2度目の来日公演が迫るコナン・グレイの担当者たちが語る魅力と思い出

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Conan Gray - Photo: Elizaveta Porodina (Courtesy of Republic Records)

2024年4月5日に3作目のスタジオ・アルバム『Found Heaven』をリリースし、このアルバムをひっさげた来日公演を9月9日に東京ガーデンシアターで行うコナン・グレイ(Conan Gray)。

過去プロモーション来日と、来日公演を行ってきた日系アーティストのコナン・グレイについて日本のユニバーサル ミュージックでのコナンの初代担当の笠原 力氏と現担当のサミー氏の二人に彼の魅力について語ってもらった座談会の模様をお届けします。

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最初の印象

── 今回は来日公演が迫るコナン・グレイについて、日本のユニバーサル ミュージック初代担当の笠原 力さんと、現担当のサミーさんのおふたりに色々お伺いしたいと思います。

笠原 コナン・グレイ初代担当の笠原と申します。本日はよろしくお願いします。

サミー コナン・グレイ最新作『Found Heaven』の担当をしておりますサミーと言います。よろしくお願いします。

── では最初に、おふたりがコナン・グレイを最初に聞いたときの印象を教えてください?

笠原 僕はデビューアルバムを出す前のシングル「Maniac』(2019年10月リリース)が出た時にたまたま耳にして、すごくポップでキャッチーで、「超いいアーティストじゃん!」と思いまして。ユニバーサル所属のアーティストだというのは後から知りました。その当時アルバムも出てなくて、担当もついてないアーティストだったんですけど、上司に「すごく良いアーティストを見つけたので、ぜひ担当させてください!」って言ったんです。そしたら「いいよ、やってみなよ」って言われて、即攻で担当になりました(笑)。

サミー 僕はもちろん「Maniac」も耳にはしていたんですけど、「これがコナン・グレイっていうアーティストなんだ」って認識したのは2020~21年頃だと思います。「Heather」がバイラルヒットになった時、「この同世代の共感を呼んでいるアーティストって、コナン・グレイっていうんだ」、「日本にルーツを持っているアーティストなんだ」とかで知っていった感じです。なので、今振り返ると「Heather」がきっかけだったかなと思います。

── 笠原さんが初めて知った当時、コナン・グレイについての周囲の反応はいかがでしたか?

笠原 僕の周りではもうホントに誰も知らないっていうか、「ド新人」って感じでしたね。

── それを広める立場として、社内や社外のいろんな人に話していったとき、最初はどんなリアクションがありましたか?

笠原 「日本の血、入ってるんだ」って感想が最初は多かったですね。毎回「母親が日本の人で」って話してたから、確かにちょっとオリエンタルな感じだよね、独特な雰囲気だよね、でも日本にルーツがあるんだ、みたいな。結構「彼のルーツに意外性がある」っていうリアクションを見せてくれる方が多かったのを覚えてます。でも曲はすごくキャッチーで、すごいポテンシャルがあって、日本とも親和性高そうだよねっていう感じでしたね。

── サミーさんは当時はオンラインメディアに在籍していたとき、コナン・グレイはどういう風に受け取られていましたか?

サミー 会社内でも早い段階から話題にはなってました。「こういう人がいるんだ」っていうところと、あとは、それこそメディアっていう関係上、もちろんプレスリリースなどを貰っていたので、「この段階でアメリカツアーがソールドアウトしちゃうレベルの人がいるんだ?!」「どういう曲を書いてるんだろう?」みたいな印象でした。もちろん“日本にルーツがある”ということで、「この子ってすごく話題になりそうだよね」みたいな部分もありました。チャーミングなビジュアルやファッションも含めて、早い段階から話題が出てた記憶があります。

 

コナンの魅力とは?

── そんなおふたりに難しい質問なんですけど、コナン・グレイの魅力が1番詰まってる曲を1曲選ぶとしたらどれになりますか?

