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ザ・ビートルズ「Yesterday」EP盤の発売と「キリストよりも人気者だ」で炎上したジョンの発言

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レコード会社がシングルとLP盤レコードの間を陣取る新しいフォーマットであるEP(Extended Play)を発売するチャンスを見つけたのは1950年代のことだった。シングルは従来2曲入りであるのに対して、アルバムには8~12曲が収録、その中間をとったEP盤には4曲が収録されていた。アーティストたちは “一口サイズ” のアルバム試聴盤として、よくEP盤をリリースしていた。場合によってはLP盤収録の全ての楽曲をEP盤シリーズでリリースするものもいた。ザ・ビートルズの『Yesterday』EP盤のように。

ザ・ビートルズのUKレーベルだったパーロフォン・レコードは1963年の夏、まずは「Twist and Shout」を始めに、ザ・ビートルズのEP盤シリーズを発売した。当然ながらそれはEPチャートのトップとなり、続く6枚のEP盤リリースもそれに等しい業績を残した。そして彼らの『Yesterday』EP盤が1966年3月4日に発売されたとき、それは瞬く間にチャートのトップに躍り出て、1966年3月26日には彼らにとって7度目となる第1位を獲得。ベストセラー・リストのトップの座を7週間走り続けた。

Yesterday (With Spoken Word Intro / Live From Studio 50, New York City / 1965)

『Yesterday』のEP盤には「Yesterday」「Act Naturally」「You Like Me Too Much」「It’s Only Love」とアルバム『Help!』からの4曲で構成され、「Yesterday」はポール・マッカートニーが歌い、「Act Naturally」はリンゴ・スターが、「You Like Me Too Much」はジョージ・ハリスンが、「It’s Only Love」はジョン・レノンがとバンドの各メンバーがそれぞれ4曲のリード・ヴォーカルを担当していた。

この4曲はUK版のアルバム『Help!』には収録されたが、US版の『Help!』には4曲のどれも収録されなかった。その代わり「Yesterday」と「Act Naturally」は1965年9月にシングル盤としてリリースされたほか、US版の編集アルバム『Yesterday and Today』にも収録された。残りの2曲「You Like Me Too Much」は『Beatles VI』に、「It’s Only Love」はUS版の『Rubber Soul』に収録された。

ザ・ビートルズの11枚目のUK版EP盤はモノラル音源のみだった。ジャケットのカヴァー写真はロバート・ウィテカーの撮影によるもの。このEPはポルトガル、スペイン、ブラジルでもリリースされたが、アルバム・ジャケットには別の写真が使用された。

Yesterday_ep_por

ロンドンのジャーナリスト、モーリーン・クリーブによるジョン・レノンのインタビューがロンドン・イブニング・スタンダード紙に掲載された日と同じ日にその作品はリリースされた。ウェーブッジのケンウッドにある彼の自宅で、モーリン・クリーブはアルフレッド、テニスン男爵、ジョナサン・スウィフト、オスカー・ワイルド、ジョージ・オーウェル、オルダス・ハクスリー、そしてヒュー・J・ションフィールドによる本『The Passover Plot』など、キリスト教に関するジョン・レノンの考えに影響を与えた書斎を見つけた。モーリン・クリーブがジョン・レノンに宗教についての意見を求めたところ、彼はこう言った。

「キリスト教は消えていくだろう。縮小し、消えてなくなるよ。これに関して討論する必要はない。僕は正しいし、僕が正しいことが証明されるだろう。今、僕らはキリストよりも人気者だ。ロックン・ロールかキリスト教か。どっちが先に滅びるかなんてわからないよ」

イギリスではこのジョン・レノンのキリスト教に対する純粋な見解や世界におけるその役割などは受け入れられていたが、アメリカ、特に南部では反発が起きることになる。5ヶ月後、アメリカのティーン雑誌がジョン・レノンの意見を引用したことで、保守的なアメリカの南部ではすぐに抗議運動が勃発したのだ。幾つかのラジオ局はザ・ビートルズの曲を放送することを止め、彼らのレコードは公の場で燃やされた。

この論争はちょうど8月に行われたザ・ビートルズのアメリカ・ツアーと時期が重なり、ジョン・レノンは一連の記者会見で騒動を鎮めようと試みたが、すぐに鎮静化することなくこの論争はしばらく続くことになった。しかし最終的に人々はジョンの意見をザ・ビートルズの驚異的な成功と、当時の若者の宗教への無関心を関連付けたジョンの純粋な発言として受け入れたのだった。

Written by Richard Havers



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