マシン・ガン・ケリーが語る新作アルバムとポップパンクリバイバル、そして日本文化

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Machine Gun Kelly - Photo: Mark Seliger

“ポップ・パンクのリバイバル・イヤー”と定義された2021年。そのムーブメントを牽引したのはバンドではなく、ラッパーでありながら自身初のポップ・パンク・アルバム『Tickets to My Downfall』(2020年9月発売)が全米1位を獲得したマシン・ガン・ケリー(Machine Gun Kelly)だった。

そんなマシン・ガン・ケリーが2022年3月25日に最新アルバム『mainstream sellout』を発売。この新作やポップ・パンク・リバイバルなどを語ったオフィシャルインタビューを掲載(質問一部監修:辰巳JUNK)。

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―― あなたが大きなきっかけとなってポップ・パンクが復活したと言われて久しいですが、現在のポップ・パンク・リバイバルについてどうお思いでしょうか?

ポップ・パンク・リバイバルはとてもいいものだと思うよ。今はギター・ミュージックがないよね。今の俺のファンの多くは、ギターを弾くコンサートを初めて見たって言うんだよ。俺が子供の頃はコンサートを見て好きになったバンドがたくさんあったのに、新しい世代にはそれがないんだ。

彼らの世代には、ラッパーとしてのロック・スターはいても、実際にロックを作っているロック・スターはいない。だから、彼らが楽器を手にするきっかけを作りたいし、着こなし方を提案したい。みんながシカゴのストリートから来た子供みたいなわけではないし、必ずしも自分の声を求めているわけではないからね。

でも、ある種のスタイルに限定すると、彼らは爪を塗ったり、髪を染めたり、そういう服を着たいと思うかもしれない。他の世代からは変に見られるかもしれないけど、パンク・ロックは表現が自由だから、そこが今回のパンク・ロック・リバイバルによく表れていると思うよ。自由に表現できるからね!

―― あなたを信奉するパンクキッズも増えています。若者のパンクブームについてはどうお考えでしょうか?

さっきの答えと重なるけど、爪に塗る色も洋服も、自分を表現することを恐れていない子供たちを見ていると、自由でいいなと思うよ。俺たちのスピーチも俺たちの意見も、俺たち自身の世界に対する展望も、主張する方法が抑圧されつつあるけど、そんなのは嫌だからね。

俺たちは、あらゆる方法で自分自身を表現できるようになりたいんだよ。聴く音楽も物理的な見せ方もそうだけど、表現を抑制するような社会の中で、もっと自分を表現することが必要だと思うんだ。だからこのジャンルが好きなんだよ。音楽というよりライフスタイルというか….個人主義のオーラがあるよね。

 

―― 『mainstream sellout』という題名はインパクトがあると思うのですが、どのような意味合い、メッセージがあるのでしょうか?

メインストリームのアーティストからくるヘイトのパワーを奪うという意味だよ。俺はこのジャンルには属していないとか、このような音楽を作るのに適していないとかね。俺は、人の意見は気にしないし、やりたいことをやる。それで何百万人もの子供を幸せにしてるんだ。

俺は、彼らが作り続ける負の空間みたいな異常な現実から逃げ出したい人たちのために、避難場所を作っているようなものなんだ。だから、『mainstream sellout』は、ネガティブな空間を作りたい人たちからその力を奪っているんだよ。

―― 今回のアルバムにはグランジ、ダークな要素も感じたのですが、前作との音楽性/志向の違いはあるのでしょうか?

できるだけ純粋にポップ・パンクとして楽しめるような制作を心がけているという意味では、この2枚のアルバムは(『Tickets to My Downfall』と『mainstream sellout』)似ていると思う。でも、歌詞はこの2年間の日記みたいなもので、詮索や批判にどう対処するか、奇妙な迷路をどうナビゲートするか、という内容になっているよ。だから、歌詞はソウルというよりもっと個人的なものなんだけど、誰にでも通じるものだから俺だけのものではないんだ。

 

―― 今年はアヴリル・ラヴィーンともコラボしていました。ジャンルのレジェンドとの共演はいかがでしたでしょうか?

