Stories
「力作」と評されたステッペンウルフの3枚目のアルバム『At Your Birthday Party』
カナダで結成されロサンゼルスを中心に活躍していたロック・バンド、ステッペンウルフは、1968年だけでアメリカでトップ10入りアルバムを2枚、トップ3入りシングルを2枚リリースしている。ここまでの成功はなかなか繰り返せないものだが、翌年の初め、このバンドはまたもややってのけた。1969年3月7日、彼らは3枚目のLP『At Your Birthday Party(邦題: ステッペンウルフとバースデイ・パーティー)』を発表。このアルバムは、第1弾シングル「Rock Me」と共にまもなくチャートのトップ10に入ることになる。
このニュー・アルバムは、ラシュトン・モアヴィの後任としてニック・セント・ニコラスが参加した初めての作品になった。ニック・セント・ニコラスはふたつの曲で曲作りに関わっており、うち「Sleeping Dreaming」は彼単独の作曲作品としてクレジットされている(ただしこれは1分間のジャム演奏のような曲だが)。一方ヴォーカルのジョン・ケイが作った「Rock Me」は、1968年の映画『キャンディ』の挿入歌としても採用されていた。この映画は、性について寛容な時代ならではの作品で、マーロン・ブランド、リチャード・バートンのほか、リンゴ・スターまでが出演していた。
シングル「Rock Me」はアルバム発売の1週間前にチャートに入った。この楽曲は10週チャートに留まった。その点では13週チャート入りの「Born To Be Wild(邦題: ワイルドでいこう!)」や16週チャート入りの「Magic Carpet Ride」には及ばなかったが、それでも最高10位には達している。またアルバム『At Your Birthday Party』も似たような展開をたどった。こちらはファースト・アルバムやセカンド・アルバムのようにゴールド・ディスクに認定されることはなかったが、それでも全米アルバム・チャートには29週間も入っていた。
Billboard誌のアルバム評では、面白いことにステッペンウルフは「地下でも地上でも人気の四人組」と形容されていた。またアルバムそのものは「力作」と評されており、ヒット直前のシングルのほか、いくつかの曲が注目作として取り上げられている。たとえば「Jupiter Child」は「これまた素敵でヘヴィな曲」、「She’ll Be Better」は「ブルージーで優れた曲」、「Round & Down」は「こちらも抜群」という具合だった。
Written by Paul Sexton
ステッペンウルフ『At Your Birthday Party』