ブライアン・メイが語る『無敵艦隊スター・フリート』のレコーディングと圧倒されたエディの演奏

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7月 7, 2023

管理人

Brian May - Photo courtesy of Queen Productions Ltd

2023年7月14日に発売されるブライアン・メイ + フレンズ（Brian May + Friends）による『Star Fleet Project（無敵艦隊スター・フリート）』の40周年記念リマスター・エディション。

本作は、1983年4月21日と22日、エドワード・ヴァン・ヘイレン(ギター)、アラン・グラッツァー(ドラムス)、フィル・チェン(ベース)、フレッド・マンデル(キーボード）といった、ロック・ミュージック界に燦然と輝くトップ・アーティスト達と共に、ブライアンがロサンゼルスのレコード・プラントで過ごした2日間の記録が完全収録されたもの。

この新発売に際してブライアンがYouTubeで語った第3回目のミニドキュメンタリーの翻訳を掲載。（第1回はこちら、第2回はこちら）

手探りで模索していたレコーディング

うまくいくかどうかなんて、まったく予想がつかなかった。

はじめは試行錯誤したと思うよ。すぐにアイデアが固まったわけではなかったんだ。でも、方向性が決まるまでに長くはかからなかった。この作品を聴けばその様子が伝わると思う。『Star Fleet Sessions』の大きな魅力はそこにあるんだ。つまり、私たちが少しずつ進歩していく様子が分かるのさ。

当初は構成が頭に入っていないし、お互いのこともよく知らなかった。だからぎこちなくて、空回りしているような感じだった。だけどこのレコーディングは、作品を作ることが目的ではなかったから気楽だった。「さあ、レコードを作るぞ」と言って集まったわけではないんだ。むしろ、「みんなで楽しみながら、何ができるか模索していこう」という感じだった。

だから、このボックス・セットに収録されているセッションの様子を聴いてもらえれば、私たちが手探りで進みながら少しずつ自信をつけ、方向性を定め、一枚岩になっていくのを感じ取れるはずだよ。あれは最高の気分だった。

例えば、私たちと同じようにほとんど常にツアー生活を送っている友人がいて、なかなか会う機会がなかったとしよう。そんな友人と親密な時間を過ごすには、少々工夫が必要になってくる。私がみんなを集めたのは、そういう意図でもあったんだ。特に、エド（・ヴァン・ヘイレン）とは滅多に会う機会がなかった。だから、ただ彼と過ごすだけじゃなく、お互いに目を合わせながら一緒に演奏ができたら最高だと思ったんだ。そうしてお互いを高め合うことができたとき、何が起こるか確かめてみたかったのさ。私にとっては大きな挑戦だった。

正直に言って、私は少々シャイな性格なんだ。だから、あのときロサンゼルスで“自由に何かをしてみたい”という気持ちが湧き上がっていなければ、このセッションは実現しなかっただろう。あのときの私は勇気を振り絞ってみんなに電話をかけ、「一緒に演奏しに来てほしい」と伝えた。あまりそういうことをするタイプの人間ではないのさ。

圧倒されたエディの演奏

エドと一緒にスタジオに入ってみると、私は畏敬の念に包まれた。正直なところ、私はただ圧倒されていたんだ。「なんて素晴らしいことが起きているんだろう」と思った。自分にないものを持っている彼のような人を妬んだり、嫌ったりするのは簡単だ。

だけどどういうわけか、ギタリスト仲間のあいだではそういうことが起きない。みんなそれぞれに個性があるし、お互いの演奏を楽しんでいるからだろう。だから私も「神様が目の前にいる」と感じつつ、その状況を心から楽しんでいた。彼と同じ部屋で、演奏を代わる代わる聴かせ合うのは本当に楽しかった。その様子もこの作品に収められているよ。すごく贅沢な時間だったし、まさに唯一無二の経験だった。なんて素晴らしい時間だったんだろう。

このパッケージを手にした人が、私たちのいるスタジオへの扉を開けているような気分になってくれれば嬉しく思う。レコーディングに立ち会ったつもりで ―― 私に限らず、すべての人にとって ―― 人生で一度きりの特別な時間を一緒に追体験してもらいたいんだ。そして、ミスが許される空間の居心地の良さを楽しんでもらえたらと思う。その場所ではぎこちなくたっていい、挑戦したっていい、寛大な心を持ってもいい。とにかくあらゆる可能性を探求できるんだ。だから、是非このパッケージを開封して、1983年の2日間という短い時間がどんなものだったかを垣間見てもらいたい。