“クイーンの再来”と称されるザ・ストラッツとのインタビュー

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ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第26回は、「クイーンの再来」と評され、2012年に英国ダービーで結成された若きロック・バンド、ザ・ストラッツについて。

先月配信されたNetflix オリジナルアニメシリーズ「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」の主題歌を担当し、Summer Sonic 2019での来日、8月15日にはタワーレコード新宿店にて「スペシャル・アコースティック・ライヴ&サインお渡し会」も決定した彼らの過去インタビューを振り返って執筆いただきました。
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Photo by Anna Lee Media

ザ・ストラッツとは、これまでに3回インタビューしました。その度に、ヴォーカルのルークを目の前にすると、「あ〜、フレディに息子がいたら、こんな感じだったんじゃないかなぁ」なんて、一人妄想に浸るのです。ある時は、「私がフレディにインタビューした時は、すでにヒゲありの、タンクトップのイメージの時だったので、ルークを見ていると、初期の頃のフレディに会っているような感じがする」だなんて、言ってしまったこともあります。そんな私にルークは「ありがとう」って、笑顔で素直に答えていました。「僕にとっても憧れの人だから」と。

さらに私はこんなことまで聞いてしまいました。「もし、ロジャーとブライアンから3曲だけ一緒にステージで歌わないか?って言われたらどうする?」と。これは2017年夏のインタビューでした。ルークは、「いいギャラならね(笑)」とまずは冗談で答え、そのあと「僕のTo Do Listに入っていることだよ。二人が本気で、なおかつ自然発生的に生まれた出来事だったら、断る理由なんてない。僕は本当にクイーンのファンだから。でも中途半端なことはやりたくないな。例えば、トリビュート・コンサートの時のように、ジョージ・マイケルが、アニー・レノックスが、多くのアーティストがスペシャルな形で出演する一晩だけのものだったらいいよね」と真面目に答えてくれました。「3曲は何を歌いたい?」までは、まだ聞けてない私ですが、ちょっと気になります。ザ・ストラッツのファースト・アルバム『Everybody Wants』には、ボーナス・トラックとして「We Will Rock You」のカバーが収録されています。カバーするべき人がカバーしている、そんなテイクになっていて、大満足の私です。

ザ・ストラッツは、2012年にイギリス・ダービーで結成されました。70年代のグラム・ロックに影響され、2015年に活動のベースをアメリカに移してファースト・アルバムを全米リリース。彼らの音楽変遷を1枚のアルバムにまとめ、音楽的ルーツを感じさせてくれるファーストは、コーラスワーク、メロディ・ライン、壮大なアレンジ、どれをとってもUKロックの後継者としての音作りでした。「音楽的に幅が広いことに関して、一貫性がないと思われてしまうかもしれないけれど、僕たちのロックという枠組のなかでの作品といえるんだ」とルーク。アルバム中の私ののお気に入り「Mary Go Round」「Black Swan」という素敵な楽曲は、「埋もれてしまわないように、ぜひライヴでやり続けて欲しい」と伝えると、「今ギターがあったら弾いてあげたのに」とアダムの言葉が優しかったです。

日本ではアルバム・リリース前にサマーソニック2016で来日を果たし、2017年2月には単独公演で再来日。そしてその夏のサマーソニック2017にも連続出演を果たしました。

サマーソニック2017の来日時に、セカンド・アルバムに収録予定の4曲を聴かせてもらいました。シン・リジィのギターリフへの影響を感じる「Fire」や、当時「Drinkin」と付けられていた曲はまるで「Another One Bites The Dust」のストラッツ版のようでした。「“Drinkin”はね、僕たちの間では“Another One Bites The Struts”って呼んでいたんだよ(笑)」と。どうやらアルバム収録からは外れてしまっていますが、彼ららしいロック・スタイルのなかに、影響を受けたバンドへのオマージュが感じられました。

セカンド・アルバム『YOUNG&DANGEROUS』についてルークは、「セカンド・アルバムにコンセプトがあるわけじゃない。ジム・スタインマンのような壮大な曲のアレンジもあれば、ストーンズのようなストレートなロックンロールもある。歌詞はリアルで、ファンタジーで、狂気なものと、いつものように幅広いスタイルだよ」と。サマーソニック2017の直前にリリースされ、セカンド・アルバム日本盤CDにボーナス・トラックとして収録された「One Night Only」は、ザ・ストラッツにとって、初めてファンに捧げた曲とのこと。いつもサポートしてくれるファンへの感謝の気持ちが歌われています。クイーン風のコーラス、そしてギター・ソロに、またニンマリする私です。

 

また、彼らはレコーディングなど活動のベースはアメリカだといいながらも、住んでいるのはやはりイギリスとのこと。「ツアーして回っているから、世界中を旅しているようなものだけど、イギリスをしばらく離れていたことで、僕たちの中で故郷へのノスタルジックなものが生まれたから、ファースト以上に、セカンドはUKロックになっているかもしれない」と。

2019年は、サマーソニックに再々登場するザ・ストラッツ。新曲も発表しました。1964年のマーサ&ザ・ヴァンデラスの「Dancing In The Streets」をカバー。デヴィッド・ボウイとミック・ジャガー・ヴァージョンは有名ですが、その他にもヴァン・ヘイレンもカヴァーしている人気曲。もちろんザ・ストラッツのヴァージョンも勢いを感じます。

 

さらに、Netflix オリジナルアニメシリーズ「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」のオープニング主題歌「Pegasus Seiya」をリリースしました。いつものザ・ストラッツとは一味違う仕上がりに驚かされます。

 

最後に、メンバーひとりひとりの音楽性が垣間見れる、このインタビューをご紹介しましょう!

<最初に買ったレコードについて>
シェド:13歳の時に、キラーズの『Hot Fuss』とレッチリの『By The Way』。その後キラーズとは一緒にツアーを回り、レッチリのチャドとはアダムとルークが一緒に仕事をしているから、人生って面白いものだよね。

ケシン:ザ・ヴュー(The View)。日本で知ってる人いるかな?スコットランドのグループ。影響を受けたのはアークティック・モンキーズだけどね。

アダム:マイケル・ジャクソンの『Bad』。当時はお金がないから、母親に買ってもらったんだけどね、学校のタレントショウでは、みんながマイケルのダンスで出たがっていた。僕もそっと鏡の前で練習していたよ。その練習を兄弟にみられて、映像を撮られた。かなり恥ずかしかった思い出がある。

ルーク:僕もマイケルで『Off The Wall』。 アダムと同じだけどちょっと違う。僕も鏡の前で踊っていたけど、家族が見に来ても、ずっと踊り続けていたよ。今でも大好きなアルバムだ。

アダムとルークは、クイーンじゃなくて、実はマイケルがルーツだったんですね!!

Written By 今泉圭姫子


ザ・ストラッツ『ヤング&デンジャラス [ニュー・エディション]』
2019年8月14日発売
購入はこちら

2019年8月15日
タワーレコード新宿店にて「スペシャル・アコースティック・ライヴ&サインお渡し会」実施


今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー


今泉圭姫子(いまいずみ・けいこ)

ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。

HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」

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