ミイナ・オカベが語る新作『Papaya』や万博でのパフォーマンス、アニメ主題歌やサマソニの出演
デンマーク人の父親と日本人の母親を持ち、コペンハーゲンを拠点に活動するシンガーソングライター、ミイナ・オカべ(Mina Okabe)。
2021年にリリースしたデビュー・アルバム『Better Days』のリード曲「Every Second」を使った動画がInstagram/Facebook上で460万本以上/100億回再生超えを記録し、2023年にはフジテレビ系月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』の主題歌「Flashback」に大抜擢。
2024年には単独公演やSUMMER SONICへの出演、CMソングも担当、そして2025年4月には新作アルバム『Papaya』の発売、そして大阪・関西万博 北欧パビリオンでのパフォーマンスやNHK「Venue101」に出演した彼女のインタビューをご紹介。
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この1年半を振り返る
―― 2年前の2021年12月にミイナが来日した時にインタビューさせていただきました。その際に目標を伺いましたが、自身の単独公演の実施、そして音楽フェスに出演したい、とおっしゃっていましたが両方とも実現しましたね!
はい!すごく嬉しいです。正直、夏にソールドアウトの単独公演を行って、SUMMER SONICにも出て、今も仕事で日本にいるなんて、まだ信じられない感じです。子供の頃、母の故郷である日本に来るたびに、ここでコンサートをしたり、音楽の仕事をしたいなって夢見ていたことを思い出すんです。それがかなって、とても感謝しています。
―― そして、新しいアルバムがリリースされましたね。新しいアルバムの話に入る前に、この1年半の道のりを振り返りたいと思います。まず、「Every Second」の日本語バージョンがアニメ『花野井くんと恋の病』のエンディングテーマに使われました。
アニメで「Every Second」が使われて、曲がアニメの美しい映像やストーリーと合っているのを見るのは、本当にクールでしたし、曲をリリースしたのは、ほぼ4年前なんですが、『花野井くんと恋の病』で新しい形で使われているのを見るのは、本当にエキサイティングでした。
―― アニメは見ましたか?
もちろん、見ました! 私の曲がかかった途端、すごく興奮しましたね。
―― そして日本ゴールドディスク大賞で、ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーとベスト3ニュー・アーティストの2つの賞を受賞されましたね。その時の気持ちはどうでしたか?
私が初めて受賞した賞だったと思います。だから今、自宅のアパートにトロフィーを飾っていますよ。トロフィーは、すごく豪華で重いんです。いただけて本当に嬉しかったです。あのように認められることは、ミュージシャンにとって大きな意味があります。
―― そして、去年の8月には単独公演を行って、SUMMER SONICにも出演されましたね。
SUMMER SONICはすごくクールでした。たくさんのビッグアーティストが出演していて、バックステージを歩いていると、様々な人々の名前が書かれたボードを全て見るのは、本当にクレイジーでした。ワンリパブリック、メジャー・レイザーとかブリーチャーズといったアーティストの名前がずらりと並んでいて、そこに私の名前が出てくるんですよ。こんなクールなアーティストたちの隣に自分の楽屋があるなんて、すごく不思議な感じでした。素敵な体験でした。
―― フェスでのライヴはいかがでしたか?
東京でのステージは、ビーチ・ステージだったんですが最高の場所だったと思います。私の出演時間は、太陽が沈む頃で、気温もちょうど良くて、暖かい夏の日みたいでした。母方の親戚も見に来てくれてたんです。本当に楽しい経験でした。お客さんも一緒に歌って踊ってくれて、本当に嬉しかったです。
大阪は、本当に気温が暑かったです。東京とは全く違いましたね。ベーシストが暑すぎてステージで倒れそうになったくらいでした。ツアーマネージャーがショーの間、みんなのために冷たいタオルを持って行ったり来たりしていました。私は大丈夫でしたが、バンドは本当に暑さに苦労していたので、心配でした。ステージに上がる直前に冗談で「暑すぎて吐きそうだよ」と言っていたぐらいです。でも、お客さんはすごく優しくて、熱心に聴いてくれて、多くの人が集まってくれて嬉しかったです。
―― そのタイミングではご自身のコンサートも行いましたね。
はい、そしてソールドアウトになり嬉しかったです。家族も来てくれて、かなりエモーショナルになりましたね。ずっと夢だったので。またすぐにヘッドラインショーができることを願っています。
―― ライヴではaikoの「カブトムシ」をカバーしましたね? 選曲の理由は?
(日本人の)母が私が子供の頃に日本の様々な曲を聞かせてくれたり、見せてくれたりしたんです。そしてaikoさんの「カブトムシ」を聞かせてくれました。日本のリスナーともっと繋がりたいと思い、日本の曲のカバーを演奏したかったんです。
「カブトムシ」を選んだのは、コードがすごく綺麗でユニークだと思ったからです。私がいつも使っているコードではないので、この曲に自分なりの解釈をするのが楽しいだろうと思ったんです。だから、英語の歌詞は全部、私が共感できるような歌詞になっています。
―― それから、ハーゲンダッツのCMにも楽曲で参加されましたね。YouTubeのコメントで「曲が素晴らしい」「フルバージョンが聞きたい」と多くのコメントが寄せられています。CMの15秒だけでなく、フル尺としてリリースする予定はありますか?
