映画「レディ・プレイヤー1」出演俳優、森崎ウィン インタビュー
ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第11回。今回は4月20日に日本公開となった映画「レディ・プレイヤー1」で使われる音楽について、そして以前から今泉さんとは親交が深い、このハリウッド大作に出演している俳優の森崎ウィンさんとのインタビューをご紹介。今泉さんでしか聞けない森崎ウィンさんのインタビューは必見です。
ついに公開になった映画「レディ・プレイヤー1」。80年代のヒット曲が溢れんばかりに流れるこの映画は、未来を舞台にしたヴァーシャル・リアリティ・ワールド。実際に見るまでは、これほどまでに80年代にこだわった映画だとは正直思いませんでした。現代から27年後の世界に生きる主人公は、80年代に生まれたかったと現実を嘆く青年。悪役オクデンはデュラン・デュラン好き。とにかく80’sサウンドに乗って、時代を象徴するキャラクターがわんさかわんさか登場し、セリフのひとつひとつに80年代を匂わせます。13年振りにプレミアで来日を果たしたスティーヴン・スピルバーグ監督は、過去の監督作品の中で、最も制作が難しかった作品のトップ3に入る、とインタビューに答えていましたが、スクリーンの端から端まで少しも見逃すことができないほど、まるで隠れキャラを探せ!ではないですが、80年代の宝物がスクリーン前面に登場します。
一瞬とも見逃せない映像に乗って流れる音楽は、プリンスの「I Wanna Be Your Lover」、80年代といえば、ティアーズ・フォー・フィアーズ「Everybody Wants To Rule The World」、ニュー・オーダー「Blue Monday」、近年はワン・ダイレクションがカバーして若い人にもお馴染みのブロンディ「One Way Or Another」、映画になぜかフィットするトゥイステッド・シスター「We’re Not Gonna Take It」、70年代後半のヒットですが、80年代初期のディスコ・ブームにつなげたビー・ジーズ「Stayin’ Alive」。この曲は、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の主題歌ですが、流れてくるたけでジョン・トラボルタの映像が浮かび、「レディ・プレイヤー1」のテーマとなる80年代を盛り上げます。そしてエンディングはホール&オーツ「You Make My Dreams」。思わず拍手をしたくなるようなワクワク感で劇場をあとにできます。スピルバーグ自身が選曲にこどわったということでさらに音楽と映像のリンクの素晴らしさを感じます。
全米では初登場ナンバー・ワンとなり、世界中で大ヒットを記録している「レディ・プレイヤー1」の見所は、それだけではありません。なんといっても、日本で活動しているPrizmaXのシンガーであり俳優の森崎ウィンが出演していることです。
Go anywhere. Be anyone. Introducing Win Morisaki as Daito. #ReadyPlayerOne pic.twitter.com/za5vIsDK7i
— ReadyPlayerOne_UK (@ReadyPlayer1UK) 2018年2月14日
ウィン君はもともとドラマと映画の「ごくせん」、尾崎豊追悼映画「シェリー」で主役、NTTドコモのTVCMなど、俳優としてのキャリアは長く、「レディ・プレイヤー1」公開後も「クジラの島の忘れもの」「母さんがどんなに僕が嫌いでも」の映画公開が控えています。私はPrizmaXが活動を始めた頃、六本木Morphなどで何度も彼らのステージを見てきました。洋楽テイストを感じさせるPrizmaXですから、自然とウィン君とも話をするようになり(彼のブルーノ・マーズ好きは有名です。先日の公演で盛り上がり、前日のエド・シーランでも歌いまくっていたウイン君)、その後私の会社が制作しているFm yokohamaのラジオ番組「E★K radio〜MAXで行こう!」を3年前に担当してもらうようになりました。
そして、ちょうど2年前の初夏、オーディション合格のニュースが入り、レギュラーラジオをどうするかという問題にぶつかったのですが、3ヶ月間はメンバーのティム君がピンチヒッターを務めることになり、Fヨコ関係者のみなさん、番組ディレクター今泉幸子、スタッフ全員が気持ち良く彼を撮影地のイギリスへと送り出し、ハリウッド進出を後押ししました。まだ公に言えない時は、こんな嬉しいニュースを早くみんなに知らせたいという思いで、口がむずむずしていたものです。イギリスでは食事が口に合わず、マネージャーさんからカップラーメンを箱ごと送ってもらったようです。カップラーメンで耐え忍んだ3ヶ月間は不憫でしたが、今では良い思い出のようで「次回はスヌーピーさんよろしく!」という言葉が出るぐらいになりました。そのよろしくは、マネージャーさんが送ってくれたカップラーメン1箱の中身がすべてしょうゆ味だったので、塩、みそ、カレー、トムヤムクンなどヴァリエーション溢れるカップラーメンにしてね、ということです(笑)。えっということは次があるの???