笠原 僕は「People Watching」だと思います。まず曲の作りがすごくメロディアスでコナンっぽくて、聞いてて心地いいんですけど、歌詞のほうはちょっと離れた場所から人間観察してて、人々が恋愛する模様をただ眺めて、「いつか自分もそういった(恋愛の)感覚を味わってみたいみたい。でも僕にはまだそういう相手もシチュエーションもない」っていう、すごくコナンっぽい、一歩引いた形で“恋愛”を見てるんです。ある種、冷めた感じで世の中を見てて、それが彼のアートにも美しく反映されてて、めちゃくちゃコナンらしさが詰まった曲だなと思ってます。

── なるほど。サミーさんは?

サミー 正直、同じ曲を挙げようとしてました(笑)。

笠原 名曲だよね(笑)。

サミー ホントに(笑)。それこそ「Heather」とかもそうですけど、とても繊細な感情が描かれてます。あと、コナンはアジア系としてアメリカで育って、アメリカにおいてはマイノリティで、それから恋愛経験がなく、「そもそも恋愛ってどんなものなんだろう?」みたいなトコがあって。そのくくりで言えば多分マイノリティになると思うんですけど、そういった所からの視点を赤裸々に描くのが巧いアーティストだなと感じます。そんな自分の人生や考え、悩みみたいなものと、“コナンってこういう人だよね”って部分が1番詰まってるのが、「People Watching」だと思うんです。

── なるほど。

サミー けど、せっかくなので、自分が担当し始めたっていうこともあり、今回の『Found Heaven』から挙げるとしたら、「Lonely Dancers」ですね。『Found Heaven』は前作の『Superache』から一度恋愛を経験したけど、破局してしまう、上手く行かなかった……っていう所から作り始めたアルバムで、そんなコナンの現在地を象徴しているような楽曲が「Lonely Dancers」なんです。「恋愛は終わっちゃったんだけど、前を向いている」「孤独なダンサーなんだけど、踊っちゃおう」みたいに、また一歩引いた目で見れてて、それが今の彼の“モード”なんですよね。「恋愛、やってみたけど……」みたいな部分や、ちょっと明るい感じも含めて「Lonely Dancers」が今のモードなのかな、って印象があります。

── ちなみにコナン・グレイというアーティストを“3つの単語”で表現すると何になりますか?

サミー 「身近」「ありのまま」、あとステージ上のことも含めて「チャーミング」ですね。ちょっと“キャラクター”に近いというか、キャラクターを表すような言葉になっちゃいましたけど、この3つかなと思います。

笠原 僕は「可愛い」「ひねくれてる」「センスがいい(ハイセンス)」かな。

 

プローション来日を振り返る

── なるほどなるほど(笑)。ここからは初代担当の話が多くなると思いますが、(コナン・グレイは)どんな人だったのかをお伺いしていきます。最初の来日が2022年7月のプロモーション来日。コロナ禍が明けてからの、欧米のアーティストとしては初のプロモーション来日になりました。これはレコード会社が主軸となって決めたものかと思いますが、なぜこのタイミングで来日させようと思ったんですか?

笠原 まず、1stアルバムの『Kid Krow』が2020年3月にリリースされたのですが、そのときに来日なども含めて色々やろうとしてたのが、コロナ禍真っただ中なので頓挫してしまったんです。だから仕切り直しになって、2022年6月に2ndアルバム『Superache』が発売され、2ndアルバムもすごくポテンシャルがあったので、「アルバム出てすぐのフレッシュなタイミングで日本に来させたいよね」となり、USやUKのプロモーションが落ち着いた7月に、初のプロモーション来日という形で呼ぶことが決まりました。

── 日本へよぶのは大変でしたか?

笠原 本人たちからは結構すぐ、早い段階で「日本のスケジュールを押さえるね!」って感じの返答がありました。ただ、どちらかっていうとコロナ禍明けの初めての来日だったので、ビザとかそういうテクニカルなところの準備が大変だったのを記憶してます。

── 空港にコナンが降り立った時に、100本のバラの花束を持って登場……っていう、なかなかロマンティックな登場だったんですけど、これはどんな意味なんでしょう?

笠原 『Superache』のジャケット写真が、ハート型のバラのベッドみたいなのものにコナンが寝てるっていう、バラをクリエイティブな形で使ってるものだったんです。なので、せっかく初めてプロモーションで来日して、しかも本人がプライベートも含めて日本に来るのも久々で、何年ぶりになるかも忘れちゃってるっていうのもあったので、来日をお祝いする気持ちで「バラを100本集めてプレゼントしよう」という話になり、社内で盛り上がって、準備して、本人に渡しました。

── 本人には事前に伝えていたんですか?

