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バリー・ホワイトとラヴ・アンリミテッドの音楽でも現実でも愛し合う関係
バリー・ホワイトのあの声をフィーチャーした最初のヒット曲は1972年7月にゴールド・ディスクに認定されている。もっとも彼のあの甘い歌声が世間に知られるようになるのはもう少し先の話で、このゴールド・ディスクで聴くことができたのはホワイトの電話越しの声に過ぎなかった。
ユニ・レコードからリリースされたラヴ・アンリミテッドの「Walkin’ In The Rain With The One I Love(邦題:恋の雨音)」がそのヒット曲で、これはほどなくしてホワイトがチャートに送り込む一連のソロ・シングルのプロトライプといっていい1枚だった。しかしながらこのトラックにおけるバリー・ホワイトの出番は、愛の喜びを感じながら2人が雨の中を歩き始める前に恋人に語りかけるという“電話の声”だけだった。
グローディーンとリンダのジェイムズ姉妹、そして二人の従姉妹のダイアン・テイラーから成るカリフォルニア州サンペドロ出身の3人組ガール・グループ、ラヴ・アンリミテッドと、ホワイトのあいだには現実のロマンスも生まれつつあった。1974年には、グローディーンは、彼女たちのマネージメントも手がけていたホワイトの妻になっている。
ラヴ・アンリミテッドとシュープリームスには偶然とは言い難いいくつもの類似点が見い出せる。ラヴ・アンリミテッドが歌ったこの「Walkin’ In The Rain With The One I Love」は、バリー・ホワイトの作曲家兼プロデューサーとしての最初のヒット曲であり、アレンジも彼と、やがて彼の作品に欠かせない共作者となるジーン・ペイジが担当している。
“愛する方とお二人で…”という宣伝文句を伴ったこのシングルは、1972年3月下旬に米 R&Bチャートに登場し、以降14週に亘って同チャート圏内にランクイン。最高位6位をマークした。またポップ・チャートでも成功を収め、こちらでも最高位14位に達している。
また7月には英国でも最高位14位を記録。同じ週にアメリカではゴールド・ディスクに認定された(ゴールド・ディスクは、現在では50万枚のセールスに対して授与されるが、当時は倍の100万枚)。やがてバリー・ホワイトは、ソロ・アーティストとしてその人気を高めていくことになるが、一方のラヴ・アンリミテッドも、テイラーが亡くなる1975年までヒット・グループとして活躍。またそのグループ名はバリーのラヴ・アンリミテッド・オーケストラに流用されている。
Written By Paul Sexton
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バリー・ホワイト / 『 ザ・ライト・ナイト&バリー・ホワイト』『あふれる愛を』『ザ・マン・イズ・バック』『プット・ミー・イン・ユア・ミックス』『アイコン・イズ・ラヴ』
ラヴ・アンリミテッド / 『恋の雨音』