2021年UKで最も売れたアルバムが発表。アデル、エド・シーラン、ABBA、クイーンらが上位に
英オフィシャル・チャート・カンパニー(以下OCC)は、2021年度英国で最もアルバムが売れたアーティストを発表し、エルトン・ジョン、クイーン、アデル、エド・シーランらが上位にランクインした。
最新アルバム『30』が、60万56枚(ストリーミングによるアルバム換算9万8,093枚を含む)の売上で、ダブル・プラチナを獲得し、2021年最も売れたアルバムに認定されたアデル(Adele)をはじめ、エド・シーラン(Ed Sheeran)、デュア・リパ(Dua Lipa)、デイヴ(Dave)、エルトン・ジョン(Elton John)、クイーン(Queen)、フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)ら英国出身のアーティストたちが、年間TOP10アルバムのうち8作品を占めた。
年間TOP10ランキングは以下の通り。
1位 アデル『30』
2位 エド・シーラン『=』
3位 ABBA『VOYAGE』
4位 オリヴィア・ロドリゴ『SOUR』
5位 クイーン『GREATEST HITS』
6位 デュア・リパ『FUTURE NOSTALGIA』
7位 エド・シーラン『÷』
8位 エルトン・ジョン『DIAMONDS』
9位 フリートウッド・マック『50 YEARS – DON’T STOP』
10位 デイヴ『WE’RE ALL ALONE IN THIS TOGETHER』
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OCCのレポートによると、2021年度のイギリスにおけるレコード音楽の消費量は前年比2.5%増で、全形態をあわせて1億5,930万枚のアルバムまたはアルバム相当数が、ストリーミングまたは購入されたことが明らかになった。
OCCのデータを基に、英国レコード産業協会(以下BPI)が発表したUK国内におけるストリーミング再生のアルバム換算は、2020年の1億5,540万枚相当(2020年は53週だったのに対し、2021年は52週だったことから通年の結果にも多少影響はありながらも)を上回り、7年連続の増加となった。
2021年度のレコード音楽の消費量はストリーミング再生によって促進され、年間延べ1,470億回以上のオーディオ・ストリーミング再生は、アルバム換算で1億3,240万枚(前年比5.7%増)となる。また、2021年6月には、週刊オーディオ・ストリーミングがOCC史上初の30億の大台を突破し、その後12月にも3週にわたってこの大台を記録。ストリーミングは、現在のレコード音楽市場の83.1%(売上枚数ベース)を占めている。
尚、年間TOP3アーティストである、アデル、エド・シーラン、ABBA(再結成アルバム『Voyage』が2021年最も売れたアナログ盤)は、フィジカル・セールスが圧倒的な割合を占めている一方で、4位のオリヴィア・ロドリゴ『Sour』(年間トータル・セールス39万5,323枚、うち82.9%がストリーミングの売上)を含む年間TOP20アーティストの大半は、ストリーミング再生が年間トータル・セールスの中で大きな割合を占めている。しかしながら、2021年度の40週のNo.1アルバムのうち、チャート計上対象となる売上の半分以上がフィジカル・セールスであることも事実だ。
2021年、英国内のみで1000万回以上ストリーミングされたアーティストは1,918人で、これは、2020年の1,798人、2019年の1,537人と比較すると、2年間で約20%増加したことになる。
また、2021年度の年間ストリーミング上位10組のアーティストは、イギリス国内のみで5億回以上のストリーミング再生を、上位100組のアーティストの半数以上が2億回以上のストリーミング再生を達成しており、BPIによると、TOP40入りするためには、1曲の週間オーディオ・ストリーミング再生が140万回以上を記録する必要があるという。
BPI、ブリット・アワード、マーキュリー賞の最高責任者であるジェフ・テイラーは、次のように述べている。
「(パンデミックにより)私たちの生活が引き裂かれる中、この12ヶ月は、レコード音楽が私たちの生活において重要な役割を担っていることにあらためて気づかされる期間でした。同時に、ストリーミングの台頭により、バックグラウンドや時代を問わず、これまで以上に多くのアーティストが世界中に新たなファンベースを築き、音楽で成功するための力を得ました。一方、レコード会社は、イギリスから生まれた才能が成長し、真の意味で世界中のオーディエンスに届けられるように必要な投資と支援を提供し続けてきました。
ストリーミング市場以外にも、2021年には、CDが1,400万枚以上、アナログ盤が500万枚以上の売上を記録。
先月BPIは、第4四半期にリリースされたアデル、エド・シーラン、ABBAらの大型タイトルや、デイヴ、コールドプレイ、KSIらによるフィジカル・キャンペーンの成功もあり、昨年は、前年比のわずか10.5%減となる1,440万枚で、CDの売上減少に歯止めがかかっていることを発表していた。
さらに、アナログ盤の売上は、供給と生産に課題があるものの、前年比10.6%増の530万枚となり、14年連続の増加となった他、オーディオ・カセットも引き続き好調で、前年比19%増となる18万5千本の売上を記録し、今後もフィジカル形態のコレクションとしての魅力が、ストリーミングの補完となり得る兆候がみられる。
プロパー・ミュージック・ディストリビューションのマーチャンダイザー(MD)であるドリュー・ヒルは、次のように述べている。
「CD、レコード、カセット・テープがアルバムをチャートの上位に押し上げるという、驚くべき一年でした。昨年のNo.1アルバムの90%近くが、大きな割合を占めるフィジカルの売上によって首位獲得に繋がっており、ニュー・アルバムがフィジカル・セールスのシェアを伸ばしながらチャート首位を維持したアデルや、今世紀最速で売れたアナログ盤のタイトルを獲得したABBAなど、軒並み素晴らしい記録が生まれました。この選択の黄金時代において、音楽ファンが手に取れるアルバムを本当に大切にしていることのさらなる証明です」
Written By Tim Peacock
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エルトン・ジョン『The Lockdown Sessions』
2021年10月22日発売
CD / LP / カセット / iTunes Store / Apple Music / Spotify