笠原 いや、完全にサプライズでした(笑)。確か成田空港だったんですけど、「ファンの所に出て行く前にサプライズがあるよ」って伝えたら、本人は「なに?!」みたいな、ちょっと怯えた反応を見せてたんです。でも「大丈夫、楽しいサプライズだから」って言って、本人が(飛行機から)出てきたときに花束を渡したら、日本語で「ワ~オ、すご~い!」って言って。ファンもそれを聞いて「ワ~!」ってなってましたね(笑)

 

初めての日本でのライヴ

── そしていろいろプロモーションをしたと思いますが、渋谷のduo MUSIC EXCHANGEでショーケース・ライヴを行っていますが。duoでやろうと思った理由は?

笠原 やっぱり僕自身コナンに思い入れがあったので、たくさんの人に来てほしい気持ちがあって、ショーケースにしては比較的大きめのハコを選びました。

── 新人アーティストのショーケース・ライブはキャパ100~200人くらいのところでやることも多いですけど、duoは800人くらいですもんね。

笠原 そうですね。当時はコロナの規制もあったので、(収容人数は)マックス800人だけど、実際に入れるのは400人だった記憶があります。現実的にはそういう部分もあって、でもいっぱい見せたい人がいたから……っていう会場のセレクションになりました。

── 大変だったことはありますか?

笠原 そもそも僕、プロモーション来日を担当したのが初めてだったんです。(プロモーターが招聘する来日公演と違って)レーベルが主体となってやるショーケースだと、機材のことや演出に関することだけじゃなく、「曲順は何がいい?」とか「衣装は何が合うと思う?」とか、結構細かいことをマネージャーと本人から聞かれるんですよ。「じゃあ、この日はこういう衣装がいいと思う」とか「この日はこういう話をした方がいいと思う」とか、そういった話もすごくしたので、やることが多かったのが印象的でしたね。でもそれは、今思えばすごく貴重な経験だし、絆が深まって、思い入れのある来日になりました。

── ショーケースの内容はどうでしたか?

笠原 自分もコナンのライブを生で見るのは初めてだったので、やっぱりちょっと感動しましたね。コロナ禍が明けたっていうこともありましたし、自分が2019年から良いって思ってたアーティストを、自分が主体となってやっと呼べて、泣きながら見てるファンの顔を会場で見たりもしたので、「やってよかったな」と思いました。

── それは感動しますね。

笠原 個人的には、日本に住んでるコナンのおばあさんと、日本の方であるお母さんが、息子の晴れ舞台ということでふたりで(ショーケースを)見に来てたんですよ。で、僕、おばあさんから直接「アメリカに行くのも大変だし、自分が自由に動ける間に、孫が日本で華やかなライブをするのを目の当たりにできて、夢のような気分です」って言われたんです。(コナン・グレイのおばあさんは)感涙されていて、目の前でそれを見てるだけでもすごいグッと来るものがありました。ライヴ中など気を引き締めていて、感動しても涙を流さなかったんですけど、おばあちゃんとのやり取りを見てたユニバーサルのスタッフの中にも何人か泣いちゃう人がいるぐらい感動的な場面でした。それを作り上げることができただけでも、ショーケースはすごく意味あることだったなって思います。

── お母さんも来てたんですね。

笠原 はい。来日前にSNSの担当者と僕でインスタライブしたんです。「来日直前!コナン・グレイの魅力を語る会」みたいな感じでいろいろ語ってたんですけど、お母さんもそれを見てたらしくて(笑)。「すごく一生懸命やってくれて、息子がもうひとりできたような気分だった」ってお伝えいただきました。

サミー 僕はメディアとしてショーケースを見に行ってたんですけど、メディアというより個人的な感情として、久しぶりに洋楽アーティストの、それこそ“いま来てます!”みたいなポップ・アーティストの来日ステージを見られたっていうのがありました。

── サミーさんもショーケースを見ていたんですね。

サミー 僕自身もそうなのですが、コナンと同年代のお客さんが前の方にバーっと行ってて、お客さんたちにとってもすごく特別なステージになったと思います。コナンとの距離の近さもそうですし、もちろんパフォーマンスに関しても、何年も曲をリリースしてきた中で、やっと(ライブという形で)今までのハイライトみたいなものが見られたので、その場にいた全員、感慨深いものがあったんじゃないかと感じました。

 

雑誌の表紙

── 当時プロモーション中、雑誌『NYLON JAPAN GLOBAL ISSUE』の裏表紙にも載りましたよね。洋楽アーティストで、しかも初来日の新人で『NYLON JAPAN』っていうのは普通なかなか無いのに、なぜここで裏表紙に決まったんでしょうか?