ハリウッド映画ですから、さぞかし撮影はピリピリしていたのではないかと思っていましたが、スピルバーグ流では、俳優陣がリラックスできるような雰囲気作りが重要視されていたようです。「撮影は、妙なプレッシャーはなくて、失敗しても、それじゃもう1回やろうよって、そんな空気感をスティーヴンは作ってくれたんです。僕らのせいにすることなく、僕らをどんどん上げていってくれて、気持ちを高めてくれるやり方でした」。さすがスピルバーグ!(みんなスティーヴンと呼んでるんだって、そんなところにドキドキします)。先日、映画公開のプロモーションであらためてハリウッド・デビューしたウィン君と向き合う機会があり、そんな話をしてくれました。
ウィン君が演じているダイトウは、VRの世界の名前。アバターは三船敏郎をイメージしているサムライです。リアルな世界ではトシロウ。そんな彼がラストシーンで、日本の劇場ではきっとみんなが興奮するようなセリフを言い放ちます。それが日本語。「もともと台本には英語で書かれていたんですが“日本語かも”という注釈があって、もしかしたらということで、日本語は用意していったんです。それで本番で日本語を試したら、これでいこうということになったんです」まだ見ていない方のために、ネタバレしないように、肝心のセリフは明記しないことにします。でもかなりインタビューでしゃべっちゃってますね、ウィン君!
音楽については、「完成して僕もやっとわかったんです。80年代の音楽が使われるのは聞いていたんですが。役作りで勉強している時に、80年代の音楽をたくさん聴いていて、お気に入りの1曲がホール&オーツの「You Make My Dreams」だったんです。かっこいい曲だなって。それがまさかのエンドロール!僕も完成試写で見てびっくりでした。そしてこの曲にのって自分の名前のクレジットを見た時の興奮はね〜。初めての試写の時は、映画を見ながら2年前の撮影の風景やスタッフの人たちの顔が浮かんで、あの時の気持ちをリンクさせていて、結構心の中が忙しい状態だったんですね。でもエンドロールを見て、初めて感動したんです。本当に出演したんだなって」。その感動はウィン君だけではありません。私もそうでしたし、これまで応援してきたスタッフやファンのみなさんも同じ気持ちだったはずです。
アメリカ、イギリスでの完成プレミアでのレッド・カーペット(実際にはパーブルのカーペットだったそうですが)を歩いた時も「フカフカでした(笑)。普段はみんなが通行している道路が、カーペットを引いただけで、魔法がかけられたような感覚になるんです。包まれるっていうか…。いろいろなことを経験すればするほど、自分の足りないところがいっぱい見えてくるんですよ。レッドカーペットのインタビューでも。日本語だって言葉を一つ間違えると誤解されたりするのに、それが英語となると余計緊張する。でも俺頑張ったぞと思うと同時に、まだまだだなって。みなさんの応援があって今僕はここに立ててるなって思っていました。でもね、立っているあの瞬間は、まじ俺スーパースターだなって(笑)。それが魔法がかかるっていうことなんです」。
「レディ・プレイヤー1」をきっかけに、これからも世界に向けて歩いていきたいというウィン君。「夢というか目標が改めてできたんです。5年後には次の渡辺謙さんと言われるように、少しでも近づいていたらいいなって。(アメリカの)プレミアがドルビーシアターでの開催だったんだけど、あそこはアカデミー賞の授賞式の会場。その会場にいるとき、自分がタキシードを着てオスカーを手にしている姿が想像できたんです。だから10年後には絶対にやってやります」。若いっていいな〜と思いながらも、彼の性格を考えると、しっかりとその目標に向かって、人一倍努力して行く人だから、口だけじゃなく、ちゃんと考えての言葉だとわかります。「来年でもいいのよ」というと、「いや10年後までに」というウィン君。そんなところも彼らしいのです。そしてきっと実現させてしまうでしょう。
