イエスのドラマー、アラン・ホワイトが72歳で逝去
伝説的プログレッシブ・ロック・バンド、イエス(Yes)のドラマーとして活躍したアラン・ホワイト(Alan White)が2022年5月26日に72歳で逝去した。
この訃報は、1972年9月に発売されたバンドの代表作『Close To The Edge(危機)』の50周年記念ツアー(日本にも9月に来日予定だった)を前にしてのことだった。アラン・ホワイトの家族は、この訃報について次のように伝えた。
「私たちの最愛の夫、父、そして祖父であるアラン・ホワイトは、2022年5月26日にシアトルの自宅で72歳で亡くなりました。その人生と60年にわたるキャリアを通して、アランは多くの人にとって多くの顔がありました。世界中のファンにとってはロックスター、ある人たちにとってはバンドメイト、そして出会った人すべてにとって紳士であり友人でした」
アラン・ホワイトは2016年以降、数々の健康上の問題からイエスのツアーで彼がステージに立つ時間は限られていたが、ジェイ・シェレンがサポートしながら、アランはセットの終盤で大きな拍手を受けながらライヴに参加していた。イエスは、今年6月に行われる50周年記念の『Close To The Edge』の50周年記念の英国ツアーをアランに捧げる予定だ。
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史上最高のロック・ドラマーの一人とされアラン・ホワイトは1949年にイングランド北東部のダラムで生まれた。1972年には、『Close To The Edge』ツアーからイエスに加入した。
1969年にはトロント・ロック・フェスティバル出演前日のジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドから電話で出演依頼を受け、翌日、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、エリック・クラプトン、クラウス・フォアマンとともにトロントへ向かう旅客機の座席で、バンドの曲を覚えようとしていた逸話もある。その後発売されたアルバム『Live Peace in Toronto』は数百万枚を売り上げ、チャートで10位を記録した。
また、アラン・ホワイトはジョン・レノンのアルバム『Imagine』やジョージ・ハリスンの『All Things Must Pass』でもドラムを担当。他にもジンジャー・ベイカーズ・エア・フォース、ジョー・コッカー、ゲイリー・ライト、ドリス・トロイ、ビリー・プレストンなど、他のミュージシャンとも長年にわたって仕事を共にしている。2017年にはイエスのメンバーとしてロックの殿堂入りを果たした。
1968年にジョン・アンダーソンと故クリス・スクワイアによって結成されたイエスは、ロック音楽の歴史において最も革新的で影響力があり、最も愛されているバンドのひとつだ。1970年代に発表されたアルバム『The Yes Album』『Fragile』『Close To The Edge』『Yessongs』『Tales From Topographic Oceans』『Relayer』『Going For The One』は音楽のスタイルと内容において唯一無二の存在だった。彼らの音楽は、画家ロジャー・ディーンによるアートワークとともに歴史とリスナーの記憶に残っている。
Written By Tim Peacock