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カーペンターズ唯一のカントリー・チャートにエントリーした「Sweet, Sweet Smile」
1977年にはアメリカの音楽シーンが変わりつつあったが、8枚目のスタジオ・アルバムを制作していたカーペンターズは、申し分のない高いスタンダードを見事に保持した。その結果が1977年9月23日に発売されたアルバム『Passage』である。1978年2月18日にはアルバムからの3枚目のシングル「Sweet, Sweet Smile」がリチャードとカレンにとって唯一のカントリー・チャートのエントリーを達成した。
アルバム『Passage』はすでにミッド・テンポの「All You Get From Love Is A Love Song(邦題:ふたりのラヴ・ソング)」と冒険心溢れる未来的な曲「Calling Occupants of Interplanetary Craft(邦題:星空に愛を(コーリング・オキュパンツ))」の2枚のシングルを発表していた。両曲ともに全米トップ40入りし、前者はカーペンターズにとって初のトップ5のアダルト・コンテンポラリーのヒットとなった。「Calling Occupants of Interplanetary Craft」はカーペンターズにとって初めての全英トップ10入りし、カナダでもトップ10を達成、アイルランドではトップに君臨した。
兄妹が楽にこなしているかのように見せるスタイルを表していた「Sweet, Sweet Smile」は、ニュージャージー州レイクハースト出身のカントリー・アーティストでジュース・ニュートンが書き下ろした楽曲だ。ジュース・ニュートンは、1982年初めに「The Sweetest Thing (I’ve Ever Known)」でチャートのトップに立ち、1985年と86年にさらに3作のNo.1、5作のトップ10入りしたシングルを生み出している。
ジュース・ニュートンと音楽のパートナーであるオーサ・ヤングは、「Sweet, Sweet Smile」をレコーディングするアーティストも見据えて楽曲を書いたが、レーベルだったキャピトルはそれに意欲的ではなかった。ジュース・ニュートンのマネジャーがリチャードとカレンと面識があったことで彼らに曲を薦めたのだ。のちにリチャードは、カレンが「僕たちに合っている曲だという考えだった」と明かし、その最初のヴァージョンをレコーディングした。のちにジュース・ニュートンも自身のヴァージョンを2011年に『Ultimate Hits Collection』に収録している。
この曲「Sweet, Sweet Smile」は全米シングル・デビューを果たして44位にとどまっていたが、2週間後にカーペンターズはホット・カントリー・シングル・チャートにエントリーし、8位まで上昇した。また、彼らが慣れ親しんだアダルト・コンテンポラリー・チャートでは7位を達成した。
Written by Paul Sexton
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カーペンターズ『Passage』
カーペンターズの『The Vinyl Collection (12LP Box Set)』