笠原 実はたまたま、通常版の『NYLON JAPAN』とは違う『NYLON JAPAN GLOBAL ISSUE』が出るタイミングだったんです。撮影するまではそっちの表紙になるって話も無かったんですけど、写真の取れ高がすごく良くて、『NYLON JAPAN』の方から「素敵な写真が撮れたので、『GLOBAL ISSUE』のバックカバーをコナンでやりたいんですけど……」というお話をいただいたんですよ。「もちろん、できたら嬉しいです(笑)」って冗談めかした感じにしていたのですが、まさかそれが本当に実現するとは。すごく嬉しかったです。

── コナンも撮影の時、いい感じだったんですか?

笠原 そうなんですよ。すごくスタイリングされた衣装でしたし。あと、ロケーションも“東京のストリートで撮影する”っていうのがコンセプトだったので、渋谷の裏路地などで撮ってたんですけど、本人も雰囲気のある顔立ちというか、表情ができる人なので、いいショットがたくさん撮れました。やっぱり元々YouTuberとして出てきたから、どういう表情が一番映えるかもすごくよくわかってて、そういう所が写真撮影時に出てましたね。現場担当と見てた時に、やっぱり彼はポージングのバリエーションが無限大だし、見てるだけでもすごく楽しいっていうか、すごく良い撮影で、テンポ感も良かったです。

 

── プロモ来日では、洋楽アーティストの新人はなかなか出演できないテレビの音楽番組にも出ましたよね。『Venue 101』と『バズリズム』。

笠原 『スッキリ』にも生で出ました。

── 短い滞在中に3つも出演して、何か大変なことはありました?

笠原 ぶっちゃけこれは、社内でも「出演できたらいいよね」みたいな感じで思われていました。1つ決まったら御の字、2つならラッキーぐらいな感じで言ってたら、まさかの3つも決まっちゃって(笑)。こんなに決まると思ってなかったから、準備がめちゃくちゃ大変でした。尺も演出も衣装も全部変わってくるし、ものによってはトークの比重が高いとかもあり、そうなった場合は事前にすり合わせしなきゃいけないし、提供できる子どもの頃の写真を用意したりもあったし、番組によって準備するものが全然違うんです。1個やるだけでも結構カロリーが高いんですけど、3つもあったので、業務過多になったりして、めちゃくちゃ記憶に残ってます。

── 出演後の反応はいかがでした?

笠原 コロナ禍で久々に洋楽アーティストが出たっていうことで、フレッシュさや印象深さが一般にもあったのかな。あと、『バズリズム』に出たとき、「バカリズムさんの似顔絵を描いてほしい」みたいな企画があったんですけど、描く時間が5分くらいしか無い中、めちゃくちゃクオリティ高いものが仕上がって、スタジオが沸いたのが印象的でした。コナンってリリックビデオを自分の手で描いたりしてるので、やっぱアーティスティックだなと。あと『Venue 101』のステージが、石柱みたいなものが何本も立ってて、しかも床にバラがたくさんあって、すごくコナンに寄せた感じになってまして、本人が「こんなに豪華なテレビセットを用意してもらえるとは思ってなかった!」みたいにめちゃくちゃ興奮してたのが可愛かったです。

── プロモーション来日の時にコナンと食事にも行ったと思うんですけど、その時に話したことで覚えてることはありますか?

笠原 何話したかな?(自分が忙しすぎて)生き残るのに必死だったみたい(笑)。めっちゃいろいろ話したと思うんですけど、ちょっと思い出せないですね。忙しすぎて、記憶が飛んじゃってます(笑)。

サミー コナン・グレイ来日日記みたいなの作ってませんでした?

