ビリー・アイリッシュ、Apple Musicの番組「me & dad radio」で紹介した曲と語ったこと【後半】
Apple Music限定のラジオ番組「me & dad radio」は、ビリー・アイリッシュが父親であるパトリック・オコネルとともに進行するもので、2020年5月から全6回(+スペシャル回が2回)が配信されました。
ビリー・アイリッシュは、学校に通わずホームスクールで学習し、両親や兄から音楽の影響も受けていました。そんな彼女が父親との番組の中で紹介した楽曲と、それぞれの楽曲について語ったことを抜粋して掲載。エピソード1から3を紹介した前半に続いて。エピソード4~6を紹介します(「me & dad radio」の試聴はこちら)
Apple TV+で2021年2月26日から配信となった自身初となるドキュメンタリー『ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている』にはそんな父やビリーの家族も登場、ラジオ番組とともに是非ご覧ください。
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・【前半】ビリー・アイリッシュ、「me & dad radio」で紹介した曲と語ったこと
エピソード4「from the start」
ブリトニー・スピアーズ「…Baby One More Time」
ホントに素晴らしい。誰もが知ってるクラシック。この時期のブリトニーは驚異的だった。彼女がインスタラムで私の曲(“bad guy”や“bury a friend”ほか)を使ったと知ったときには、危うく漏らしそうだった(笑)。私の狭い部屋で、小さなスピーカーでこの曲を聴きながら、よく踊っていた。
スパイス・ガールズ「Too Much」
パパはスパイス・ガールズが大好き。中でもスポーティ・スパイス(メラニー・C)の大ファンで、私はジンジャー(ジェリ・ハリウェル)のファン。この曲はヴァースの歌い方が最高。6歳だったけど、聴くたびに興奮した。
アデル「Set Fire To The Rain」
12歳頃まで、両親がそばにいないと強烈な不安に襲われた。いまではもうその不安症は解消したけれど、“ビリー・アイリッシュがうつ病を告白”なんて記事を読むたびに、本気でうつ病で苦しんでいる人たちに申し訳なく思ってしまう。ただ私が体験した不安症もホントに辛くて、吐き気がしたほど。訳もなくストレスや緊張感に襲われて、怯えていた。当時は両親が俳優もやっていたから、私も連れられてアフレコに参加。8歳頃かな、パパの運転する車で、アフレコの現場に向かっていたとき、私はとにかく不安で不安で泣きじゃくっていた。するとラジオからこの曲が流れてきた。上手く言えないけど、何かすごく暖かいものに包まれたのを覚えている。雨についての曲は、大抵大好き。この曲は、いまでも聴くたびに感動する。
アヴリル・ラヴィーン「Keep Holding On」
アヴリルはメロディの王様ね。この曲のコーラスなんて、信じられないメロディ。メランコリックでスウィートで、愛さずにいられない。
アヴリル・ラヴィーン「Losing Grip」
アヴリル曲で一番好きなのがコレ。「Complicated」「I’m With You」「Sk8ter Boi」「Girlfriend」「Keep Holding On」…全部大好きだけど、この曲には敵わない。私の幼少時代の思い出の曲で、2018年に改めて惚れ直した。車での中でこの曲が流れてきたら、絶対大声で一緒に歌う。何度聴いてもビートが最高で、いまでも全然色褪せない。
ザ・ビートルズ「Something」
幼い頃からビートルズの曲をいっぱい聴いてた話は、みんなも知ってると思うけど、これは私にとって特に大切な曲。似たようなテーマの曲はほかにもあるだろうけど、これほど巧妙な構成で、人間味を感じさせる曲は見当たらない。愛に飢えてたから、幼い私はこの曲に魅せられてたのかも? 誰が書いたとか、誰が歌ってるとか、あんまり考えたことがないけど、それってビートルズのファンとしては失格かもね(ジョージ・ハリソンが歌っていると、と父から指摘されると)そうね、リンゴ・スターなら、すぐ分かるけど(笑)。
キーア・ヴィクトリア「Ornament」
あちこちで散々喋ってるから知ってる人も多いと思うけど、とにかく素晴らしい曲。キーア自身もすごく可愛くて大好き。歌もプロダクションも歌詞も最高。世界一クールな曲じゃないかと思う。イントロだけ聴いても、そのクールさは分かってもらえると思う。
エピソード5「the finneas edition」
フランク・オーシャン「Chanel」
初めて聴いたとき、このリリックにマジでぶっ飛んだ。“俺にはシャネルの(ロゴの)Cみたいに両側が見えるんだ”とか、マジでカッコ良すぎ。「Lovely」の制作中に、カリードやみんなと一緒にこの曲をカヴァーしたのを覚えてる。カリードの声も最高だった。私はカリードの大ファンだけど、そのカリードと一緒に普通にいたりするのも、なんだかすごく妙な感じ。私たちは一緒にいると、いつも歌ってる。彼のあの声を聴くたびに“すごい〜!”って感動する。
ブランドン・フラワー「Can’t Deny My Love」
ホントに信じられないメロディ。この曲が聴こえてくると、シャッフルしないで最後まで聴いてしまう。曲もアートワークも彼の声も、全てが大好き。彼ってキラーズのメンバーなの? すっかり忘れてた(苦笑)。ママのお気に入りの曲でも。