今はまだわかりません。ミュージックビデオでハーゲンダッツとコラボするとか楽しいかもしれませんね。一日中アイスクリームを食べる、みたいな(笑)。でも、今のところ予定はありませんが、将来的にはあるかもしれません。
―― 11月には、Original Loveの「接吻」もカバーも披露されましたね。
(母国語ではない)日本語で歌うのは、少し緊張するので怖かったです。歌詞を覚えるのも大変でしたが、コードも私の曲で使うようなコードとは違うので、弾き方を覚えるのも少し難しかったですね。でも、自分自身に挑戦するのはいつも楽しいと思っています。それにあの曲はとても綺麗なメロディーですし、最初にオリジナルを聞いたときも、「カバーして、自分なりに解釈したい」とすぐに心が惹かれました。
―― はい、そして今年、4月24日には、大阪・関西万博で開かれたデンマーク・ナショナルデー「オープニングセレモニー」に出席して、パフォーマンスされましたね。
あんなに緊張したのは久しぶりでした。最初の曲の間中、ずっと震えていました。でも、それを乗り越えたら、すごく楽しかったです。ステージに上がると、目の前にテレビカメラが5台くらいあって、デンマークの国王陛下が座っていて、デンマーク大使や多くの政府関係者の方々、そしてデンマークからこのショーを見るために飛んできた人たちもたくさんいらっしゃいました。大屋根リングの一部も見えて、何もかもがすごく壮大に感じられました。そこにいる、小さな私、という感じで不思議でしたし、ステージに歩いて行く時、「ここで演奏するなんて信じられない」と思いましたし、本当にクレイジーな感じでした。
最初に演奏した曲は、私一人でギターを弾き語りしたんです。だから、さらに緊張してしまいました。バンドが一緒にいる時は、違う方法でゾーンに入れる気がします。でも、やってよかったと思っています。次に似たようなことをしなければならない時、うまくいけばもう少し自信が持てるでしょうから。はい、緊張しましたが、楽しかったです。
―― 他のパビリオンには行きましたか?
見に行きたかったんですが、残念ながらスケジュールの都合で列に並ぶ時間がなかったので、入ってみることはできませんでした。でも、外から様々な建築を見て、全てがすごくクールでした。他のスタッフと大人向けのユニバーサル・スタジオみたいだとか、大人向けのディズニーランドみたいだ、と話していました。建物がすべてとても美しくて、色々な国が表現されているのを見るのはクールでした。
新作アルバムについて
―― では新しいアルバム『Papaya』についてお伺いします。昨日インストアイベントでもおっしゃっていましたが、一人のプロデューサーと作業したことで、まとまりのあるアルバムになったとおっしゃっていましたね。それについて詳しく教えていただけますか?
私は音楽を作る上で特定の方法が好きなんです。私の曲はとてもパーソナルなので、自分とは違うメロディーを試したり、歌詞と一人で向き合ったりするスペースを与えてくれる方と一緒に作業することが、私にとっては本当に重要なんです。
(プロデュースをしてくれた)リロイ・クランピットはとても心を開きやすい人で、とても忍耐強く、私にスペースを与えてくれました。だから、彼と一緒に作業するのはとても楽しかったです。彼は、何でも試す自由を与えてくれて、どんなアイデアも決して否定せずに聴いてくれました。彼に会った途端、「アルバム全体を一緒に作りたい」と思いました。
―― 彼はサブリナ・カーペンターやマディソン・ビアーのような人々と仕事をしてきましたね。どうやって出会ったのですか?
最初は、彼がInstagramにDMを送ってくれました。2年前だったと思います。その時、偶然二人ともちょうどロンドンにいたので、スタジオに入ってセッションをしました。それが本当に楽しくて、午前2時くらいまで続きました。4時間後の午前6時にはフライトの予定があったので、すぐにホテルに帰って荷造りして、空港に向かいました。
スタジオでの作業は本当に楽しかったので、本当はずっといたかったんです。その後、LAに行く予定があったのですが、そこで彼にまた会いました。そして、さらに数回セッションを重ねた後、私と一緒にアルバムを作りたいか尋ねてみました。彼がどれだけ忙しいか知っていますので、本当に緊張しました。だから彼が「いいよ」と言ってくれた時、すごく嬉しかったのを覚えています。正直、嬉しくて泣きそうになりました(笑)。そして、一緒にアルバムの制作作業をして、アルバムを完全に仕上げるために1週間コペンハーゲンに来てくれました。
―― アルバムを聴くと、キングス・オブ・コンビニエンスやソンドレ・ラルケのような、北欧的な雰囲気のアーティストを思い起こさせました。
素敵ですね、ありがとうございます!
―― 日本人だからかもしれませんが、アコースティックな雰囲気の中に、スカンジナビア的な雰囲気が感じられます。あなたの音楽にそのような北欧的な雰囲気があることはご自身では意識されているんでしょうか?
