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セイント・エティエンヌ、1991年のデビュー・アルバム『Foxbase Alpha』
イギリス出身の三人組セイント・エティエンヌが1991年にデビュー・アルバムを発表したとき、彼らは既に何枚ものシングルを出して話題沸騰中だった。そしてデビュー・アルバム『Foxbase Alpha』も期待を裏切らなかった。これは全英チャートのトップ40に入り、その後のアルバムがさらに好成績を収める道筋を作った。『Foxbase Alpha』は1992年のマーキュリー・ミュージック・プライズにもノミネートされている。
1991年10月26日、このアルバムは全英チャートで最高34位を記録した。ここにはセイント・エティエンヌが過去に発表したシングル2枚も収められていた。そのうち特に目立っていたのが、このグループの代表曲となった「Only Love Can Break Your Heart」である。これはニール・ヤングの曲をクラブ向けに仕立て直したカヴァーだった。
このアップテンポのカヴァーは、1990年7月にシングルとして発表された時点では、全英シングル・チャートのトップ100をかすめる程度だった。しかし1年と少しあとに『Foxbase Alpha』の先行シングルとして再発されると、最高39位を記録。さらに1992年2月には、米ビルボード誌のホット・ダンス・クラブ・プレイ・チャートで2週間首位に立っている。
「Only Love Can Break Your Heart」のオリジナル英国盤に続いて出たシングルは「Kiss And Make Up」で、こちらは全英チャートで最高80位を記録。その次の両A面シングル「Nothing Can Stop Us」(これもアルバムに収録)と「Speedwell」は54位に到達した。しかしこうした順位には、セイント・エティエンヌに対する高い評価は反映されていなかった。評論家たちは、未来的なサウンドとノスタルジックな雰囲気を合わせ持つ彼らの想像力豊かなポップスのブレンドを非常に高く評価していたのだ。
『Foxbase Alpha』に続いて出たアルバム『So Tough』と『Tiger Bay』はどちらもトップ10入り。また「You’re In A Bad Way」「He’s On The Phone」「Sylvie」といったシングルもトップ10入りを果たした。熱心なファンにとって嬉しいことに、セイント・エティエンヌは今も断続的に活動を続けている。
Written By Paul Sexton