クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:協奏曲編
クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第2回協奏曲編が7月7日に発売された。
クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。協奏曲編の人気曲TOP10をご紹介する。
1位 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
ラフマニノフが世界に羽ばたくきっかけの曲
ラフマニノフの最高傑作であるだけでなく、20世紀に書かれたピアノ協奏曲の最高峰に位置するこの曲は、彼の名を世界に知らしめるきっかけとなった人気曲だ。
作曲の背景には、「交響曲第1番」の手痛い失敗によって極度の神経衰弱に陥ったラフマニノフを暗示療法によって立ち直らせたダール博士の存在がある。初演は1901年10月27日に作曲者自身のピアノによってモスクワで披露され、作品は彼を救ったダール博士に献呈されている。
2位 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
“悪臭を放つ音楽”と言われた作品の晴れ姿
今や、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と並ぶ屈指の名曲として名高いこの曲の最初の評価は酷かった。初演を依頼した名手アウアーからは「演奏不可能」と拒絶され、評論家のハンスリックからは「悪臭を放つ音楽」とまで言われてしまったのだ。
しかし初演したヴァイオリニスト、ブロツキーブロツキの努力によって徐々に人気を得たこの作品は、今や超人気曲となっている。まさに「起死回生の大名曲!」。
3位 ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73《皇帝》
ベートーヴェンの闘争本能を象徴する傑作
1811年に初演されたこの作品は、その規模の大きさや堂々とした雰囲気から、いつしか《皇帝》と呼ばれるようになった名曲だ。雄々しい作風の背景からは、作曲当時ウィーンを占領していたナポレオン率いるフランス軍に対するベートーヴェンの激しい怒りと、ウィーンを思う憂いが見え隠れする。
「私が戦術のことを対位法と同じくらい知っていたら、目にものを見せてやったのに」と語ったと言うのはいかにもベートーヴェンらしい逸話だ。
4位 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
アメリカ滞在中に書かれた望郷のメロディ
数々の名作を生み出し、すでに世界的な名声を得ていたドヴォルザークのもとに、「ニューヨーク・ナショナル音楽院」院長就任の要請があった。これを受けたドヴォルザークは、4年間3年半のアメリカ滞在中に、交響曲第9番《新世界より》、弦楽四重奏曲《アメリカ》そして「チェロ協奏曲」を作曲する。
その素晴らしさに「こんなチェロ協奏曲が人間の手で書けるとは思わなかった…」とブラームスがため息交じりに称賛したことも語り草だ。
5位 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーヴェンの“傑作の森”に聳え立つ大樹
その気品ある美しさと規模の大きさから「ヴァイオリン協奏曲の王者」と呼ばれるこの作品が作曲されたのは1806年。ベートーヴェンの黄金期にあたる“傑作の森”の中心に聳え立つ大樹のような作品だ。
ところが初演の際にはそのスケールの大きさが、当時の軽妙洒脱な作品に慣れた聴衆には受けなかった。それを覆したのが、1844年当時13歳の天才ヴァイオリニスト、ヨアヒムだった。名曲にはその魅力を引き出す名手の存在が不可欠だ。
6位 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
“演奏不可能”の評価から名曲へと上り詰める
古今東西のピアノ協奏曲の中でも、最も有名な作品の一つであるこの曲が完成したのは1875年。チャイコフスキー35歳の年だった。ところが、この自信作をモスクワ音楽院の院長ニコライ・ルビンシテインに「演奏不可能」と酷評されてしまう。
憤慨したチャイコフスキーは、ドイツの名ピアニストで指揮者ハンス・フォン・ビューローにこの作品を献呈。そのビューローがアメリカ・ツアーで初演し、一躍人気曲になったというのは有名な逸話だ。
7位 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
名手ヨアヒムの協力で完成した唯一無二の名曲
1833年生まれのドイツ・ロマン派を代表する作曲家ブラームスが残した唯一のヴァイオリン協奏曲が書かれたのは1878年。ブラームス45歳の年だった。
創作活動の頂点にあったブラームスが、ヴァイオリン協奏曲を手掛けるきっかけとなったのが、避暑地バーデン・バーデンで聴いた名手サラサーテの演奏に感銘したこと。ついに完成した作品の初演は1879年1月1日、カデンツァの作曲を手掛けた名手ヨアヒムの演奏によって披露された。
8位 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
クラシック史上屈指の美しいメロディがここに
“早熟の天才”メンデルスゾーンのすべての作品の中で、最も有名な「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」は、ドイツ・ロマン派の生んだ最も素晴らしい協奏曲として記念碑的な意義を持つ作品だ。
ブラームスがヨアヒムの協力を得たように、メンデルスゾーンは自らが常任指揮者を務めるゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、ダヴィッドダーフィトの協力を得て名作を書き上げた。その冒頭のメロディは、クラシック史上屈指の美しさに違いない。
9位 ブラームス:ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
ブラームス円熟の境地に生み出された大作
「ピアノ協奏曲第1番」を書き上げてから20年以上も後の1881年に完成された「第2番」は、その間に生み出された2つの交響曲(第1番&第2番)やヴァイオリン協奏曲、《大学祝典序曲》大学祝典序曲などによって、円熟の境地に達したブラームスの横綱相撲を見るような趣だ。
作品全体を貫く明るさを伴う雰囲気は、風光明媚なイタリア旅行での感激が大きく影響し、その雄大さは“ピアノ独創部を持つ交響曲”と呼ばれるほどの素晴らしさだ。
10位 ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
祖国を旅立つ20歳のショパンによる惜別の曲
ショパンは生涯に2曲のピアノ協奏曲を遺している。そのどちらも彼がポーランドを離れる直前に書かれた作品だ。20歳のときに書かれた「ピアノ協奏曲第1番」は、音楽家としての新天地を求めてウィーンに旅立つショパンのための壮行会で初演された名曲だ。
当時祖国を離れることは永遠の別れにも等しい意味があったのだろう。そしてその言葉通り、ショパンは二度と再び愛する祖国ポーランドの土を踏むことはなかったのだ。
「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。
世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。
Written by uDiscover Team
■リリース情報
発売日:
6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル
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