ロブ・ディッキンソン「The End Of The World」
プロモツアーをすると、いつも“何かカヴァーしてくれないか?”って頼まれる。大抵有名曲をやってほしいと言われるけど、私はいつもこの曲をカヴァーしていた。だから初期映像を観たファンの中には、私のオリジナル曲だと勘違いしてる人もいるようだけど、原曲はロブ・ディッキンソンという、キャサリン・ホイールというグループの元メンバー。このあいだ当時の映像を観てみたら、私の歌はあんまり良くなかった。すごいいい曲だから、またカヴァーしてみたい。
マルケタ・イルグロヴァ&グレン・ハンサード「Falling Slowly」
フィニアスが初めてギターで弾いた曲。だから家ではいつも掛かっていた。でも、この曲が使われている映画『ONCE ダブリンの街角で』を私が観たのはずっと後になってから。曲もハーモニーも、とにかく美しい。
マルケタ・イルグロヴァ「The Hill」
映画『ONCE ダブリンの街角で』には、ほかにもいい曲がいっぱい入ってる。その中の一曲がこれ。この曲も私のオリジナルだと思ってる人が多いかも(笑)。いつもピアノで弾いていた。
アダム・ランバート「Mad World」
一時期『アメリカン・アイドル』や『ザ・ヴォイス』の出場者の歌を聴きまくっていた。ちょっと照れるけど、メラニー・マルティネスの「Toxic」のカヴァー(原曲はブリトニー・スピアーズ)やアマンダ・ブラウンの「Stars」のカヴァー(原曲はグレイス・ポッター)などを一日中聴いていた。だからアダムのこのカヴァーも大好き。ティアーズ・フォー・フィアーズのオリジナルも、ビデオがいいし、曲も歌詞も大好き。
チャイルディッシュ・ガンビーノ「Bonfire」
憧れの人。私がクリエイターとして望む、全てをもっている。彼のやること為すこと、全てがアメージング。それにしても、この曲はありえないほどハードコア(笑)。全てのリリックがクレイジーすぎ。3分間ぶっ続けで怒涛のラップ。私も必死で一緒にラップする。
エピソード6「last one」
ザ・ローリング・ストーンズ「Miss You」
アーティスト名や曲名はよく知らなくても、絶対に聴いたことある超有名曲があるけど、これがまさにそう。だって私が初めてちゃんと曲名などを知ったのは先週だから、ガハハハ! でも聴いた途端に“ああ知ってる!”って感じ。上手く言えないけど、この曲の“♪パ・パ・パン・パウン!”っみたな感じ、バウンシーなところが大好き。
クロマティックス「Cherry」
初めて聴いたとき、スクールボーイ・Qの「Man Of The Year」だと思って一緒に歌おうとしたら、全然歌に入らないから“どうしたの?”と思ったら、じつはスクールボーイ・Qがサンプリングした元ネタだった。すっごくドープな使われ方。この曲の歌詞も、ルース・ラデレットの声もメロディもビートも全部が大好き。こんなふうに全然知らない曲をサンプリングで知ることができるのも最高だと思う。
アシュニコ「Cry feat. グライムス」
クレイジーで無骨で、めちゃくちゃハードコア。特にフックの部分は、私には怒り狂って喚きまくってるとしか思えない。マジでムカついてる感じ。でも私がやるとこんなふうには上手くいかない。音程を巧みにコントロールしながら、本気で誰かに向かって喚くとか。もちろんグライムスはいつも通りに超クール。
アーロ・パークス「Cola」
友人から教えてもらったアーロ・パークスなんだけど、もう最高にクール。歌詞もメロディも歌い方も全てが極上、たまらない。アーロって、マジで大好き。
ジョルジャ・スミス「By Any Means」
彼女は、全てが完璧。もし私が彼女だったら“そうなの、私って完璧よ”って言ってると思う(笑)。全てが彼女のようだったらと本気で憧れる。それにすごく優しくて、いい人。こんなにハーモニーが満載されてる曲は、彼女では珍しい気がする。そこも気に入ってる。
ザ・ストロークス「Selfless」
ストロークスがニューアルバム(『The New Abnormal』)をリリースしたのは、確か2020年の初め頃だったと思う。すぐにダウンロードしたけど聴かずに放置していて、パンデミック中に自宅で初めて聴いたら、すっかり打ちのめされた。いつまで続くか分からない状態のなか、すごくモヤモヤしていたのが、このアルバムのおかげで救われた。全曲が好き。1曲だけ選ぶのが難しいほど、いいアルバム。だから、みんなにも是非とも聴いてほしい。こんなに長いキャリアなのに、私の好きなストロークスらしさを失わずにいられるのは、なぜなのか。その理由も知りたいな。
Written by 村上ひさし
『ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている』
瞬く間にスターダムへと駆け上がった、ビリー・アイリッシュの本当の姿。『ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている』では、ツアーや彼女の人生を変えることとなったデビューアルバムの制作の様子を描き出す。2月26日より、Apple TV+で公開
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ビリー・アイリッシュ「Therefore I Am」
2020年11月13日配信
iTunes / Apple Music