誌はバラク・オバマやビル・クリントンなどの長編インタビューを掲載し、左寄りの思想を掲げてきたからだ。

71歳になりロックの殿堂でもキー・パーソンを務める創設者ヤン・ウェナーは、今後もローリング・ストーン誌の編集に携わりたいと希望しているが、最終的にはそれは新しい出版社がどこになるか次第だと語っている。

Written by Tim Peacock


 

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