カンのオリジナル・メンバーでサンプリングの先駆者、ホルガー・シューカイが79歳で死去
カンのオリジナル・メンバーでベーシストのホルガー・シューカイが2017年9月5日に79歳で亡くなった。ドイツ出身のホルガーは、影響力の強かったクラウトロックのバンドの主要メンバーで、サンプリングの先駆者としても広く知られている。
ホルガー・シューカイは1968年に独創性に富んだクラウトロックのバンドであったカンを、キーボードのイルミン・シュミット、ギタリストのミヒャエル・カローリとドラマーのヤキ・リーベツァイトと共に結成。カンは多くの作品をインプロヴィゼーションの作曲のテクニックを通してレコーディングし、ジャズ、プログレッシヴ・ロック、ロックとサイケデリアをミックスした独自の音と、非常に影響力のある音を混同したサウンドを作り上げた。オリジナルのヴォーカリストだったマルコム・ムーニーとレコーディングした最初のアルバム『Monster Movie』は1969年にリリースされた。
カンは12枚のスタジオ・アルバムをレコーディング。1970年代初期の『Tago Mago』、『Ege Bamyasi』や『Future Days』のヴォーカルには日本人のダモ鈴木が参加している。その後、ヴァージン・レコードとの実り多い関係を築き、1975年の『Landed』や1976年の『Flow Motion』を発表。後者はカンの唯一のイギリスでのヒット・シングルで、ライヴ・サウンド・エンジニアのピーター・ギルモアと共作したディスコ調の「I Want More」を収録。同曲は1976年10月にUKトップ40で26位を記録している。
メンバーの変遷を繰り返したカンは、1989年にマルコム・ムーニーとのリユニオンで『Rite Time』をリリースしてから解散した。ホルガー・シューカイは1977年にワールド・ミュージックが色濃く表現された作品『Saw Delight』をリリースした後にカンを脱退し、ソロ活動を始めた。そしてソロとして1979年にアルバム『Movies』、そして1981年に『On The Way To The Peak Of Normal』をリリースしている。
ソロ活動の中でホルガー・シューカイはサンプリングの実験を始め、テープをカットするという骨が折れる作業の末、その先駆者となった。ホルガー・シューカイは、ソロの作品の他にもジャー・ウォブル、ブライアン・イーノ、U.N.K.L.E.やユーリズミックスとのコラボレーションも行い、2015年には最後のソロ・アルバム『11 Years Innerspace』をリリースしている。
ホルガー・シューガイは、彼の生活の場でもあったドイツのヴァイラースヴィストにあるカンのインナー・スペース・スタジオで亡くなっているところを発見された。現時点で死因は発表されていない。
すでに音楽界では追悼の意が続々表明されている。モグワイのスチュアート・ブレイスウェイトは真っ先に「ホルガー・シューカイがこの世を去ったなんて悲しいニュースだ。偉大な人だった」と述べた。ポーティスヘッドのジェフ・バーロウは「安らかに。ホルガー・シューカイ、天国での壮大なジャムに向かっていったね」と、スペースメン3のリチャード・フォームビーは「なんと言えばいいかわからない、彼みたいな人は他にいないよ」とツイートしている。
Written by Tim Peacock