アンドリュー・ワットの経歴と功績:ローリング・ストーンズ新作をプロデュースした33歳の功労者
2023年10月20日に発売されたザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)18年振りのスタジオ・アルバム『Hackney Diamonds』は本国UKを含め全世界19カ国のオフィシャルアルバムチャートで1位を獲得、日本でも2020年で最も売れた洋楽アルバムなどセールス面だけではなく、多くの批評家からも絶賛の声が上がっている。
そんなアルバムをプロデュースしたのは、メンバーとは40歳以上も年齢が離れている現在33歳のアンドリューワット。この若きプロデューサーの経歴や功績について、音楽ライターの内本順一さんに解説いただきました。
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セールスも評価も高い新作の貢献者
ザ・ローリング・ストーンズのニュー・アルバム『Hackney Diamonds』が全英で1位、全米で3位を記録し、日本では発売2週目で「2020年代に日本で発売された洋楽アルバムで最も売れた作品」となった。18年振りのオリジナル・アルバムだから、ではない。内容が素晴らしいからだ。
実際、18年前の『A Bigger Bang』発売時よりも明らかに盛り上がっている。みんなが「最高だ!」と言っている。各メディアも揃って絶賛し、「陳腐な不発弾の塊」などと酷評しているのは揚げ足取りを方針とするようなピッチフォークくらいのものだ。もちろんストーンズの最高傑作とまでは言わないが、少なくとも90年代以降の彼らの作品のなかでは最高の出来だと言えるだろう。
最大の貢献者は、間違いなくアンドリュー・ワットだ。何年もの間、幾度も頓挫していたこのアルバムを、スピーディーかつ的確な判断で完成に導いた。“レジェンドだから”とか“もう80なのに”といったこと以前に、純粋に音も声も曲調もアグレッシブかつフレッシュだからかっこいい。そこをしっかり際立たせることのできた人物がアンドリュー・ワットのほかにいたかと言えば、答えはノーだろう。
アンドリューのおかげでバンドは“(かつて)転がり続けた石たち”ではなく、“(今も)転がり続ける石たち”であることを証明することができた。そのアンドリュー・ワットは10月に33歳になったばかりのミュージシャン/プロデューサー。ドン・ウォズからの紹介とポール・マッカートニーからの推薦があったとはいえ、アルバム全編のプロデュースにアンドリューの起用を決めたのはミック・ジャガーであり、肉体だけでなく感性も衰えなしであることがそれだけでわかる。
近年のプロデューサー
40周年を記念したベスト盤『Forty Licks』(2002年)が出るとき、そこに含まれた「Don’t Stop」など新曲4曲のプロデュースを引き続きドン・ウォズに依頼したことについて、「やはりストーンズらしさを一番わかっている人だからですか?」と筆者はミックに尋ねた。ミックはそのときこう答えたものだ。
「ドンのことは大好きだけど、新しい人と試すのも好きなので、そうしてもよかったんだ。ただ今回はそうするだけの時間的余裕がなかった。それをするには人間的な付き合いをゼロから始めなきゃならないからね」
その後、『A Bigger Bang』(2005年)も『Blue & Lonesome』(2016年)もドン・ウォズとグリマー・ツインズ(クレジットで使用されるミック&キースの愛称)の共同プロデュースで作られたものだったが、今回はそれなりに時間的余裕があったことと(2022年の段階でバンドはまだアルバム制作のデッドラインを決めていなかった)、ミックがパンデミック中にドン・ウォズからアンドリューを紹介されたあとしばらくフェイスタイムで親交を深めたことがよかったのだろう。
Rolling Stoneの記事によれば、ミックは2022年7月のハイドパークでのライブを終えた頃、アンドリューに「ニュー・アルバムのプロデュースに興味があるか」と打診。それから間もなくしてバンドがニューヨークのエレクトリック・レディ・スタジオに集結し、アンドリューもミュージシャンとしてセッションに加わったそうだ。その後、ミックとロン・ウッドとのディナーの席で「キミはローリング・ストーンズのプロデューサーだよ」とミックから言われ、それこそが自身のいつか叶えたい夢だったアンドリューは大興奮。そこから毎日ミックと話す日々が始まったという。
