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豪華ゲストが参加したレオン・ラッセルの2ndソロアルバム『Leon Russell & The Shelter People』
オクラホマ州出身のシンガー・ソングライターでマルチ楽器奏者、そしてセッション・プレイやーでもあるレオン・ラッセルが世に知られるようになったのは、1972年発売の『Carney』が商業的成功を収めたことがきっかけだとされている。今回は、その前年に発売され、あまり注目を浴びることはなかったた2枚目のソロ・アルバム『Leon Russell & The Shelter People』を紹介しよう。
1970年のセルフ・タイトル・デビュー作品『Leon Russell』に続いてリリースされた『Leon Russell & The Shelter People』は、「The Ballad Of Mad Dogs And Englishmen」が収録されていたアルバムというだけで記憶すべき作品である。思慮深く自伝的で典型的なレオン・ラッセルのこのバラード曲は、若かりし頃のエルトン・ジョンの大好きな曲でもある。そしてエルトン・ジョンは何十年後かに、レオン・ラッセルから受けた影響に報いるために一緒にアルバムを発売している。
アルバムタイトルになっている“The Shelter People”(シェルター・ピープル)というのはアルバムに参加した一流ミュージシャンたちの集合名で、例えば「The Ballad Of Mad Dogs And Englishmen」に登場するは、後にエリック・クラプトンと共にデレク・アンド・ザ・ドミノスを結成するベーシストのカール・レイドルとドラマーのジム・ゴードンだ。当時のレオン・ラッセルの側には他にジム・ケルトナー、ジム・プライス、ジェシ・エド・デイヴィス、そしてクリス・ステイントンらもいた。
最初から最後までその質が保証された『Leon Russell & The Shelter People』は、1970年後半と1971年前半にロンドン、ロサンゼルス、そしてアラバマ州のマッスル・ショールズ・スタジオにて数ヶ月をかけてレコーディングされた。アラバマで行われたセッションは、レオン・ラッセルの感情のこもった曲作りと、共同プロデューサーのデニー・コーデルとの楽器使いを更に高めたものとなった。
オリジナル楽曲11曲の内6曲はレオン・ラッセルが作曲したもので、2曲はギタリストの一人であるドン・プレストンと共作したものだ。また、1963年にボブ・ディランが発表した「A Hard Rain’s A-Gonna Fall(邦題:激しい雨が降る)」のカヴァーと、同じくボづ・ディランのアルバム『Highway 61 Revisited』から「It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry(邦題:悲しみは果てしなく)」が収録されている。最終のトラックには友人のジョージ・ハリスンの作品『All Things Must Pass』から「Beware Of Darkness」のカヴァーが収録されている。
マッスル・ショールズ・スタジオのセッションに参加したベーシストのデヴィッド・フッドは、カール・ライザーとのインタビューでこう語っている「アルバムにはカール・レイドルを含むオクラホマ州タルサ出身のミュージシャンたちが担当したトラックと、僕たちが担当したトラックがそれぞれあった。それを区別するためにレオンは僕たちがやった曲には“マッスル・ショールズ・スワンパーズ”とメモ書きをしてたんだ。タルサ出身のミュージシャンが手掛けた曲には何と書いたかは知らないけど、違う名前を書いた。それがそのまま残ったんだ」。
Billboard誌はこのアルバムについて、「友人の助けを得た作品は、原動力のある素晴らしいロック作品で、売上数とチャートで良い結果をもたらすことは間違いない」と評している。1971年5月29日に全米チャートへ見事に53位にランク・インし、皮肉なことに26位でデビューしたエルトン・ジョンの『11-17-70(邦題:ライヴ!!(17-11-70))』に次ぐ新譜のランク・インとなった。レオン・ラッセルのアルバムは29週で17位にまで上昇し、1972年2月にRIAAからゴールド・ディスクに認定された。
By Paul Sexton
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