『インディ・ジョーンズ』シリーズの音楽の魅力:ジョン・ウィリアムズによる名曲と最新作

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ジェームズ・マンゴールド監督、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス製作総指揮による「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5作として2023年6月30日に公開された新作映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。

過去シリーズ、そして新作を含めて映画の作曲を担当したのは御年91歳のジョン・ウィリアムズ。そんな巨匠による今までの本シリーズを振り返りながら、最新のサウンドトラックの聴きどころなど井筒 節さんに寄稿いただきました。

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世代を超える「インディ・ジョーンズ」の「あのメロディー」

ジョン・ウィリアムズが作曲した「レイダース・マーチ」は特別な曲だ。42年前に公開された『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(1981)以来の往年のファンから、映画以外の場を通して出会った現代の日本の子供たちまで、世代と国を超えて愛される楽曲なのだ。

6月30日に公開された第5作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でも、その旋律は重要な場面で響き渡る。主演を務め、本作でインディ役に別れを告げるハリソン・フォードと共に、「インディ・ジョーンズ」を「インディ・ジョーンズ」たらしめる、本シリーズのアイデンティティそのものなのだ。

ちなみに、42年に渡り、一人の俳優が同じ役を演じることも(執筆時、ハリソン・フォードは80歳)、一人の作曲家が同じ作品の作曲・指揮を勤め続けることも歴史上稀なこと。その音楽を担当するのは、もちろん巨匠ジョン・ウィリアムズ、91歳。

ジョン・ウィリアムズは、「スター・ウォーズ」シリーズにおいても、1977年から2019年の42年に及ぶ偉業を続けてきたが、「インディ・ジョーンズ」でも、その記録と並ぶことになる。両作に、ハリソン・フォードが出演していることも驚異的だ。

 

「インディ・ジョーンズ」シリーズとは

第1作『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』は、1981年、ジョージ・ルーカス製作、スティーブン・スピルバーグ監督、ジョン・ウィリアムズ音楽、ハリソン・フォード主演という奇跡のチームが生んだ歴史的大ヒット作。

物語は、1936年、旧約聖書に記され、神秘のパワーを持つ聖櫃を探し、ナチスとの攻防を繰り広げるストーリー。南アメリカ、ヒマラヤ、エジプト、ギリシャで、蛇や様々な罠をくぐり抜けるアクション大作は、アカデミー賞5部門を受賞。テーマ曲「レイダース・マーチ」や今も様々なオーケストラにより演奏され続ける「マリオンのテーマ」は本作から生まれた。

第2作『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』が公開されたのは、3年後の1984年。舞台を前作の1年前である1935年に置き、キー・ホイ・クァン(本年アカデミー助演男優賞を受賞)演じる少年ショートと上海で出会ったインディが、インドに赴き、村人や子供たちのために秘宝を奪還しようと奮闘するアドベンチャー。アカデミー視覚効果賞に輝く斬新で衝撃的な表現が話題を呼んだ。

第3作は、1989年に公開された『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』。インディの少年時代をリバー・フェニックスが、インディの父親役を「007」シリーズのショーン・コネリーが演じ、幅広い層に愛された。時は1938年、イエス・キリストの血を受けたという聖杯を追う父親が消息を断ったことを機に、再びナチスと対峙するインディ。

ヴェネチア、ドイツ、ヨルダン等でロケを行った映像と共に、最先端の音響技術を駆使し、アカデミー音響効果編集賞を受賞。「インディ・ジョーンズ」シリーズは、映画界に様々な技術革新を生み出し、切り拓いてきた作品でもあるのだ。

そして、19年を経て製作された第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2006)は、1957年、東西冷戦の中で、秘宝クリスタル・スカルをソ連KGBのスパイと奪い合う冒険物語。第1作のヒロインであるマリオンとの間に生まれた息子マットが登場。繰り広げられるSF的展開には、驚かされたファンも多かった。

 

「インディ・ジョーンズ」の音楽

歴史と超常現象を描くこの冒険物語シリーズは、アクションと驚異的映像、そして歴史や人間味に支えられたリアリティと、映画でしか描きえないファンタスティックな非現実世界が交叉するのが特徴的。これらを一つに繋ぎ、想像力を更に惹起するのが、ジョン・ウィリアムズによる圧倒的な音楽だ。