ミュージシャンとしてのアンドリュー・ワット
60年以上も活動を続けているバンドの信頼をさほど時間を要することなく獲得し、その期待に見事応えてみせたアンドリュー・ワットとはどんな男なのか。ここからは彼のキャリアについて書いていこう。
アンドリュー・ワットが米・ニューヨーク市に生まれたのは1990年10月20日。ストーンズの初来日公演の8ヶ月後であり、アルバムで言うなら『Steel Wheels』が発売された約1年後だ。5つ上の兄の影響で、彼は「パール・ジャムとレッド・ホット・チリ・ペッパーズばかり聴いて育った」そうだ。また「キース・リチャーズのあらゆることに憧れて育ち、ギターを持った」とも話している。
ニューヨーク州グレートネックのグレートネック・ノース高校から、ブロードウェイ沿いに建つティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツとニューヨーク大学(NYU)のシュタインハルト・スクール・オブ・カルチャー・エデュケーション・アンド・ヒューマン・ディベロップメント(人文学部)へ。
プロのギタリストとしてのキャリアは、ジャレッド・エヴァンやコーディー・シンプソンのバックで弾くことからスタートしたが、とりわけ重要だったのは2012年にジャスティン・ビーバーの「BELIEVE TOUR」に参加したことだった。ジャスティンとアンドリューは音楽の好みが共通していたこともあって友人関係に。ジャスティン・ビーバーをフィーチャーしたDJスネイクの「Let Me Love You」(2016年に全米4位のヒットを記録)にアンドリューが作詞作曲で参加したのはそれもあってのことだ。
一方、自分より遥かに年上で長いキャリアを有するミュージシャンと思いや目標を共有させながら活動する、そういう性質も早くから備わっていたようで、2013年にはグレン・ヒューズ(ディープ・パープル、ブラック・サバス)、ジェイソン・ボーナム(フォリナー、再結成レッド・ツェッペリン)とハードロック・バンドのカリフォルニア・ブリードを結成。
当時、アンドリューは23歳。ジュリアン・レノンがグレンに紹介してバンドに加わることになったそうだ。因みに当時のバイオには「ジミー・ペイジやリッチー・ブラックモア、トニー・アイオミなどから影響を受けてきたヴィンテージ・スタイルのギタリスト」とあり、ハードロックにもかなり精通していたことがわかる。
2015年、25歳になったアンドリューは、初めてソロ名義のEP『Ghost In My Head』をリリースした。表題曲はハードロック味とブルーズ味のあるもので、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミスとクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョーイ・カステロのふたりがドラムで参加。
そうしてロック系シンガー・ソングライターとしての活動をスタートさせたアンドリューは、ジェーンズ・アディクションやザ・カルトのオープニングアクトを行なうなどしてライブの実力をつけ、2016年2月にはL.A.のフォンダ・シアターで開催されたドアーズのレイ・マンザレクのトリビュートライブにも出演した(ドアーズのロビー・クリーガーとジョン・デンズモア、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンスとラミ・ジャフィー、ポール・マッカートニーのバンドのブライアン・レイらが参加し、後にライブ映画『The Doors : Break on Thru – A Celebration of Ray Manzarek』にもなった)。
ソングライター/プロデューサーとしての成功
だが、彼はその頃に望んでいたソロ・アーティストとしての成功ではなく、早い段階でソングライター/プロデューサーとして大きな成功を手にすることになる。先述したDJスネイクfeat.ジャスティン・ビーバーの「Let Me Love You」のビッグ・ヒットだ。
