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【レビュー】「ジーザス・クライスト・スーパースター・ライヴ・イン・コンサート」
ミュージカルをテレビで生中継する「ジーザス・クライスト・スーパースター・ライヴ・イン・コンサート」が2018年4月1日のイースター・サンデーにNBCネットワークで放送された。このミュージカルはアンドリュー・ロイド=ウェバーとティム・ライスが1970年代に制作したイエス・キリストの最後の日々を描いたロック・オペラだ。
このようなミュージカルの生中継の試みは好評と不評を行ったり来たりしていたが、今回の「ジーザス・クライスト・スーパースター」についてはキャストが発表されると、期待以上のものを届けてくれるであろうという前評判が高まっていた。ブルックリンのウィリアムズバーグにあるマーシー・アーモリーで開催されたこのミュージカルは、お茶の間の視聴者を劇場に引きずり込むほど魅力を持つポップ・スターとブロードウェイのベテラン勢を織り交ぜ、飛び抜けて素晴らしい舞台となった。
キリスト役としてステージ・デビューを果たしたのはR&Bを代表するシンガー、ジョン・レジェンド。そしてトニー賞にノミネートされた経験を持つシンガー・ソングライターのサラ・バレリスが柔らかなヴォーカルでキリストに寄り添うマグダラのマリア役を演じた。キリストが主役ながらも、イスカリオテのユダを演じるブランドン・ビクター・ディクソンはショーの主役の座を奪いかねないほど素晴らしかった。大成功となったミュージカル作品『ハミルトン』でアーロン・バー元副大統領を演じたブランドン・ビクター・ディクソンは、今回もあらゆる種類の声の出し、この役どころを悠々とこなしていた。
撮影や編集面では、2016年に行った『ヘアスプレー』の生中継の時と同じように、NBCネットワークは俳優たちの目の前にいる観衆の反応を最大限に利用し、テレビの視聴者たちが遠い観客席から見ている人々よりももっと感情移入出来るような工夫も垣間見れた。
今回の「ジーザス・クライスト・スーパースター」は、冒頭から1971年のオリジナル版からは程遠い作品であることは明らかだった。レザーを着用したダンサーたち、『レント』のイースト・ヴィレッジのような足場で覆われたステージ、そしてマトリックスのようなトレンチ・コートをまとった神父。それらは思い切った演出でありながらも、ロックン・ロールの精神が満載だった。
ジョン・レジェンドが歌う最初の曲「What’s The Buzz」からブランドン・ビクター・ディクソンの「Damned for All Time」まで、ショーは目の覚めるようなロック・ソングと大量のファンクで勢いよく進んでいった。主演俳優たちに加えて残りのキャストも、大祭司カイアファ役を演じた『ポーギーとベス』や『オペラ座の怪人』で有名なバリトン歌手のノーム・ルイスや、「This Jesus Must Die」に見事なカウンターテナーを提供した司祭長アンナス役のジン・ハ(『ハミルトン』のアルバム参加)といった非常に素晴らしい舞台俳優たちによって固められていた。
「ジーザス・クライスト・スーパースター・ライヴ」に登場した2人の悪役たちも最高だった。テレビと舞台で活躍するベン・ダニエルズがポンテオ・ピラトを演じ、ショック・ロックのレジェンドであるアリス・クーパーがヘロデ王を演じた。キラキラとしたスーツで現れたアリス・クーパーはオーケストラに合図を送り、“あなたが神だと今やっと私は理解した… 驚いた” と「King Herod’s Song」を歌いだす前にも関わらず観客席から鳴り止まぬ拍手と喝采を引き起こした。そしてキャバレーのショーガールズの大群がアリス・クーパーに加わり、すべてが陽気なボードヴィルの曲へと展開していく。聖地を通ったスタジアムで、まるで口先だけで賛同しているかのごとくアリス・クーパーが「Hello Jerusalem!(こんにちはエルサレム!)」と叫びながらこのミュージカルの大役を実に見事に演じきった。
2時間20分の上演時間の中でやらなければいけないことは山ほどあったが、このスケール感とダンスのアンサンブルの素晴らしさと同時に際立っていたのはそれぞれのソロ曲だった。
最初のオープニング曲「Heaven On Their Minds」から、ジョン・レジェンドとの激しく熱のこもったデュエット曲「The Last Supper」、そして「Superstar」で輝かしく戻ってくるまでブランドン・ビクター・ディクソンは彼の才能を発揮する見せ場がたっぷりで、ジョン・レジェンドに関しては長年バラードを歌ってきた経験を駆使し、「Gethsemane (I Only Want to Say)」ではゾクッとさせる瞬間を何度も提供してくれた。
ミュージカルが終演に近づくと、十字架は暗闇の中に消えていき、キラキラと輝くライトの光と共にセットが一体となるにつれて徐々に鳴り響く不規則なジャズ。そこにあわせて硬直したシルエットが現れ、十字架にかけられたジョン・レジェンドという最も印象的なヴィジュアルでショーは幕を閉じた。
Written by Laura Stavropoulos
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初来日公演決定!ミュージカル「エビータ」
日時:2018年7月4日(水)~7月29日(日)
会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11F)
ワールド・ミュージカル・コンサート『アンドリュー・ロイド=ウェバー ミュージカル・コンサート』
開催日時;
6月9日(土)18:00~
6月10日(日)13:00~
6月10日(日)18:00~
会場:東急シアターオーブ
チケット;
SS席12,000円、S席10,000円、A席8,000円、B席5,000円(全席指定・税込)
学生チケット4,500円(税込)
公式サイト:http://theatre-orb.com/lineup/18_wmcs/