エラ・フィッツジェラルド、1956年のアルバム『Ella At Zardi’s』解説
スウィングのファースト・レディがチャートに戻ってきた。ロサンゼルスのザルディーズ・アット・ジャズランドでのライヴ・レコーディングをリリースしてから62年の時を経て、新しくリリースされたエラ・フィッツジェラルドの『Ella at Zardi’s』が全米ジャズ・アルバム&トラディショナル・ジャズ・アルバム・チャートで1位に輝いた。
12月1日にヴァーヴ・レコードよりCDとデジタル・リリースされたライヴ・アルバムは、レコード・ストア・デイ限定で4月21日に発売されたレコード盤2枚組のリリースによりチャートで急上昇した。1,500枚限定のリリースは、ピンクと青のレコードにプレスされ、発売日に完売した。
エラ・フィッツジェラルド生誕100周年記念の一環における再発が発表されるが、その中でも、『Ella At Zardi’s』はジャズ・ファンにとって貴重な作品であり、お茶の間に知られるようになる以前の彼女の類を見ない巧妙なヴォーカルが収録されている。このライヴ・アルバムには21曲収録されており、1956年2月2日の2回のセットからの音源を収録している。ライヴではピアニストのドン・アブニー、ベーシストのヴァーノン・アレイ、ドラマーのフランク・キャップのトリオと共演している。
エラ・フィッツジェラルドのザルディーズでのパフォーマンスがチャート入りをしたのは、今回が初めてではない。「How High the Moon」のライヴ・ヴァージョンは、1960年9月に全米シングル・チャートで76位を記録した。ザルディーズでのライヴのわずか5日後にエラ・フィッツジェラルドは象徴的なデビュー・アルバム『Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book』をレコーディングした。同作は、アメリカ合衆国国会図書館・国家保存重要録音登録制度に選ばれている。
発足してからまだ24年しか経っていない全米ジャズ・アルバム・チャートにおいて、『Ella At Zardi’s』は、エラ・フィッツジェラルドにとって初めて1位を獲得した作品である。また、エラ・フィッツジェラルドは女性で最もジャズ・アルバム・チャートのエントリー数が多いアーティストであり、64曲でトップの記録を持つマイルス・デイヴィスに次いで2位を誇る。また、『Ella At Zardi’s』はアメリカのラジオ局NPRの2017年ベスト・リイシューに輝いた。
Written by uDiscover Team