笠原 あー、ありました(笑)。それ読んだら思い出すかも。

── 「『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の新作チェックしてないんだよねと話すと、“めっちゃいいから絶対見て”と強くオススメされ、シリーズについて語りました」みたいなこと書いてましたよ。

笠原 あ、そっか、そうだった。僕が新作を見てなくて、コナンに「ちょうど新作が出たから」ってすごいプッシュされたんです。あと、その当時本の某アイドルグループがちょうどデビューした頃で、「日本のでっかいアイドルグループのアーティストで……」みたいな話をしたとき、屋外広告が見えて、「あ、これだよ!」「わあ、すごい!」みたいな話をしました。 グループの写真を見せて「どれが僕の推しメンだと思う?」みたいなことをコナンに聞いてみたら、一発で当てられちゃって(笑)。多分、滞在期間中ではそのときが一番テンション上がってたと思います(笑)。

── 来日記には「コナンがハマっていたものに“鮭おにぎり、ジョージア アイスカフェオレ、ポッキー、アポロ、チョコベビー」などありますけど、他にこんなもの食べてたな~ってものあります?

笠原 名前は忘れちゃったんですけど、渋谷のショッピング街に入ってる和菓子屋さんがあって、お餅の中にこう、フルーツが入ってるやつ……。

── フルーツ大福?

笠原 そうそう、フルーツ大福。糸で綺麗に切れる仕様になってる包みのやつがあるんですよ。差し入れとして用意してたわけじゃないんですけど、ちょっと数時間空いたとき、コナンが「甘いのが好き」って言ってたからそれを2個買ってきて、「もしよかったら食べて」みたいな感じで置いといたんです。コナンは疲れてたのかめちゃくちゃ反応薄くて、「食べなかったら自分で食べよう」くらいに思ってたんですけど、そのあと迎えに行ったら2個とも完食されてました。サイズは結構デカかったんですけど、ちゃんと糸を使った形跡もあって(笑)。

サミー そんな所も可愛い(笑)。

笠原 そう、かぶりついたわけじゃないんです(笑)。

@universalmusicjp_intl 2022年 日本でのコナンの思い出たち @conangray #コナングレイ #思い出 #洋楽 ♬ Memories trend x Memories by Conan Gray – CONTENT CREATION TIPS

 

初めての来日公演

── プロモーション来日は大成功だったというわけですね。その次に日本に来たのが2023年のジャパンツアー。このときも笠原さんが担当でした。

笠原 大阪のなんばHatchと横浜のパシフィコ横浜でやりましたね。

── 新人アーティストとしては結構大きい会場ですが。

笠原 そう。「初めての来日公演でパシフィコ横浜?!」って僕も思ったんです。ぶっちゃけキャパでかいなって思ってて、どちらもチケット完売まではしなかったんですよね。でも8割~9割くらいはお客さん入ってて、初めての来日公演なのに、新人なのに、これだけ人を入れられるのはすごいなというのが率直な感想でした。

── そのときに初めてライブをフルセットで見たと思いますが、どうでしたか?

笠原 これは日本だけかもしれないことで、周りの人もみんな言ってたんですけど、ライブが始まった瞬間、黄色い歓声がすさまじかったんです。一瞬「K-POPのライブ見に来たんだっけ?」と錯覚するくらい悲鳴が上がりました。僕、洋楽の若めのポップ・アーティストのライブをめちゃくちゃ見てきてるんですけど、アリアナ・グランデくらい確立されたアーティストではこういうシチュエーションがあっても、コナンくらいの新人で、このタイミングで、ここまで熱量高いオーディエンスがいるのってすごく印象的でした。

── ちなみにサミーさんは来日公演、見てました?

