ガールズ・バンド、ゴーゴーズがドキュメンタリー映画公開に合わせて約20年ぶりの新曲を発表へ
LAを象徴するガールズ・パンク・バンド、ゴーゴーズ(The Go-Go’s)が、約20年ぶりとなる新曲「Club Zero」を7月31日にユニバーサル・ミュージック・エンタープライズからリリースすることが発表となった。
この新たなドキュメンタリー映画『The Go-Go’s』は過去にL.A.の音楽シーンをおった『Laurel Canyon』やイーグルスのドキュメンタリー『History of the Eagles』などを手掛けたアリソン・エルウッド(Alison Ellwood)が監督を務め、日本時間8月2日午前11時に、米 TV局のShowtimeでプレミア公開されることが発表となっている。映画ではこの新曲の初期ヴァージョンに取り組むバンドの姿も映し出されている。同ドキュメンタリーの予告編は下記よりご覧いただける。
彼女たちがセルフ・プロデュースを手掛け、ゴーゴーズらしい明るくパンチの利いたメロディと、キャッチーで一緒に歌いたくなるようなサビが印象的な新曲「Club Zero」は、バンドメンバー間のメールでのやりとりから生まれ、共同プロデューサー/ミキサー/エンジニアのトラヴィス・キャスパーバゥアーとサンフランシスコのLucky Recordingで、またリード・ヴォーカルはロサンゼルスでプロデューサーにゲイブ・ロペスを迎えてレコーディングされた。
今回のゴーゴーズのドキュメンタリー映画でフィーチャーされている「Club Zero」 のライヴ・ヴァージョンには、バンド初期の本拠地として知られるLAのサンセット大通りにあるライヴハウス、ウィスキー・ア・ゴー・ゴーでのパフォーマンスに備えて、彼女たちがこの曲をつくり上げていく、その進化の過程が反映されている。このドキュメンタリー作品は、今年1月のサンダンス映画祭でプレミア上映され、観客からのスタンディングオベーションと批評家からの絶賛を浴びていた。
この作品では、70年代後半のLAパンク・シーンの猛者として頭角を現したゴーゴーズたちルーツに焦点を当てながら、当時最も愛され、勢いに乗ったバンドのひとつだった彼女たちがトップに上り詰めるまでを、過去の豊富な資料映像や現在の彼女たちのインタビューを交えて描き出されている。このドキュメンタリー作品は、音楽史における彼女たちの地位を評価すると共に、繰り返される盛衰と再生の背景にある人物像や原動力についても検証しており、ミュージシャン、パンク・シーンの草分け、またそれ以上にサバイバーとしてのゴーゴーズの才能や功績を真剣に評価し、描いた作品は過去には存在しなかった。
特筆すべきは、現在に至るまでゴーゴーズは、自作自演したアルバムで全米1位に輝いた唯一の女性バンドであるということだ。1978年に結成されたゴーゴーズは、初期のLAパンクシーンにおいて欠かせない存在でもあった。1981年にリリースしたデビュー・アルバム『Beauty And The Beat』は、全米アルバム・チャートで6週連続で1位を獲得し、第24回グラミー賞では“最優秀新人賞”にノミネートされている。
続く1982年の『Vacation』は、全米アルバム・チャートで8位を獲得した他、今作からのタイトル・シングルがTOP10入りを果たした。全世界トータルセールスは700万枚以上を誇るゴーゴーズは、1981年から、ベリンダ・カーライル(vocals)、ジェーン・ウィードリン(guitar)、キャシー・バレンタイン(bass)シャーロット・キャフィー(guitar)、ジーナ・ショック(drums)という黄金期のラインナップでツアーを続けている他、近年では、彼女の楽曲をフィーチャーしたミュージカル『Head Over Heels』が2018年7月にブロードウェイで公開され、成功を収めた。
ユニバーサル・ミュージック・グループの映画・テレビ部門であるポリグラム・エンターテインメント(Polygram Entertainment)が全額出資するドキュメンタリー映画『The Go-Go’s』は、ポリグラム、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング・グループ、インタースコープ・フィルムズ、ファインポイント・フィルムズ、ファドゥー・プロダクションズによって提供・製作される。
ポリグラム・エンターテインメントのデイヴィッド・ブラックマンとダニエル・インケレス製作総指揮の下、アリソン・エルウッドが監督を、トレバー・バーニー、コーレイ・ラッセル、エイムヒア・オニールがプロデューサーを務め、エディターのブレット・バンクスとエグゼクティブ・プロデューサーのブレンダン・J・バーンに加え、共同エグゼクティブ・プロデューサーとしてウォーリー・エルタワッシーとアルトゥーロ・シスネロスがクリエイティブ・チームに参加している。
Written By Tim Peacock
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