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約8年ぶりのツアーで大ヒットとなったザ・ローリング・ストーンズの「Mixed Emotions」と『Steel Wheels』
商業的かつ、クリエイティヴな形でリヴァイヴァルを果たした1980年代を締めくくりながら、ミック・ジャガーはザ・ローリング・ストーンズのアルバム『Steel Wheels』からのシングルの冒頭の一節“Button your lip, baby, button your coat”を3年以上歌っていた。そのシングル曲とは「Mixed Emotions」、1989年9月2日にイギリスでチャート入りした曲で、ザ・ローリング・ストーンズが文字通りツアー・マシーンとして活躍することになる前兆となった北米ツアーに、バンドが出発したまさにその週だった。
また、「Mixed Emotions」はミック・ジャガーとキース・リチャーズの曲作りの関係が再開したことを示していた。彼らは1989年の夏にレコードストアの店頭に並んだアルバム『Steel Wheels』のセッション中に、バルバドス島で「Mixed Emotions」の曲作りを行い、モントセラト島でレコーディングを行った。アルバムのリリース直後から、8年ぶりのバンドの北米ツアーが始まった。8月31日にフィラデルフィアのベテランズ・スタジアムで初日を迎えてから「Mixed Emotions」はセットリストに組み込まれた。
『Steel Wheels』からのシングル3枚のうち、最初の1枚目となったその「Mixed Emotions」は批評家からもファンからも好評を得て、ある意味では、彼らの後期ヴァージョンのクラシック・ロックの化身の基本形を決めることになった。曲は全米シングル・チャートの5位に到達、少なくともメインストリーム・ロック・トラック・チャートで5週間の首位を守り抜いた。
シングル曲のイギリスでのチャートの反応は、ピークが36位とより控えめだった。しかしそれでもなお、大規模で、大陸にまたがり大成功と記憶されるツアーをザ・ローリング・ストーンズが始めると、「Mixed Emotions」は『Steel Wheels』のセールスにとって強力なフックとなり、世界で500万枚を超える大ヒット作となった。
Written by Paul Sexton
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