また、ジャスティンと友好関係を築き、ジャスティンの「PURPOSE WORLD TOUR」のオープニングアクトも務めた新しいアーティストとも親しくなって、彼の作品に関与するようにもなった。その彼とは、2016年にアルバム『Stoney』でデビューしたポスト・マローンである。同作にはアンドリューがソングライトとプロデュースを手掛けた「Feeling Whitney」が収録されているが、ほかにも2曲でギター参加(うち1曲はベースを弾いてストリングスアレンジも担当)。
加えて2017年の映画『XXX<トリプルX>:再起動』に使われた「Burning Man」は、ポスト・マローンをフィーチャーしたアンドリューの曲だった。以降、ふたりは友好関係を深め、ポスト・マローンの作品にアンドリューは不可欠な存在となるのだった。
2017年、アンドリューはカイゴ&セレーナ・ゴメスの「It Ain’t Me」、カミラ・カベロの「Havana (feat. Young Thug)」のコライトとプロデュースを手掛け、特に「Havana」が全米1位の特大ヒットとなったことで、ますますその実力が業界内に広まることとなった。
この年はほかにビービー・レクサ、リタ・オラ、ヘイリー・スタンフェルド&アレッソ、セレーナ・ゴメス&マシュメロらの曲を手掛け、2018年にはファイヴ・セカンズ・オブ・サマー、カーディ・B、フューチャー&ジュース・ワールドらの曲も担当。2019年にはラナ・デル・レイ、ザ・チェインスモーカーズfeat.ビービー・レクサ、エリー・ゴールディング&ジュース・ワールド、チャーリー・プース、ブリンク182、チャーリーXCXらの曲を手掛けてジャンル的にもさらに範囲を拡大した。ポスト・マローン作品に関与する割合も年々増していった。そうしてアンドリューはポップスターをさらなる高みへと導くのに欠かせないソングライター/プロデューサーとなったのだ。
帝王オジーをプロデュース
2020年も引き続き数多くのアーティストの作品を手掛けていたが、ひとつ、彼にとって特別と思える仕事があった。オジー・オズボーンの10年振りとなる復帰アルバムの制作だ。きっかけはポスト・マローンの2019年作『Hollywood’s Bleeding』だった。
そのアルバムを制作中、ポスティが子供の頃からオジーの大ファンであることを知ったアンドリューは、オジーとポスティ(とトラヴィス・スコット)のコラボによる「Take What You Want」をそこに入れたのだ。橋渡しをしたのはオジーの娘で、アンドリューの知り合いでもあったケリー。オジーは当初、ポスティのこともアンドリューのことも知らなかったそうだが、この曲の成功からオジーはアルバム制作をアンドリューに託すこととなった。
プロデューサー兼ギタリストとしてアンドリューが丸ごと関与した『Ordinary Man』は、実はメロディー重視であるオジーの才能と魅力が存分に引き出され、大傑作の評をものにした。オジーが加わってのレコーディング期間はたったの3週間だったにも関わらず、全ての曲にヒットポテンシャルが備わっていたのだ。結果、そのアルバムは全米・全英共に3位という当時のオジーのキャリア史上最高位を記録。
「(アンドリューとの)相性が抜群によかったんだ」と大いに気を良くしたオジーは、2022年9月発売の最新作『Patient Number 9』でも再びアンドリューと組み、それは今年(2023年)のグラミー賞で最優秀ロックアルバムを獲得することにもなったのだった。
様々なヒットへの貢献
時間を戻すと、2020年はオジーのほかにもファイヴ・セカンズ・オブ・サマーやマイリー・サイラスのアルバムに大きく関与。全英1位に輝いたデュア・リパ『Future Nostalgia』からの3rdシングル「Break My Heart」や、サム・スミス「Kids Again」もアンドリューのいい仕事だった。そして2021年のグラミーで、彼は最優秀プロデューサー賞(クラシック以外)を受賞。それまでは仕事量とクオリティに反してそこまで広く名前が知られていたわけではなかったが、そこで世界にその名を轟かせることとなったのだ。
その2021年はアンドリューにとって更なる飛躍の年となった。まず彼のキャリアの初期から信頼関係にあるジャスティン・ビーバーの6作目『Justice』で、およそ半数の曲をコライト。ダニエル・シーザーとギヴィオンをフィーチャーした5曲目のシングル「Peaches」は堂々全米チャート初登場1位に輝いた。
シャルロット・ローレンスのEP『Charlotte』もアンドリューが手掛けたもので、当時ふたりは交際もしていた。ほかにマルーン5、ワンリパプリック、ヤング・サグ、エド・シーランらとのワークがあったが、とりわけ大きかったのはエルトン・ジョンとの仕事だろう。
