ブライアン・メイが「Headlong」をスイスのスタジオに持ち込んだ時は、元々自分のソロ・アルバムに収録するつもりでいた。だがフレディ・マーキュリーのヴォーカルを入れた途端、それは即座にクイーンの曲となり、1991年1月にアルバムのリード・シングルとしてリリースされると、米国ではメインストリーム・ロック・チャートのトップ3にランクイン。また「I Can’t Live With You」も、元はブライアン・メイのソロ・アルバム向けに書かれた曲だった。
「Don’t Try Hard」は、フレディ・マーキュリーらしい美しいナンバーで、アルバムを繰り返し聴いた後、聴き手の心に深く刻み込まれ、根強い人気曲となるようなもののひとつだ。本作でロジャー・テイラーが手掛けた最初の曲が「Ride The Wild Wind」で、当初デモとして録音した際には彼自身がヴォーカルを取っていた。だがその後、リード・ヴォーカルがフレディ・マーキュリーに代わり、ロジャー・テイラーはバッキング・ヴォーカルに回っている。ブライアン・メイのトレードマークであるソロは実に華麗だ。
本作で唯一、作詞・作曲のクレジットがクイーン名義になっていない曲が、「All God’s People(邦題:神々の民)」である。これはフレディ・マーキュリーとマイク・モーランの共作で、元々はフレディ・マーキュリーがプロデューサー兼ソングライターのマイク・モーランと共に、ソロ・アルバム『Barcelona』用に書いたものだった。その次は、ロジャー・テイラーがソングライターとして貢献した2つ目の曲で、ノスタルジックかつ痛烈な「These Are the Days of Our Lives(邦題:輝ける日々)」だ。この曲のミュージック・ビデオがフレディ・マーキュリー最後の出演作となったことを知ると、より一層胸に沁みてならない。このビデオの最後でフレディ・マーキュリーは、カメラを真っ直ぐに見つめながら、「今も愛しているよ」と囁いている。
「These Are the Days of Our Lives」は、1991年9月5日、フレディ・マーキュリーの45歳の誕生日に米国でシングルとしてリリースされた。フレディの死去を受け、英国では約3ヵ月後となる12月9日、両A面シングルとしてリリース。 英国盤シングルのもう片面は「Bo-Rap」で、全英チャート初登場1位を飾った後、5週間にわたり首位に君臨した。
「Bijou」はブライアン・メイとフレディ・マーキュリーが考案した独創的な曲で、ヴァース部分をギターで演奏、コーラス(サビ)部分にヴォーカルが入っている。正にこれぞ美! 後にブライアン・メイが語っていたところによると、ジェフ・ベックの1989年の曲「Where Were You」から、多少のインスピレーションを受けたとのことだ。 2008年、クイーン+ポール・ロジャースが『ロック・ザ・コスモス・ツアー』を行った際には、ヴァース部分をブライアン・メイが演奏、その後1986年のウェンブリー・コンサートでのフレディ・マーキュリーの映像が流された。
クイーンのアルバムの最後を締め括る曲として、「The Show Must Go On」以上に相応しいものがあるだろうか? あらゆる点において完璧なこの曲。これはまた、4人のメンバー全員が作詞・作曲に参加した曲でもある。 終わりが近づいている時でさえも、レコーディングと作品作りを続ける、フレディ・マーキュリーの物語を伝えている曲。 この曲を聴き、圧倒されずにはいられない。 当初はシングル化されなかったものの、1991年10月にアルバム『Greatest Hits II』が発売された際、その先行シングルとしてリリースされた。この曲のプロモ・ビデオには、1982年以降のクイーンの全ビデオ・クリップがフィーチャーされている。