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ディープ・パープル『Made In Europe』:バンド解散直前に情熱と正確さを披露した名作
ディープ・パープルの1972年のライブ・アルバム『Live In Japan』はコンサート・アルバムのハードルを高くしたが、4年後にオーストリア、ドイツ、フランスで行われたライヴを収録した次作『Made In Europe』は難しい状況下でレコーディングされた。アルバムはバンドが解散した後の1976年10月に発売されたのだ。
バンドの創設メンバーでありリード・ギタリストのリッチー・ブラックモアは、ディープ・パープルが1976年にツアーを始めた時点ですでに脱退を決めており、アメリカのバンド、エルフのヴォーカリストだったロニー・ジェイムズ・ディオと組んだ新しいバンド、レインボーのための曲作りを始めていた。「すべてに疲れて、ただ他のことを始めて前に進みたかった‥‥8年も同じ人たちといて、一緒にいることによって生じた苛立ちにもううんざりしていた」と、ブラックモアは話している。
脱退する決断をしていたにも関わらず1975年4月に行った3ステージ(グラーツ、ザールブリュッケン、そしてパリ)でのブラックモアは、傑作スタジオ・アルバム『Deep Purple In Rock』と変わらない情熱と正確さを披露した。
5曲で構成された『Made In Europe』のオープニングを飾る心を奮い立たせるような「Burn」は、それまでの2年間、必ずコンサートで最初に演奏されていた。リッチー・ブラックモアが共作したこの曲はジョージ・ガーシュウィンの1924年の「Fascinating Rhythm」から少なからず影響を受けている。彼がそのリフを思いついた時、潜在意識下で頭の中を廻っていたのかも知れない、と後に話している。
『Made In Europe』のレコーディングではザ・ローリング・ストーンズの移動式スタジオが使用され、プロデュースはディープ・パープルと長年共に仕事をしてきたマーティン・バーチが手掛けており、まるで長時間のジャム・セッションのように仕上がっている。12分近くある「Mistreated」は、B.B.キングの「Rock Me Baby」へのトリビュートとなっている。このトラックでは、メンバーが目まぐるしく入れ替わっていたディープ・パープルに1973年に加入したデイヴィッド・カヴァデールがヴォーカル・スキルを見せつけている。
テンポの速い「Lady Double Dealer」に続いては、16分間にも及ぶ大作「You Fool No One」が収録されており、ジョン・ロードが初めて熟達したハモンドオルガンのソロ演奏を披露。オリジナル・ヴァージョンは1974年のアルバム『Burn』に4分トラックとして収録されていたが、『Made In Europe』ではメンバーたちがジャムを楽しみながら演奏し、ユダヤ民謡「Hava Nagila」を取り入れて観客たちを楽しませている。ギネスで世界一ラウドなバンドとして登録されたことのあるバンドらしく、その後にはヘヴィ・ロックへとペースを上げてパワーアップしていく。『Made In Europe』はディープ・パープルが最初から最後までしっかりとリハーサルを行うバンドであることを証明している。
アルバムの最後には「Stormbringer」が収められている。若い頃にスクリーミング・ロード・サッチと仕事を通してステージでの技法を学んだというリッチー・ブラックモアは、このライヴ・ヴァージョンに激烈なパワーを投入し、それをベースのグレン・ヒューズとドラムのイアン・ペイスが支えている。
Written By Martin Chilton
『Made In Europe』
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