音楽に純粋なトップスター、ショーン・メンデスのこれまでを振り返る
ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第14回。今回は初来日の頃からインタビューをしてきたショーン・メンデス(Shawn Mendes)について、彼の今までの成長や、尊敬するジョン・メイヤーとの話など、過去のインタビューを振り返っていただきました(これまでのコラム一覧はこちらから)。
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Summer Sonic 2018東京公演に出演するために、4度目の来日を果たすショーン・メンデス。今年は夏フェスで20歳になったばかりのショーンの姿を見ることができます(2018年8月8日で20歳)。
ショーン・メンデスがデビューしたのは2014年、彼が15歳の時でした。つまり、すでにキャリアは20歳にして5年。初来日したのは、2017年3月。彼にとってセカンド・アルバムにあたる『Illuminate』の日本リリース時のプロモーション来日でした。
ファースト・アルバム『Handwritten』から「Stitches」が全世界でヒットとなり、アルバムもデビューにして全米ナンバー・ワンという快挙を成し遂げ、いきなりティーンエイジャーのアイドル的存在となったショーン。2017年に発表になったセカンド・アルバム『Illuminate』も2作連続の全米ナンバー・ワンとなり、初来日した時には、すでに彼は若手を代表するトップ・スター。そしてジャスティン・ビーバー以来となる、世界で成功したカナダの10代男性スター誕生と言われていたのです。
最近では、ワイルドだったり、奔放だったり、10代のセレブたちに翻弄されてしまうショウビズですが、ショーンの登場は、そのヴォーカル・スタイルからも、優しい微笑みからも、めずらしく真面目なギターメインのシンガー・ソング・ライターとして気になる存在になっていきました。そしてその印象は期待を裏切らないものでした。
「世界中の女の子に注目されていること? 徐々に理解しているって感じ。もちろん嬉しいけれど、今は1日1日をこなしているので精一杯。誰もがスーパーヒーローじゃないし、神様じゃないから、地に足がついた実直な生き方がしたいんだ」
と。待ってました〜、こんな純粋な男の子〜、と喜ぶ私でした。
13歳でギターを手にしてからは、サッカー選手の夢を捨てて音楽にのめり込み、自然に曲作りを始めていたそうです。それをSNSにアップしたら、いつのまにか多くの人たちが気に入ってくれて、1年後にはデビューというラッキー。
「音楽を始める前は、想像力豊かな子供で、ハリー・ポッターが大好きで、魔法は本当にあると思ってたんだ。友達と賢者ごっこしていたよ。だからモテなかった。ファッションにも興味ないし、誰かに言われなければ、同じTシャツをずっと来ているタイプ。女の子にモテるようになったのだって、音楽を始めてからだよ。学校の音楽の授業でエド・シーランの”A Team”をやって」
ますますいいね〜。純粋で!とさらに喜ぶ私です。
ショーンがジョン・メイヤーのファンであることは有名な話です。ネクスト・ジョン・メイヤーと言われることが何よりも嬉しいとのこと。「ジョンは素晴らしいギタリスト、ソングライターだよね。シンプルだけどとても美しい言葉を綴るんだ」と。以前はメロディー重視だったけれど、ジョンのような歌詞を書くことが今は大切だと思っているそうです。ジョン・メイヤーから彼のモデルのギターをサプライズでプレゼントされたショーン。新作『Shawn Mendes』では、そのギターの音色が入っているようです。
Apple Musicのイベントで共演した時の様子
POPSPRING 2017出演のための2度目の来日インタビューでは、ショーンの音楽を通しての方向性、考え方がわかる柔軟な性格がわかる言葉がありました。
「共演したいのはリアーナかな。コラボレーションってジャンルじゃなくて、人間同士のコミュニケートが大切。それがうまくいけば可能性が出てくるよね。例えばEDMを入れたらって言われたとしても、全然いけると思うんだ。何事も否定から入らないでいくのがいいよね」
とかなり前向きなタイプ。日本では“正面です!”というキャッチフレーズがつけられたけど、まさにまっすぐ前を向いて歩くタイプなんでしょう。
ただ、ショーンは心配性でもあります。「ジョン・メイヤーには音楽のことだけじゃなくて、人生についても相談することがあるんだ」と。18歳で人生相談?と聞くと「たくさんあるよ。問題は…僕は信頼する人に相談して、それを乗り越えるタイプなんだ」と言ってみれば、
「僕のモットーは自分のカンは信じること。自分が正しいと思うことは実行するべきだと思う。他の人と意見が違っても。カーマを信じている。間違ったことをやったらすべて自分に戻ってくるからね。だからナイスな人間になれるように努力したい」
自分で自分に言い聞かせているんだなと感じました。ちょっと悩んでるかな?とも。新作からの「In My Blood」は、そんな彼の不安な思いなど、精神面でのことが歌われています。
3度目のインタビューは、2017年12月の来日公演の時でした。すでに10月から新作のための曲作りを始めていて、25曲が出来上がっていました。
「セカンド・アルバムは難しいってよく言うけれど、僕にとっては『Illuminate』でいろいろな扉が開かれたって思っているから、『Illuminate』はファースト的存在。だから新作はとてもプレッシャーを感じているんだ。10代から20代に入るとても微妙な時期。たぶん僕の性格、感情、スタイルが、この時期だからこそ生まれるものになるはず。とてもスペシャルなアルバムになるはずさ」
そんな3枚目となるアルバム『Shawn Mendes』は、10代最後の心揺れを素直に吐き出し、歌声の成長だけでなく、彼にとってのヒーリングにもなったアルバムなのかなと思っています。
初の単独公演は、デビュー・ショーケースやPOPSPRINGとは全く違う、彼のエネルギーと若さに溢れた素晴らしいショウでした。ショーン・メンデスってこんなに素晴らしいライヴ・パフォーマーだったのね、とあらためて感じた時間でした。普段ショウの後は、楽屋に顔を出すことはないのですが、この日は素晴らしかったよって伝えたくて挨拶に行きました。ステージ直後で顔が紅潮していたショーン自身もライヴは満足だったようで、ニコニコ笑顔でどうだった?と聞いてきました。もちろん、素晴らしいステージだったことを伝えました。
10代のショーンの等身大の姿をステージで見ることができ、そしてこんな素晴らしいシンガーの20代の姿をこれからも楽しめるのかと思うと、とてもワクワクするのです。それなのにこんな質問もしてみました、「30代の僕?う〜ん、奥さんがいたらいいな(笑)」早くない? と言うと「そんなことないよ。10年後でしょ? たぶんスタジアム・ライヴをやって、ビッグなアルバムを出して、今のメンバーと一緒に仕事をしていたいね」と、ナイスな人間まっしぐらなショーンの答えでした。
Written by 今泉圭姫子
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連載『今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー
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ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。
HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」