自分では意識してはいません。でも、私がどこの出身かを言ったり、様々な場所に住んでいたこと、母が日本人で父がデンマーク人だと言ったりすると「ああ、だからなんですね」と言われることが多いんです。非常に多くのものから影響を受けているので、どこからインスピレーションを得たのか正確に把握するのは難しいんですが。でも、自分の音楽から北欧的なものが聞こえても驚きません。だって、私のアルバムはデンマークで作られましたし、今もそこに住んでいますからね。
―― アルバムのジャケット写真はどこで撮影されたのですか?
あれはLAで撮影したんです。
―― LA?スカンジナビアのどこかかと思っていました
デンマークは完全に平坦な国なので、山のようなものはないんです。でも、もしかしたらノルウェーかどこかに見えるかもしれませんね。でも、LAで撮影しました。アルバムのアートワークを撮影するために5日間LAにいたんです。そこで偶然、デンマークの写真家が連絡してきて、ドライブして写真を撮りたいと言って、様々な場所で撮影して、その中の1枚がアルバムジャケット写真になりました。
―― アルバムタイトルは、妹の「AYA」さんのニックネームから来ているとのことですが、その理由を教えてください?
妹の名前は「AYA / アヤ」で、家族が時々彼女を「Papaya / パパイヤ」と呼ぶんです。それとアルバムのために最初に作った曲は「Mean Too Much」なんですが、この曲は妹についての歌というのも理由の一つです。アルバムは友情や家族、成長について歌っています。彼女は私より2歳年下で、一緒に育ってきましたし、世界中を引っ越しをすることも一緒に経験しました。彼女は私の友達であり家族でもあるような存在なんです。だから、理にかなっていると思ったんです。
それから、リロイに「アルバムのタイトルを『Papaya』にしようと思います」と伝えたら、「それは理にかなっているね。もしアルバムに色と味があったら、今回の新作はパパイヤのオレンジ色に感じられて、パパイヤのような味がするだろうと感じたからね」と言ってくれました。
―― 「Mean Too Much」はアルバムのために最初に書いた曲の一つだったとのことですが、この曲はアルバム全体の方向性や雰囲気を本当に要約している気がします。2枚目のアルバムで何をしたいかという明確なビジョンをすでにお持ちで、その最初の曲からそれを達成できたのでしょうか?それとも、その曲を書いた時に、「よし、これがアルバムでやりたいことだ」と発見したような感じでしたか?
自分が何をしたいか、明確なアイデアがあったと思います。いつもこのようなアルバムを作りたかったと思っていました。
―― アルバムの中で最も大変だった曲は何ですか?
多分「Likeable」ですね。この曲は何度も修正をしてできた曲なんです。コペンハーゲンの自宅でヴァースとプリコーラスを書いた時には、単なるアイデアレベルでした。そしてLAのスタジオで作業したり、そこからさらに自宅に持ち帰ったり。普段曲を書く時は、1日で仕上げるのですが、プロデューサーのリロイと何度もやり取りをして、やっと納得できるサビができたときは、それを乗り越えて完成できたことを本当に嬉しく思っています。
―― アルバムの最後の曲「Forever」は会話のようなもので始まりますね?デンマーク語ですか?
あの曲を録音していた時、親友がスタジオに遊びにきていたんです。そして、翌日、リロイと私が録音を聴き返していた時、私たちの会話が残っていたんです。彼から「これを加えたらどう?」って言われたんです。リスナーは、私が演奏している部屋にいるように感じるというアイデアが気に入りました。なぜなら、この曲がそういう意味の曲でもあるからです。
デンマーク語での会話は「最後のテイクをやっている間に、さっと出てくるね」「オッケー、この最後のテイクをやったあと、外で会おう」という内容です。そして、それもまた完璧なエンディングだと思いました。一つ前の「Stranger」が終わる時から始まって、電車の音が聞こえて。
実は、母が日本の祖母の家の近くの駅の音を録音して送ってくれたんです。電車の音のようなものが入っていました。それらを「Stranger」に加えました。都市の音から、会話へ移行する流れが好きなんです。心地よいですね。
―― そして「Likeable」をテレビで生演奏されますね。日本の音楽番組に生放送で出演する気分は?
はい、生放送の音楽番組は初めてなことと、番組の視聴者数がデンマークの人口とほぼ同じと聞き、ちょっと緊張しています。でもエキサイティングなので、楽しもうと思います。
―― 披露する楽曲を「Likeable」にした理由は?
アルバムの中で最もアップビートな曲の一つで、気分を高揚させる曲だからです。もし私の音楽をまだ聴いたことのない人に、良い紹介になるだろうと思ったんです。
―― なるほど、生出演楽しみにしています。本日はありがとうございました。
✨#Venue101 見逃し配信中✨
#ミイナ・オカベ/Likeable
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世界でテレビ初パフォーマンス
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ターニングポイントとなった楽曲も紹介
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Written By uDiscover Team
ミイナ・オカベ『Papaya』
2025年4月25日発売
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