サミー 見てました。本当におっしゃる通りで、もちろん黄色い歓声もそうなんですけど、ほぼ全曲みんな一緒に歌ってるみたいな感じで。

笠原 そう、みんなシンガロングできるんだよね。

サミー 僕も洋楽はいろんなライブ見てきましたけど、もちろんヒット曲やアンセムみたいなので合唱があるのはわかるんですよ。でも、しっとりしたバラードとかも、みんなちゃんと歌詞を覚えてきてて、全部ちゃんと歌えるんです。やっぱりそれって、みんなが歌いたくなるような曲だからこそなのかなって。あと、最後にファン主導のサプライズがあったんです。「スマホのライトに赤いテープをつけてステージを照らしてください」っていうもので、『Superache』のバラのモチーフで赤色になったと思うんですけど、それがすごく新鮮でした。

── ファンの方が自発的にやられたサプライズなんですね。

サミー 客席から見ても、コナンもすごく感動していたように見えたのを覚えてます 。

笠原 僕もオンライン上でファンの子たちがサプライズの呼びかけをしてるのを見てました。最後の曲の「Memories」でサプライズがあったのですが、終わった後に本人も「すごいね、今の見た?!」「あれ見た?!すごく綺麗だったよね!」みたいな感じで興奮して話してて、喜んでましたね。

── コナン・グレイ本人は2公演を行ったあとに、どんな感想を言ってましたか?

笠原 本人はやっぱり「自分のホームタウンでライブできたことがすごい嬉しい」って言ってました。ファンとしても“待望の”というか、来日のショーケースはあったけど倍率が50倍とすごく高くなっていたので、それに来られなかった子たちも、やっとフルセットという形でライブを目の当たりにできて、「嬉しかった」「感動した」って感想がたくさんあったので、双方にとって良い体験だったなと思いました。

── この来日公演の時に、またファッション雑誌『SPUR』の表紙を飾ってますよね。『SPUR』の表紙なんて取りたいと思っても取れないですよ?

笠原 プロモーション担当の人に「お前いつも表紙欲しいって言われてるよな」ってすごく怒られたんですけど、「そこをなんとか……」って言って(笑)。個人的にそもそも『SPUR』さんが好きで、すごく(コナンと)雰囲気が合いそうだよなと思ってました。昔ジャパニーズ・ブレックファストのミシェル・ザウナーとかも表紙になってたので、コナンが表紙を飾れる可能性もゼロではないかも!?っていう感覚だけはありました。

── なるほど。

笠原 で、「コナン・グレイとかって、ぶっちゃけどうですか?」って聞いてみたら、たまたま編集の方がコナンお好きだったんですよ。それで、「ぜひ!」っていう話になってたんです。でも、これには裏話があって……実はプロモ来日の時、『SPUR』さんから「ぜひインタビューさせてほしい」ってお声がけをいただいてたんですけど、凄まじくみっちりしたスケジュールだったので、インタビュー時間を確保できなかったんですよ。そのとき「実は次回の来日公演が予定されているので、何かご一緒できれば」っていう話になりました。それで、もう一回お声がけさせていただいた時に「ちなみに表紙とかってどう思われますか?」って言ったら、向こうも乗り気で話がどんどん進んで行って、表紙という形に実を結んだ感じですね。

── プロモーションではもうひとつ、これまた180度違うものとして広島県三次市観光大使もやっていますね。これはどういった経緯で実現したのでしょうか?

笠原 コナンの母方の実家および彼自身も幼少期に3~4年ぐらい住んでた広島県の作木村(※現在は三次市作木町)っていう所があって、昔、本人が住んでた所だし、本人にも思い入れがあるかなと思って。それで、三次市観光大使PRの方に「実はこういうアーティストがいて、昔住んでて、ツアーも決まってるんですが、観光大使みたいな形でこの町の盛り上がりに貢献できれば……」みたいな話を提案したら、快く受け入れてくださって。「じゃあこういうのはどうですか?」とご提案を頂き、表彰状をいただいたり、写真撮影したり、インタビューしたり、いろいろさせていただいた感じです。

── 洋楽の新人アーティストが市の観光大使なんて、なかなか珍しいですよね。

笠原 チーム一丸となって すごい頑張った記憶があります。(ツアーの際には)残念ながらスケジュールの都合でどうしても広島までは行けなかったのですが、大阪公演の本番前に三次市の方々にお越しいただいて、そこで授与式やったり、写真を撮ったりしました。

