クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:交響曲編

Published on

クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第5回交響曲編が8月18日に発売された。

クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。交響曲編の人気曲TOP10をご紹介する。


1位 ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125 《合唱》

クラシック史上最大のヒット曲は年末の風物詩

ドイツの文豪シラーの頌歌「歓喜に寄す」を題材に、ベートーヴェンが書きあげた9番目にして最後の交響曲は、「第九」として親しまれるクラシック史上最大のヒット曲の一つだ。

オーケストラと一体になった人間の声の力、合唱の魅力が、最高の形で表現されたこの作品は、日本においては“年末の風物詩”という位置づけで集中的に演奏される特別な曲。その背景には、戦後の貧しい時代に、オーケストラの年越し費用稼ぎがきっかけだったとの逸話あり。

2位 ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98

枯淡の境地をしぶ~く描いた最後の傑作交響曲

ドイツ・ロマン派を代表する作曲家ブラームスが52歳で作曲した最後の交響曲は、まさに完成させた4曲の交響曲の集大成といった趣がある。内面の孤独や人生の中で親しんできた音楽や心の安住を見出してきた古い音楽の語法などを駆使した作風を貫くものは「憂愁」。

噛めば噛むほど味が出る音楽とは、この手の作品を言うのだろう。初演は1885年10月25日。マイニンゲン領主公の宮廷劇場でブラームス自身の指揮によって行われた。

3位 ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 作品92

映像作品との相性抜群の優雅なメロディ

優雅な第2楽章のメロディが、2009年の映画『ノウイング』や2010年の映画『英国王のスピーチ』などに使われたこの曲は、個性的な「リズム」が印象的なベートーヴェンの傑作だ。

リストは「リズムの神化」、ワーグナーは「舞踏の聖化」と讃えた一方、クララ・シューマンの父ヴィークは、「ベートーヴェンが酔っ払った時に作曲したのではないだろうか」と語っていることからも、時代を超越した斬新な音楽であったことが想像できる。

4位 ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95 《新世界より》

“鉄道オタク”ならではの発車シーンに注目!

「3大交響曲」の一つに数えられる人気曲、交響曲第9番《新世界より》は、「ニューヨーク・ナショナル音楽院」院長就任要請を受けたドヴォルザークが、アメリカ滞在中に生み出した名曲だ。

日本では〈家路〉の名で親しまれている哀愁に満ちたな第2楽章が人気だが、鉄道オタクとして有名なドヴォルザークが新大陸を走る機関車の発車シーンを描いたと言われる第4楽章冒頭の重厚なメロディにも注目したい。鉄道好きもここまで来ると本物だ。

5位 チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74 《悲愴》

作曲者の運命を予告したかのような絶望感

交響曲第4番&第5番の成功によって名声を勝ち得たチャイコフスキーが「創作の最後を飾るような雄大な交響曲を作りたい」という想いのもとに書き上げられたこの曲は、初演後に弟モデストの発案によって《悲愴》と命名。

その直後にチャイコフスキーが急死するという数奇な運命のもとに生まれた名曲だ。一般的な交響曲ならば華やかさの中で終わる終曲が、極めて重く、絶望感を思わせる響きの中に消えていくあたりも《悲愴》ならでは。

6位 ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 《英雄》

ベートーヴェンからナポレオンへの絶縁状

この作品について弟子のシントラーは「ナポレオンに献呈しようとした矢先にナポレオンが皇帝になったとの知らせが届き、怒ったベートーヴェンは表紙を破り、楽譜を床に叩きつけた」と伝えている。

同じく弟子のリースも「あの男も要するに俗人であった…」と大声で叫んだと記していることからも、“楽聖”の怒りは相当だったようだ。後に《英雄》と呼ばれるようになったこの作品は、その力強さと規模の大きさによって時代を超越している。

7位 ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67《運命》

贅肉を削ぎ落とした全身ムキムキの超名曲

クラシック史上最も有名な作品の一つ《運命》。名前の由来は、第1楽章冒頭の印象的なメロディについて、「運命はこのように扉を叩くのだ」とベートーヴェンが語ったという弟子のシントラーの言い伝えが発信源。

小学校の音楽室に飾られていた厳しい厳めしい肖像画ともあいまって、「じゃじゃじゃ・じゃ~ん」というメロディは一度聴いたら耳について離れないほど強烈無比。有名な第1楽章だけでなく、終わりそうで終わらないエンディングも必聴!

8位 ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68

着想から完成までに20年を要した傑作

偉大なるベートーヴェンの後継者を自認していたブラームスが、悩みに悩んで作り上げた「交響曲第1番」は、着想から完成までになんと20年あまりの歳月を要した労作だ。

その甲斐あって評価は高く、同時代の高名な指揮者ハンス・フォン・ビューローが「ベートーヴェンの9曲の交響曲に続く“第10番”」とコメントしたことも有名だ。着想時22歳だった若者は43歳となってようやく肩の力が抜けたのか、翌年「第2番」を一気に書き上げる。

9位 マーラー:交響曲 第9番 ニ長調

“第九の呪い”に挑んだマーラーによる辞世の句

「交響曲第9番を作曲すると死ぬ」というジンクスは、ベートーヴェンが「第九」を作曲した後、第10番を完成できずに亡くなったことに端を発する。この呪いを恐れたマーラーが、《大地の歌》に「9番」の名称を与えなかったことは意味深だ。

そして臨んだ「第9番」を完成させたマーラーは、遂に「10番」を完成させずにこの世を去ってしまう。指揮者としての多忙な生活の合間を縫って書き続けた「第9番」はマーラーの祈りにも似ている。

10位 モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 《ジュピター》

アマデウス最晩年の天国的なメロディがここに

モーツァルトの死の3年前にあたる1788年に相次いで作曲された「交響曲第40番」と「第41番」の素晴らしさはいったい何を意味するのだろう。同時代の音楽家ヨハン・ペーター・ザロモンが名付けたとされる《ジュピター》の名にこれほどふさわしい作品は他にない。

特に最後を飾る第4楽章についてR.シュトラウスは、「私が聴いた音楽の中で最も偉大なもの。終曲のフーガを聴いて私は天国にいるのかと思うほどだ」と語った逸話にも納得だ。

「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売された。

世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。

Written by uDiscover Team


■リリース情報

『クラシック百貨店』

発売日:
6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル





 

Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了