アヴリルは本当に素晴らしい人で、スタジオでのエネルギーがすごいんだ。スタジオで一緒に曲を作ったんだけど、俺がギターラインとコーラスのアイデアを持っていったら、彼女はすごく受け入れてくれたんだ。何回かセッションを重ねながら歌詞を作り込んでいったんだけど、ちゃんと曲になるまでずっとお互いをプッシュし合っていたよ。

初めてこの曲を演奏したとき、彼女がシャンパンのボトルをあそこに集めて開けて、とささやいたんだ。彼女は本当に自由人で、それが伝染して本当に楽しかった。ファンとしてだけでなく、パフォーマーとしても興奮したよ。

 

―― サマーソニック2019で来日されてますが、何か印象に残っていること、場所、食事などありますか?

前回行っていない原宿エリアに行きたい! あと、前はタトゥーのせいでお寿司屋さんに入れなかったんだよね。だから、美味しいお寿司屋さんに行ってみたい。前に寿司職人のドキュメンタリーを見たんだよ、6席くらいしかなくて、数か月前に予約しないと入れないお店。ぜひそこに行ってみたい。

あとは富士山にも行ってみたいね。やりたいことはたくさんあるよ!実は、芸術を探求して自分のクリエイティビティの違った面を引き出すために、2週間休暇を取って日本に行こうと思っていたんだよ。

 

―― 最近、子猫を飼い始めましたね?猫の好きなところを3つ教えてください。

猫の好きなところは毎朝俺が部屋に入ると、頭を出してキスしてくれるところかな。彼は高いタワーの上にいるんだけど、俺も背が高いから。あと、チーターやヒョウ、オセロット、ピューマみたいに、アートみたいな猫たちの動きはとてもエレガントだよね。

俺の猫はベンガルだから野生で、彼を見ているとまるで映画『トランスフォーマー』のような、この世のものではない生き物の動きを見ているようで小さな宇宙人みたいなんだよ。まだ子猫だからそこら中にウンチをしちゃって、今まで嗅いだことないくらい臭いんだよね。これが猫の好きなところかな。最後の1つを除いてね!

―― マリオなどゲームをされると聞きました。他にどういったゲームが好きですか? 最近好きなゲームはありますか?

マリオ大好きだよ!スーパーマリオ64。日本にマリオワールドがあるって聞いたから、遊びに行くのが楽しみだよ。マリオパーティとスーパーファミコンのマリオ3兄弟が一番好きだね。羽の帽子や羽のマントでロングジャンプができるやつ(『スーパーマリオワールド』のことか?)。ゼルダも大好き。ニンテンドースイッチの新しいゼルダ最高(『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のこと)!

―― 日本の文化で好きなものはありますか?

日本の映画は好きだよ。確か日本の映画だったと思うけど、『ニンジャ・アサシン』は現代のアクション映画の中で最も好きな映画の一つ(2009年公開、ウォシャウスキー姉妹制作によるアクション映画)。あと、日本のタトゥー文化も好き。車文化も好きだし、日本のヘアスタイルも大好き。俺の髪型のベースになっているのは日本のみんなから教えてもらったものだから、これからも流行を発信してね!

―― 知っている日本語はありますか?

うーん、あんまり知らないけど、「ありがとう」は知っているよ!もう少し日本語勉強しないとね(笑)。

―― 日本では4月は新学期や新社会人など若者にとって新しい始まりの時期です。新たな挑戦をする若者たちへメッセージをお願いします。

日本の若者たち!できるだけワイルドな服を着て、色鮮やかにして、髪も伸ばして、普通の枠にとらわれない奇妙なスタイルでいてね!俺もそうありたいし、お互いにインスピレーションを交換し続けよう。

芸術は僕たちに進化の仕方や次のステップを示すものだから、人類の進化において最も重要なもの。だから、建築家、ファッションデザイナー、ミュージシャン、プロデューサー、映画製作者は、俺たちに素晴らしいコンテンツを提供し続けているんだよ。

みんな愛してるよ!マシン・ガン・ケリーでした!

Written By uDiscover Music



マシン・ガン・ケリー『mainstream sellout』
2022年3月25日発売
国内盤CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music





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