飛行機や列車での脱出シーンなど、しばしば冒険の始まりを象徴する「レイダース・マーチ」のように(『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』オリジナル・サウンドトラックにも、17曲目「New York, 1969」の他、度々登場する)、歴史と世界を股にかける華やかなメロディーの数々。

更に、本シリーズの特徴の一つでもある、沢山の虫や動物たちの蠢く様を描くおどろおどろしい音楽や、戦慄を与えつつも魅惑的な悪のテーマ。一枚板ではない悪の裏表を、複雑に且つダイナミックに描き出す。

特に、ナチスドイツの時代を描く、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の3曲目「Germany, 1944」では、2015年の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』におけるカイロ・レンやストームトルーパーたちを思い出させるような、「今」のジョン・ウィリアムズの世界を堪能できる。時には、『ゴジラ』を彷彿させるような重く民俗的なテーマも。

そして、物語を彩るリリカルなヒロインたちのテーマも特徴的。今回のヒロインのために生まれた「Helena’s Theme」は、あのアンネ=ゾフィー・ムターによる卓越した演奏が、オリジナル・サウンドトラックに収録されている。

ちなみに、ジョン・ウィリアムズとアンネ=ゾフィー・ムターの競演と言えば、アルバム「ムター・プレイズ・ジョン・ウィリアムズ」において、ボストン交響楽団による「マリオンのテーマ」を聴くことができる(同アルバムには、2人による「ハン・ソロと王女」が収録されている他、アルバム「アクロス・ザ・スターズ~ジョン・ウィリアムズ傑作選」でも、「ヨーダのテーマ」、「ルークとレイア」、「アクロス・ザ・スターズ(愛のテーマ)」、「レイのテーマ」といった「スター・ウォーズ」の音楽の他、「ハリー・ポッター」シリーズより「ヘドウィグのテーマ」、そして、「シンドラーのリストのテーマ」等が収録されている)。

こうしてたどり着く物語の最後、「あの音楽」が私たちを感動に誘う。

 

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

本作では、これまで監督を務めてきたスティーブン・スピルバーグは、ジョージ・ルーカスと共に製作にまわり、『LOGAN/ローガン』や『フォードvsフェラーリ』のジェームズ・マンゴールドが監督を担当。伝統を守りつつ、「インディ・ジョーンズ」の地平を更に広げて見せた。

キャストも、インディの友人としてアントニオ・バンデラス、敵役としてマッツ・ミケルセン(『ドクター・ストレンジ』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』)が出演するなど豪華絢爛。冒険の相棒ヘレナ役のフィービー・ウォーラー=ブリッジ(『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では、L3-37役のモーション・キャプチャーで参加)や、懐かしいキャラクターも登場する。

この「最後にして、最大の冒険」物語は、1969年から始まる。アメリカとソ連が宇宙開発でしのぎを削る時代。考古学を教える大学教員の職を定年退職したインディは、かつて朋友バジルの人生を狂わせた秘宝で、歴史を変える力を持つという運命のダイヤルを、バジルの娘ヘレナと、その仲間のテディと共に探しに出かける。因縁の宿敵である元ナチスの科学者フォラーと、陸・海・空を、車、馬、トゥクトゥク、飛行機等で駆け巡り、争奪戦を繰り広げるのだ。

これぞ映画!と体感できる、何度も映画館に足を運びたくなる超大作。そして、映画を観終わった後は、しばらく、頭の中でジョン・ウィリアムズのメロディーが鳴り続けるだろう。

この夏、私たちも、「インディ・ジョーンズ」の音楽にのせて、新たな冒険に出かけよう。

Written By 井筒 節


『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(オリジナル・サウンドトラック)』
2023年6月28日配信
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ジェームズ・マンゴールド監督、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス製作総指揮による「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のオリジナル・サウンドトラック。

音楽は、『スター・ウォーズ』、『E.T.』、『シンドラーのリスト』等でアカデミー賞に5度輝く、御年91歳のジョン・ウィリアムズ。心躍る軽快にして雄大なお馴染みのテーマ曲の他に、本作の為に書き下ろされた新たなメロディーの数々を収録。


「インディ・ジョーンズ」シリーズ公式プレイリスト
SpotifyYouTube


映画情報

ハリソン・フォード演じる「インディ・ジョーンズ」最後にして、最大の冒険へ
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』
6月30日(金)全国劇場公開

公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/indianajones-dial



 

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