ブラッカリシャスのラッパー、ギフト・オブ・ギャブが50歳で逝去。その功績を辿る
ヒップ・ホップ・デュオ、ブラッカリシャス(Blackalicious)のラッパー、ギフト・オブ・ギャブ(Gift Of Gab)が2021年6月18日に亡くなっていたことが発表された。享年50だった。彼のクルーであるQuannumは以下のようにコメントしている。
「我々の親愛なる兄弟、Timothy J. Parker a.k.a. The Gift of Gabの逝去をお伝えするのは、重い心と大きな悲しみが付きまといます。2021年6月18日、ティムは安らかにこの世を去りました。彼は、2人の兄弟、1人の姉妹、多くの姪や甥、数え切れないほどの友人、そして世界中のファンに見守られています。親愛なる兄弟の途方もない喪失を悼むため、ご家族のプライバシーを尊重していただきたいと思います」
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ギフト・オブ・ギャブは、サンフランシスコ・ベイエリアやラップ界の枠を超えた音楽の世界でも愛されるアーティストだった。温和で穏やかな心を持つ彼は、その芸術性だけでなく、心の持ち方でも支持されていた。ギフト・オブ・ギャブのソロ作品やブラッカリシャスでマネージャーを務めたブライアン・ロスはこう語る。
「彼は、私が知る限り最もポジティブな人間の一人で、常に未来を見据えており、新しいアイデアや哲学的な視点、未来についての考えを無限に持っていました。彼は常に学び、成長し、自分があまりよく知らないことについて深く話し合う準備ができていました。彼と何か簡単な会話をすれば、いつも予想もしなかったような場所に連れて行ってくれるんです」
2014年に腎不全と診断されたギフト・オブ・ギャブは、ツアー中も週に3~4回の透析を受けながら、常に前向きでクリエイティブ、そして希望に満ちた生活を送っていた。2020年1月31日、ブラッカリシャスのツアー最終日の夜、偶然にもアリゾナ州フェニックスで移植できる腎臓があるという知らせを受け手術を受けた。ギャブは早期の回復に努め、新型コロナウイルスのパンデミックの間も、常に創造性を追求し、パフォーマンスやファンとの交流のために復帰することに集中していた。
あまりにも早くこの世を去ってしまったが、ギャブの音楽史への貢献はこれからも続くだろう。2002年に発売されたブラッカリシャスのアルバム『Blazing Arrow』は、ラップ愛好家の間で瞬く間にセンセーションを巻き起こした。MCAからリリースされたこのアルバムを、ピッチフォークのクリス・ダーレンはこう評している。
「夏の定番アルバムの一つであり、多くのサウンドと多くの生命力が詰め込まれているので、このアルバムを聴くことは、ブロックパーティー、一日中続くコンサート、家族の再会を一度に行うようなものだ」
ギフト・オブ・ギャブが残した音楽的遺産も、芸術が創造され、称賛される限り、記憶に残ることだろう。
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