ブライアン・メイが語る『無敵艦隊スター・フリート』の始まり
2023年7月14日に発売されるブライアン・メイ + フレンズ(Brian May + Friends)による 『Star Fleet Project(無敵艦隊スター・フリート)』の40周年記念リマスター・エディション。
本作は、1983年4月21日と22日、エドワード・ヴァン・ヘイレン(ギター)、アラン・グラッツァー(ドラムス)、フィル・チェン(ベース)、フレッド・マンデル(キーボード)といった、ロック・ミュージック界に燦然と輝くトップ・アーティスト達と共に、ブライアンがロサンゼルスのレコード・プラントで過ごした2日間の記録が完全収録されたもの。
この新発売に際してブライアンがYouTubeで語ったミニドキュメンタリーの翻訳を掲載(第2回はこちら、第3回はこちら)。
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1983年といえば、私たちが少年時代に結成したクイーンというバンドが成熟し、信じられないことに世界中でヒットシングルを連発するビッグバンドになっていた頃だ。クイーンのメンバーは少し、お互いにイライラしていたというか、色々とやり過ぎていたんだと思う。私たちはツアーして、レコーディングして、ツアーして、レコーディングして、ツアーして、全く休息がなかった。だから1983年、私たちは休憩をとることに決めたんだ。
一番鮮明に覚えているのは、お気に入りの場所のひとつであるロサンゼルスで目覚めたとき、「今日は何でもできる、太陽は輝いている、友達もいる、電話をかけてみよう」と思ったことだね。そうしてエド・ヴァン・ヘイレンに電話したんだ、「スタジオに来るかい?」って。非凡なベース・プレイヤー、フィル・チェン。フレッド・マンデルは素晴らしいキーボード奏者で、すでにクイーンに関わってくれてて。彼は「Radio Ga Ga」でいろいろやってくれて、最高なキーボードプレイヤーだった。そしてREOスピードワゴンのドラマー、アラン・グラッツァーは、私の家から30メートルほど、いや100メートルほどの通りに住んでいたんだ。
「みんなで一緒に何かできたらいいね」って、前に話したことがあったんだけど、わからないもんだよね。まあ、あの時がその瞬間だったんだ。それで、いくつかアイデアを思いついた。一番大きなアイデアは、このテレビシリーズ(*編註:日本のアニメ『Xボンバー』)の曲をロックの領域に持ち込みたいということだった。あの曲を使って実験してみたかったし、やりたいことがいろいろと浮かんできた。頭の中には既にアレンジがあったし、エドワードに演奏の場を与えたかった。彼がこんな機会を与えられたらどんな演奏をするか聞きたかったんだ。そして、この曲を日本の最高のSFアニメ『Xボンバー』のテーマ曲のような感じではなく、ロック・アンセムのようなポジションにすることを模索したかったんだ。
「Let Me Out」という曲もあった。それで、私が考えていることを大まかに知ってもらうために、デモを2つか3つメンバーに回したんだ。でも、私はこう言った「少し緩い感じでいきたいんだ。準備しては行きたいけど、アイデアが浮かんだら、脱線したりしてもいいから」ってね。
彼らとスタジオに入り、彼らの目を見て、何でもできる、何をしようかと考えて演奏を始めるなんて信じられないことだった。そして、興奮と期待で電気が走った。もちろん、これまで一緒に演奏したことのない5人だ。クイーンのように、お互いを知り尽くしているわけではない。いつものように、いろいろなものを投げ合うようなものではない。これはまったく違う、新しいものだった。アラン・グラッツァーが「妻を裏切っているような気分だ」と言っていたのを覚えているよ。
でも、そこに行って、本当に尊敬している人たちとまったく新しい交流が持てただけでも最高の気分だった、彼らは皆、それぞれに素晴らしいミュージシャンなんだ。リハーサルというほどでもないけど、私の家で何度か小さなリハーサルをしたんだ、ただ、お互いがロックな感じになって遊んだだけなんだけど、イメージはつかめたよ。そして別の日に、プラグを入れて、私たちは出発したんだ。
(第2回はこちら)
Written By uDiscover Team
2023年7月14日発売
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