「「レディ・プレイヤー1」は何度も何度も見てください。いろいろな付箋が貼られているような映画で、僕も3回見ているけど、まだ追いきれていないんです。ブルーレイが出たら、一時停止して見るしかないかな(笑)この映画は永遠と続く興味です」ウィン君が言うように、1度ではその魅力のすべてを体感することができない映画。音楽もどこで使われたかを、もう一度知りたくなってしまう。「ところでサントラに入っている曲を僕にカバーしてって依頼来てないですか?(笑)やりたいな〜。言っちゃえば、言霊だから」ウィン君はPrizmaXのメインヴォーカルですから。彼のシンガーとしての目標もいつか叶えられることでしょう。
劇中で流れる80sの洋楽名曲を収録
『レディ・プレイヤー1(ソング・アルバム)』
国内盤CD5月9日発売決定!輸入盤/配信好評発売中
名匠アラン・シルヴェストリによるスコア
『レディ・プレイヤー1(オリジナル・サウンドトラック)』
国内盤CD5月9日発売決定!輸入盤/配信好評発売中
映画『レディ・プレイヤー1』
2018年4月20日(金)全国ロードショー(3D/2D/IMAX3D/4D)
公式サイト:http://readyplayerone.jp
公式Twitter:https://twitter.com/ReadyPlayer1jp
連載『今泉圭姫子のThrow Back to the Future』 バックナンバー
- 第1回 :U2『The Joshua Tree』
- 第2回 :バグルス『ラジオ・スターの悲劇』
- 第3回 :ジャパン『Tin Drum』(邦題:錻力の太鼓)
- 第4回 :クイーンとの出会い…
- 第5回:クイーン『世界に捧ぐ』
- 第6回:フレディ・マーキュリーの命日に…
- 第7回:”18 til I Die” ブライアン・アダムスのと想い出
- 第8回:ロキシー・ミュージックとブライアン・フェリー
- 第9回:ヴァレンシアとマイケル・モンロー
- 第10回:ディスコのミュージシャン達
ラジオDJ、音楽評論家、音楽プロデューサー
1978年4月、湯川れい子氏のラジオ番組「全米Top40」のアシスタントDJのオーディションに合格し、この世界に入る。翌年大貫憲章氏とのコンビでラジオ番組「全英Top20」をスタート。以来現在までにラジオDJ以外他にも、テレビやイベント、ライナー執筆など幅広く活動。また、氷室京介のソロ・デビューに際し、チャーリー・セクストンのコーディネーションを行い、「Angel」のLAレコーディングに参加。1988年7月、ジャーナリスト・ビザを取得し、1年間渡英。BBCのDJマーク・グッドイヤーと組み、ロンドン制作による番組DJを担当。
1997年、ラジオ番組制作、企画プロデュースなど活動の場を広げるため、株式会社リフレックスを設立。デュラン・デュランのジョン・テイラーのソロとしてのアジア地域のマネージメントを担当し2枚のアルバムをリリース。日本、台湾ツアーも行う。
現在は、Fm yokohama「Radio HITS Radio」に出演中。
HP:http://keikoimaizumi.com
Twitter:https://twitter.com/radiodjsnoopy
Radio:Fm yokohama「Radio HITS Radio」