ロックダウン期間中にリモート体制でエルトンが豪華アーティストたちとコラボレーションして作ったアルバム『The Lockdown Sessions』で、アンドリューは5曲の制作に関与。そのうちの1曲でエルトンとスティーヴィー・ワンダーがデュエットした「Finish Line」に関して、エルトンは「アンドリュー・ワットが驚くべき仕事をしてくれた。魔法のようなプロセスだった」と話したものだった。
アンドリューにとってはオジー・オズボーンに続く大御所とのワークだったわけだが、そもそもエルトンと知り合ったのは先述のオジーのアルバム『Ordinary Man』の表題曲でエルトンに参加してもらったときだったそう。エルトンはそこでのアンドリューの仕事っぷりを覚えていて、後に「一緒に仕事しよう」と声をかけたのだ。
レジェンドたちとの仕事
憧れていたアーティストとのワークは、さらに続いた。ティーンの頃から熱心に聴き、部屋にポスターも貼っていたパール・ジャムのフロントマン、エディ・ヴェダーとのワークである。エディは10年振りのソロ作『Earthling』のプロデュースを丸ごとアンドリューに託し、ギターのみならずベースでも彼を起用。エディが生き生きと楽しみながらパワーを注ぎ込んでいるのがよくわかる傑作で、つくづくアンドリューは相手をいい気分にさせて力を発揮させる能力に長けた人なのだなと感じたものだった。
その『Earthling』は米のトップ・アルバム・セールス・チャートで1位を獲得。アンドリューはエディのツアーのバンドメンバーにもギターで参加した(ほかにチャド・スミスやジェーンズ・アディクションのクリス・チェイニーらがメンバーだった)。またエディは、パール・ジャムの次のアルバムもアンドリューをプロデューサーに迎えて作るつもりだと話している。
2022年、アンドリューはザ・キッド・ラロイの世界的大ヒット曲「Stay」の次となった新曲「Thousand Miles」のコライトとプロデュースを手掛けたりもしたが、オジー・オズボーン、エルトン・ジョン、エディ・ヴェダーに続いて、またもレジェンダリーなヴォーカリストのプロデュースを任されてもいた。イギー・ポップだ。
この頃アンドリューはAtlantic Records傘下に「Gold Tooth Records」を創設して、イギーと契約。そこからの第1弾作品としてイギーのシングル「Frenzy」を10月に出し、今年1月にはイギーにとって19作目となるアルバム『Every Loser』がリリースされた。
「オレは上半身裸のロック野郎だ。アンドリューとGold Tooth Recordsはそれを理解してくれて、昔ながらの方法で一緒にアルバムを作ったのさ」
イギーが自信満々でそう話したそのアルバムには、(レッチリの)チャド・スミス、(ガンズの)ダフ・マッケイガン、(フーファイの)故テイラー・ホーキンス、(ブリンク182の)トラヴィス・パーカー、(パール・ジャムの)ストーン・ゴッサード、(ジェーンズ・アディクションの)デイヴ・ナヴァロら、イギーをリスペクトすると同時にアンドリューのことも信頼している錚々たるミュージシャンが集結。初期作品を思い起こさせるプリミティヴな衝動が漲りまくり、久しぶりに超アグレッシブなイギーを堪能することのできる傑作となった。
輝かしい才能を持ったポップスターをさらに上のレベルへと引き上げるというところで見事な結果を残してきた26歳からのアンドリュー・ワットは、29歳で当時71歳だったオジー・オズボーンのアルバムを手掛けて以降、ロック・レジェンドの本来の個性と魅力を最大限に引き出してもう一度世に伝える役目を最良の形で果たす男としても知られるようになった。
オジー・オズボーンの『Ordinary Man』(及び『Patient Number 9』)も、エディ・ヴェダーの『Earthling』も、イギー・ポップの『Every Loser』も、長く活動してきたそのアーティストの一番いいところがしっかり引き出されている。それでいてサウンドはいい塩梅にモダナイズされており、いま聴いてフレッシュに感じられるものになっている。
何よりそのアーティスト自身がとても生き生きしていて、楽しんでいることがわかるのがいい。ストーンズの『Hackney Diamonds』もまさしくそういうものだ。それができるプロデューサーがほかにどれだけいるだろうか。どうしてアンドリュー・ワットにはそれができるのか。
