映画『パルプ・フィクション』30周年記念して、サントラが2形態で再発
今年公開30周年を迎えた映画『パルプ・フィクション』のサウンドトラックが、オレンジのカセットテープと暗闇で光るアナログ盤という2形態のコレクターズ・エディションで再発された。
ジョン・トラボルタ、ユマ・サーマン、サミュエル・L・ジャクソンが出演した1994年のクエンティン・タランティーノ作品は、アカデミー賞で脚本賞を受賞し、以来、タランティーノのスタイルと現代アメリカ映画の両方の文化的試金石となっている。また、ディック・デイル、クール&ザ・ギャング、ダスティ・スプリングフィールド、アル・グリーン、チャック・ベリー、トルネイドースらの音楽をフィーチャーしたサウンドトラックも広く絶賛され続けている。
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ロックンロール版エニオ・モリコーネ
ローリング・ストーン誌の「史上最高のサウンドトラック」において第7位に選出された映画『パルプ・フィクション』のサウンドトラックは、アメリカ国内だけで630万枚のセールスを記録。この作品は、サーフ・ロックのリバイバルに火をつけただけでなく、ディック・デイルやダスティ・スプリングフィールドといったアーティストをフレッシュな世代のリスナーに紹介したことでも広く知られている。
1994年のインタビューで、監督のクエンティン・タランティーノは『パルプ・フィクション』のサウンドトラックにサーフ・ロックを選んだ理由について、「ロックンロール版エニオ・モリコーネの音楽、ロックンロール版マカロニ・ウェスタンの音楽のように思えたんだ」と語っている。
オープニング・クレジットで流れるディック・デイルのサーフ・ロック調の「Misirlou」は、ミュージシャンのボイド・ライスが共通の友人であるインディペンデント映画監督のアリソン・アンダースを介してタランティーノ監督に映画での起用を提案したのが最初だと言われている。
ボイド・ライスは、実際に同サウンドトラックのその他の選曲においてもタランティーノの手助けをした。チャック・ケリーと、劇中でウェイトレス役を演じたローラ・ラブレスも、共に音楽コンサルタントとしてクレジットされている。
『パルプ・フィクション』のサウンドトラックは、2002年にも2枚組で再発されたことがある。1枚目に全曲がコンパイルされ、2枚目にはタランティーノ監督による解説が収録された。
タランティーノ監督は2002年の再発盤に収められた1994年のインタビューでこう語っている。
「私がやりたくないのは、多くの映画で見られることだが、偽のエネルギーを創り出すためにサウンドトラックの音を大きくすることだ。とりわけ、特定の時代感を作り出すためにね。さあ、60年代の作品だから、60年代の曲をたくさん流して、その時代を演出しよう、なんて考え方は、私にとっては陳腐だし、不快だ。ラジオを聴きながら同時に映画を見ているようなもので、うまくかみ合わないんだ。だからそれは避けたいと思っている」
Written By Sam Armstrong
「パルプ フィクション」オリジナル サウンドトラック
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