ドラマ『テッド・ラッソ』シーズン3でキャット・スティーヴンス「父と子」が起用。名曲の背景を解説

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Cat Stevens - Photo: David Warner Ellis/Redferns

Apple TV+で配信されている人気ドラマ・シリーズ『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』シーズン3。このシーズンの最終話「So Long, Farewell」で、ユスフ(キャット・スティーヴンス)の1970年の名曲「Father and Son(父と子)」がフィーチャーされている。

ユスフのソングブックには、世代を超えた世界中のファンを魅了する曲が多くあるが、「Father and Son」ほど、人々の心を揺さぶり続けてきた曲はないだろう。それではこの楽曲の誕生の背景をお届けしよう。

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名曲誕生の背景

この曲は、ロンドン生まれのユスフが、新しいシンガーソングライター仲間たちの中で、まさに自分の声を見つけようとしているときに生まれた。

彼の4作目のアルバム『Tea For The Tillerman』は、前作『Mona Bone Jakon』からわずか7ヶ月後となる1970年11月にリリースされた。『Tea For The Tillerman』は「Wild World」や「Where Do The Children Play」、そして成長の過程で家を出たいと思うようになる息子と対峙し、2人の関係の感情的な束縛から逃れようとする父親の心情と葛藤を描いた「Father and Son」などを収録。後世に語り継がれる名曲の数々を収録したこのアルバムは、彼のアーティストとしての創造力が頂点に達したことを示した作品でもある。

アイランド・レコードの創業者、クリス・ブラックウェルがユスフとの契約を決意したのは、この「Father and Son」を聴いた時だった。オーストラリアなどの主要マーケットでTOP20入りしたこの曲は、彼の全米でのブレイクのきっかけを作り、この曲が収録されたアルバム『Tea For The Tillerman』は、全米アルバム・チャートで最高8位、そして79週にわたりチャートインし、1971年5月にはゴールド、2001年1月にはトリプル・プラチナに認定されている。

一方で、全英アルバム・チャートでは、1972年初頭に記録した20位をピークに、その年はずっとチャートから浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返していた。

この曲は、ユスフの母国UKではヒットにはならなかったものの、その数年前に、彼がUKで初めてヒットを放った当時とはおそらく違い、新たな聴衆を獲得しつつあることは明らかだった。あるファンは、Record Mirror紙の取材に、「Father and Son」をラヴィン・スプーンフル以来、彼女が個人的に聴いた曲の中で最も素晴らしい作品として挙げていた。

 

本人によるコメント

2020年、この名曲とアルバムの発売50周年を記念して、再構築盤『Tea for the Tillerman²(父と子2)』をリリースしたユセフは、GQ誌にこう語っていた。

「“Father And Son”は、おそらくこのアルバムの中で最も傑出した、深みのある曲でしょう。必ずしも私の父のことを書いているわけではありません。もともとはミュージカルのために書かれた曲なんです。1967年、68年にポップス界に初めて進出した後、私は結核にかかり、突如としてシーンから姿を消さなければなりませんでした。闘病中、私は自分の内面を見つめ、自分の本質がどこにあるのか、どこへ向かっているのか…死に際に自問するような、重要な問いの答え見つけようとしていました。そして、ミュージカルの作曲家になりたいという当初の野心に立ち返ったのです」

「私はウエストエンドに住んでいて、ミュージカルは私の人生にとって大きな意味を持つものでした。そこで私は、ナイジェル・ホーソーンと共に、“Revolussia”というミュージカル作品を書き始めました。ロシアの最後の皇帝であるニコライ二世とアレクサンドラ皇后の物語から着想を得た、農村に暮らす親子の物語です。父親は今ある生活を守りたいと思う一方で、息子は革命に感化され、家を出て参加したいと願うようになります。それが、この曲のインスピレーションです」

「私は両者の立場を代弁することができるんですが、どちらかというと息子寄りの考え方を持っていて、父親の主張は息子ほど強くはなかったように感じていますし、それが興味深くもあります。“変化”こそがこの曲の根本的なテーマですね」

「Father and Son」がUKで広く知られるきっかけとなったのは、1995年にアイルランド出身のボーイズバンド、ボーイゾーンによるカヴァーが全英2位のヒットを記録した時だった。この当時、ユセフは彼らのヴァージョンに敬意を表し、Entertainment Weekly誌にこう語っていた。

「この曲は、特に時代の経過や伝統の中で、私たちが互いに示す違いを証明するものです。伝統は私たちの人生に大きな影響を与えるものであり、時には距離を置くことも必要なのです」

Written By Paul Sexton



キャット・スティーヴンス『Tea for the Tillerman』

1970年11月23日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music



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