── 2024年9月には2度目の来日公演がありますが、この来日公演に向けての期待を教えてください。

サミー 一番はもちろん、最新作『Found Heaven』の楽曲がステージで見た時にどういうふうに表現されているかっていう所です。今回のアルバム、個人的にはすごくショー向けの楽曲が揃ったコンセプチュアルな感じだと思っていて、すごくきらびやかな感じの楽曲もありますし、全体的には80年代に影響を受けたということで、その世界観がどういう風に表現されるのかが気になります。もちろん「Maniac」とか、何度見ても楽しいパフォーマンスの楽曲も楽しみですし。

── 楽しみですね。

サミー あと、ステージでは、コナンにしかできないようなところ、来日公演だからこそできることとして、日本でのエピソードを披露してくれたり、日本語でコミュニケーションしてくれるところがあります。それとファッション。可愛らしい衣装、かっこいい衣装、どんな衣装で来るのかっていうのも楽しみです。

── コナンはステージ上で日本語を話すんですか?

サミー MCで話します。

笠原 (喋れるのは)フレーズ程度って感じですね。

── 日本語ペラペラというほどではないけど、頑張って、直接日本語でコミュニケーションしたい感じでしょうか?

笠原 そうですね。でも「聞く(リスニング)のはめっちゃ得意」って言ってました。コナンと一緒にタクシーに乗ってた時、「多分、君が話してることほとんどわかるよ」みたいなことを言われて。あと、タクシーの中でコナンが運転手さんに日本語で「チャージャー(充電器)貸してください」って言ってて、結構日本語できるじゃんと思ったりしましたね(笑)。運転手さんも普通に「どうぞ」って渡してくれて……要所要所で日本語が出てきます。

サミー 多分、言葉のチョイスは他の海外アーティストには無い部分だと思います。彼ならではのMCが聞けるんじゃないかと期待してます。

 

2度目の来日公演への期待

── 笠原さんは今回の来日公演についてはいかがですか?

笠原 めっちゃ楽しみですね。これはまだ誰にも話してなかったのですが、この前たまたま別の案件でインドネシアのジャカルタでやってた<LaLaLa Festival 2024>に行ったんですよ。そこで、僕が帯同していたアーティストの後にコナンのステージがあったんです。本当にたまたまで、行く直前に初めてわかりました。着いてみたら、泊まってるホテルも一緒だったんです(笑)。

── ホテルまで?!(笑)

笠原 で、朝食バイキングに並んでたらコナンたちがいて、「えっ、久しぶり!」みたいな感じでご飯を一緒に食べました。そこでいろいろ話して、「ライブも観れるかな?」と楽しみだったんですけど、ちょっと自分のスケジュールが合わなくて……登場する直前まではコナンと会えたんですが、ライブはどうしても観られなくて。そのまま会場を出なくてはいけなかったので、すごく歯がゆい思いで出て行った記憶があります。今回は満を持してちゃんと見られるのが純粋に楽しみですね。

── 朝食のとき、コナンとは何を話したんですか?

笠原 会うのも久々だったので、「最近何してんの?」「日本来るの楽しみだよ」みたいなことも話しました。でも、コナンって自分の家にいるのがすごく好きなんですよ。インドアな方なので、「ちょっとトラベル が多すぎて、家に帰りたくなっちゃう(笑)」って言ってて、彼らしいコメントだなと思いました。「ライブはすごく楽しいけど、家が恋しくなることもある」って話してましたね。

── まだチケットもあるようなので、この記事を読んでいる方はぜひ買いに走ってください。それでは、最後に一言お願いします。

サミー 初めてのショーケースしかり、初めてのちゃんとしたフルセットでの前回の来日公演しかり、(コナンのライブは)やっぱりファンの人と一緒に作り上げていくようなステージかなと思っています。見たことがない方はもちろんですが、これまで見てきた方もまた(公演に)来ていただいて、最新作の楽曲含めて、コナンがどんな素晴らしいステージを披露してくれるのかをぜひ見ていただけたらなと思います。

笠原 コナンはすごくクールだけどお茶目で、でもやっぱり独創的な世界観をちゃんと持ってる素晴らしいアーティストです。誰に聞いても「ライブが良かった」っていう人しかいなかったのですが、今回もさらにレベルアップしたものになって待ち構えていると思うので、ぜひこのチャンスをお見逃しなく。楽しんでください!



コナン・グレイ『Found Heaven』
2024年4月5日発売
CD&LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music




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