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テンプテーションズのキャリアの岐路となった『Gettin’ Ready』

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60年代半ばのモータウンは豊富なアーティストと作品に恵まれいたので、素晴らしい5人組のテンプテーションズが岐路に立っていたことに気付いたファンたちは少なかっただろう。次から次へとヒットが生まれ、どの曲も後に傑作となるレベルの高いスタンダード曲ばかりだった。例えば「Ain’t Too Proud To Beg」「Get Ready」「Beauty Is Only Skin Deep」等々、それらは極上のダンスフロア・ソウルだ。グループのリードシンガーである2人、エディ・ケンドリックスとデヴィッド・ラフィンは絶好調だった。5人目のメンバーであるオーティス・ウィリアムスと共に普段はハーモニーを担当しているポール・ウィリアムズとメルヴィン・フランクリンも、スポットライトを浴びるトラック「Lonely, Lonely Man Am I」では非常に素晴らしい。そんな中、1966年6月15日に発売された『Gettin’ Ready』は秀でておりスムーズで、完全でエキサイティング、親密で時には生意気で、そして、もちろん、非常にソウルフルである。そしてそれは彼らにとってのターニング・ポイントとなった。

ベリー・ゴーディは、“壊れていないのなら直すことはない”という古い格言を信じていなかった。一から帝国を築き上げた彼は、次のヒットが何よりも大切だと信じていたのだ。当時のテンプテーションズの成功は順調だった、だからこそ新しい何かを試す時期でもあったとモータウンの長は考えた。スモーキー・ロビンソンが作曲を手掛けた一連のヒットを生んだ後、ベリー・ゴーディは新たにプロデューサーとしてマーヴィン・ゲイの「Pride And Joy」を含むヒット曲をすでにモータウンに提供してきた24歳のノーマン・ウィットフィールドを迎えることにした。ノーマンは、作曲とプロデュースをスモーキー・ロビンソンが手掛けたタフな前作「Get Ready」を超えて、ノーマンの楽曲「Ain’t Too Proud To Beg」が全米チャートの13位にランクインされたことによりその才能を示した。サイケデリック・ソウルを成功へと導くことになるプロデューサーを迎え、テンプテーションズはノーマン・ウィットフィールドの素晴らしい音楽の実験の先頭に立つことになる。しかしその間に素晴らしいアルバムを作らなければならなかった。

 

The Temptations Ain't Too Proud To Beg Single Label - 300

モータウンの強みのひとつは、プロデューサーが誰だろうといつも同じミュージシャンやスタジオを使うことだった。それ故に様々な人が作曲を手掛けたとしても『Gettin’ Ready』のようにアルバムがまるで一人の人が手掛けたようなサウンドに仕上がっており、今作のクレジットにはデトロイト・ソウルの優等生ばかりが並んでいる。スモーキー・ロビンソンとノーマン・ウィットフィールドの他に、エディ・ホーランド、アイヴィ・ジョー・ハンター、そしてミラクルズの殆どのメンバーが作曲を手掛けており、オーティス・ウィリアムスとエディ・ケンドリックスも参加している。ソウル・ファンなら誰でも知っているが、スモーキー・ロビンソンの「Who You Gonna Run To」はより多くのリスナーに聴いてもらうに値するトラックで(テクニクスのカヴァーのお陰でジャマイカでもスマッシュ・ヒットとなった)、エディ・ケンドリックスのリードでシュープリームスが参加したR&Bトラック「Not Now I’ll Tell You Later」も同じことが言える。そして「Too Busy Thinking About My Baby」のオリジナル・ヴァージョンも収録されており、エディ・ケンドリックスの美しい歌声が披露されている。(プロデュースはノーマン・ウィットフィールドが手掛け、後にもっと有名となったマーヴィン・ゲイのヴァージョンもノーマン・ウィットフィールドが手掛けている)。

それまでの作品に境界線を引くかのようにテンプテーションズは次にベスト盤を発売した。続くスタジオ・アルバムはノーマン・ウィットフィールドが指揮をとり、グループ、モータウン、そしてソウル・ミュージック全体が新しい時代を迎えたことを示した。テンプテーションズが予期したとは思えないが、もしそうだとしたら、洗練された自信のあるソウルたっぷりの『Gettin’ Ready』はその並外れたキャリアで最初となるひとつの時代の幕を閉じる相応しい作品となった。

Written By Ian McCann



The Temptations Gettin' Ready Album Cover - 530

テンプテーションズ『Gettin’ Ready』

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