アージ・オーバーキルの元ドラマー、ブラッキー・オナシスことジョニー・ローワンが逝去
90年代に活躍したオルタナティブロック バンド、アージ・オーバーキル(Urge Overkill)の元ドラマーで、ブラッキー・オナシス(Blackie Onassis)として知られるジョニー・ローワン(Johnny Rowan)が57歳で逝去したことが、バンドのソーシャルメディア上で次のような声明と共に伝えられた。現時点で死因は明らかにされていない。
「悲しいお知らせですが、アージ・オーバーキルは、ブラッキーが亡くなったことをご報告します。今は私たちのプライバシーにご配慮いただきますようお願い致します。彼のご家族とファンの皆さまに心からの愛を送ります。彼の死は大変惜しまれることでしょう」
また、バンドは2つ目の投稿で、“ファンの愛とサポートに感謝している”ことを述べ、俳優でミュージシャンでもあるジャック・ブラックと一緒に写っている彼の最近の写真を共有している。
<関連記事>
・ニール・ダイアモンドの「Cherry Cherry」と「I’m A Believer」の不思議な関係
・2023年に亡くなったミュージシャン、音楽業界の関係者たち
バンドでの活躍
シカゴのサウス・サイド出身のジョニー・ローワンは、1991年、後にゲフィン・レコードとメジャー契約を結ぶことになるアージ・オーバーキルに加入し、ブラッキー・オナシス名義で、1991年のアルバム『The Supersonic Storybook』に初めてドラマーとして参加を果たした。彼は後にこの名前についてこう語っている。
「僕は私生活からブラッキー・オナシスになったのではなく、アージでドラムを叩いているからブラッキー・オナシスなんだ。ブラッキー・オナシスであることが好きだよ。音楽のワンダーランドに住んでいるようなものだ」
ジョニー・ローワンは、バンド最大のヒット曲として知られている1994年の映画『パルプ・フィクション』のサウンドトラックに収録されたニール・ダイアモンド「Girl, You’ll Be a Woman Soon」のカヴァーにも参加しており、アージ・オーバーキルは、この曲でバンド唯一の全米シングル・チャート入りとなる59位を記録。
また「Girl, You’ll Be a Woman Soon」は、オルタナティヴ・エアプレイ・チャートでは11位を記録し、ミュージック・ビデオは1995年のMTVビデオ・ミュージック・アワードで映画部門の最優秀ビデオ賞にノミネートされた。映画『パルプ・フィクション』のサウンドトラックは、全米アルバム・チャートで21位を記録し、107週にわたってチャート入りしている。
バンドは、1993年にゲフィンからリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『Saturation』からのシングル「Sister Havana」でもオルタナティブ・エアプレイで6位、モダン・ロック・エアプレイで10位のヒットを記録しており、大ヒット・アルバム『Nevermind』を引っ提げたニルヴァーナのツアーでオープニングアクトを務めたことも大きな話題となった。
1992年に行われたSpin誌のインタビューの中で、ジョニー・ローワンはバンドについてこう語っていた。
「俺たちはスインガーの時代、つまり60年代後半、アメリカが楽しい場所だった頃のプレイボーイたちの生活を復活させるためにここにいるんだ。ベガス、ニール・ダイアモンド、ムーンライト・ダンス、そしてアントン・サンダー・ラヴェイの黄金時代をね」
私生活でドラッグなどの問題を抱えていたジョニー・ローワンにとって、1995年にリリースされたバンドのメジャー2作目のアルバム『Exit the Dragon』が最後の参加作品となった。彼は1997年にバンドを脱退して以降、2004年の再結成時も、再加入することはなかった。一方で、2000年発表のソロ・デビュー作『Debutante』では、アージ・オーバーキルのフロントマン、ナッシュ・ケイトーと6曲を共作している。
Written By Tim Peacock
- ニール・ダイアモンドの「Cherry Cherry」と「I’m A Believer」の不思議な関係
- プレスリーやニール・ダイアモンドらのドラムを務めたロン・タットが逝去
- アンダーグラウンドから誕生:ニューヨークのサマー・オブ・ラヴ
- オールマン・ブラザーズに5週連続1位をもたらしたシングル「Ramblin’ Man」
- グラム・パーソンズの最後:棺を盗み出され、砂漠で火葬された遺体
- クラシック・ロックの隆盛―アシュベリーからサンセット・ストリップまで