ファンの代表として臨んだストーンズ新作
『Hackney Diamonds』の話に戻ると、このアルバムにアンドリューはプロデューサーとしてだけでなく、ミュージシャンとしても深く関与した。自身もセッションに加わって曲を組み立て、だから今作にはジャガー・リチャーズ・ワットの作詞作曲クレジットも含まれることとなった。
ギターが一番得意だが、ベースも弾くので、参加できなかったダリル・ジョーンズの代わりに曲によってはベースを弾いた。ストリングスアレンジも(デヴィッド・キャンベルと共同で)手掛けた。そのように、なかに入って全力で取り組むタイプだったから、プロデューサーである前にまずひとりのミュージシャンだったから、というのは大きいだろう。
また、彼は毎日違うストーンズTシャツを着用してスタジオに通ったという話もある。エルトン・ジョンとの仕事の際にはグッチのトラックスーツにエルトン顔負けのド派手なサングラスというかっこで臨んだらしいが、つまりそうやってリスペクトの念をお茶目に相手に伝えようとする性質があり、そんなところも大ベテランたちからしたら可愛いく思えたのかもしれないし、正直でなおかつ面白いやつだと思えたのだろう、きっと。
自分がその相手のひとりのファンであることを大事にしながら仕事をする。そのアーティストが今までやったことのないことに無理に挑戦させたりするのではなく、自分が考えるその人の最良の部分をしっかり引き出す。そこにブレがない。アンドリューとは、自分を含むファンが一番聴きたがっているであろうアルバムを作ることをモットーとして制作にあたる男なのだ。
例えば「Bite My Head Off」ではポール・マッカートニーのファズの効いたベースが生々しく鳴っていて耳が引き付けられるが、「アルバム中、最もアグレッシブなロックトラックでポールに演奏してもらえたらどんなにクールだろう」と考えてその案を出したのがアンドリューだ。ミックはそれについてこうインタビューで語っている。
「オレは初め、ポールにどの曲で演奏するように勧めたらいいのかわからなかった。そうしたらアンドリューが“Bite My Head Offで!”と言ったんだ。あの曲はポールの趣味じゃないんじゃないかなとオレは思った。でもポールもこの曲を選んで、素晴らしい演奏をしてくれた。ポールは本当に楽しそうだったよ」
ファンの代表として、そのアーティストが何をやったら最高なのか、みんなは何を聴きたがっているか、どういう驚きがあったら面白いのかをまず考える。それをやってもらって、そのアーティストにもファンにも楽しんでもらう。それが彼のプロデューサーとしての理念なのだろう。
アンドリュー・ワットは今年、BTSのメンバーであるジョングクの初ソロアルバム『GOLDEN』(11/8にリリースされたばかりだ)でもいい仕事をした。7月に公開された1stシングル「Seven」や「Standing Next to You」などがアンドリューの手掛けた曲で、ジョングクがグローバルなポップスターへと駆け上がるための最高の手助けをしたと感じられる。
またアンドリューはモリッシーの新作(タイトルは『Bonfire of Teenagers』)のプロデュースも手掛けたそうだが、このアルバムはリリースが決まらないまま宙ぶらりんになっている状態だ(聴きたい!!)。ほかにもいろいろ進行中のものがあるだろうし、ストーンズの18年振りのアルバムをこれほどの成功に導いたのだから、日々様々な依頼が押し寄せているに違いない。
ストーンズとレコーディングを進めていながらアルバムに収録されなかった曲もまだたくさんあると明かしていたので、いつかそれをまとめて出してくれることを願っている。何せ仕事の早い男だ。今後行うと噂されているツアーが一段落してミックがゴーを出しさえすれば、アンドリューは必ずまた我々の期待に応えてくれるだろう。
Written By 内本順一
最新アルバム
ザ・ローリング・ストーンズ『Hackney Diamonds』
2023年10月20日発売
① デジパック仕様CD
② ジュエルケース仕様CD
③ CD+Blu-ray Audio ボックス・セット
④ 直輸入仕様LP
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